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[将棋級位者向け]筋違い角戦法の使い方と対策シリーズ①。級位者が筋違い角に苦しむパターンを徹底リサーチ!

 こんにちは、ゆに@将棋戦略です。

 この度、級位者~2段くらいまでの方を対象とした記事を作ろうと思い立ちました。そこでゆには単純に、級位者だったら奇襲戦法に悩まされているだろう、などと考えたのです。それで、まずは奇襲と言えば筋違い角か?と。

 それで、これから何回かに分けて筋違い角戦法についてお話してみたいと思うのですが、その前に、級位者向けということで、実際に級位者~2段くらいの方々が筋違い角を相手にした時、うまく対応できているのか、あるいはどんな風な失敗をしてしまっているのか、詳しくリサーチする必要があると考えました。

 そこで、今回はそのリサーチ結果のご紹介と、今後の記事の内容についてお話します。まずはリサーチの内容についてです。


リサーチ内容

 まず、級位者~2段の方々の棋譜は、将棋ウォーズの機能を使って調べることに致しました。将棋ウォーズでは、マイページの戦法コレクションから、特定の戦法の棋譜を調べることが可能なのです。ただし、調べたい戦法のエフェクトを出さないと調べられない仕様となっているため、この度負け覚悟で筋違い角戦法を指して何とかエフェクトをゲット(汗。

 次に、うっかりミスが多い条件でのサンプル収集を避けるために、3分切れ負けの将棋は除外することに致しました。段級は2級~2段の方限定に限定しました。なお、この場合の段級とは、筋違い角を「相手にする」方の段級となります。また、サンプル数は150局としました。少ないかもしれませんが、完全に人力で調べますので、これくらいで・・・。

 そして、2級~2段の方々が実際に筋違い角を相手にした場合の、序盤戦の結果を以下のケースに分類致しました。
ケースA:順当に作戦勝ちしたケース
ケースB:飛車先を逆襲され、破られてしまったケース
ケースC:棒銀調の攻めにより、飛車先を突破されてしまったケース
ケースD:うっかりミスにより、馬を作られてしまったり、角で駒をただ取りされてしまったケース
ケースE:以上のどれにも該当しないケース。ただし、ケースAにも該当しないことから、ネガティブな結果であることが多い。

 それぞれのケースについて具体的に説明します。
まずケースAはいろいろな作戦が含まれますので、具体的には言及できません。とりあえずうまくいったケースとお考え下さい。

次にケースBですが、これは筋違い角の振り飛車パターンの一つで、参考図①のように▲5六角を活かして▲8三歩から飛車先を逆襲するケースです。
これは筋違い角の最もうまくいくパターンの一つと思われます。
なお、もちろん参考図の局面だけでなく、これに類する局面は全てカウントします。

参考図①。ケースBの飛車先破られパターン。

次のケースCですが、これは筋違い角の居飛車パターンの一つで、参考図②のように棒銀+角筋で2筋を突破していくパターンになります。

参考図②。ケースCでは後手は矢倉囲いに構えて、それに対して棒銀から銀交換を挑んでいく。

次にケースDですが、これは単純に▲4五角に対して3四の歩を受けてしまうケースや、あるいは先手が▲6六歩~▲5六角と構えるのに対して、後手が右四間飛車にしてしまい、▲8三角成と成られてしまうケースが多かったです。あとは角の利きを見落として駒をただ取りされてしまうケースもこちらにカウントしました。

最後にケースEですが、具体的には相筋違い角や、無理矢理振り飛車(参考図③)が多かったです。ただし、これらの戦型であったとしても序盤がうまくいったものはケースAにカウントしております。

参考図③。無理矢理振り飛車のケース。▲4五角に△6二飛とし、▲3四角に△4二飛と受ける。

リサーチ結果の発表

 それではリサーチ結果の発表の前に、ゆにの予想について話しておきましょう。ゆにの中で、ケースDが多いのは5級以下の方々で、2級ともなればケースDはほとんどないと予想。多いのは特にケースBの飛車先破られで、この数は段級と相関が出るだろうと考えておりました。もちろんケースAも段級と相関があるでしょう。

 それでは結果発表とまいりましょう。結論から言いますと、ゆにの認識は全くと言っていいほど間違っていたのです。

段級別の序盤戦結果。
上図の段級合計結果。

級位者戦では優秀すぎる筋違い角

 まず2級の方の結果から見ていきましょう。最初に目を引かれるのは言うまでもありません。ケースDのうっかり馬作られ率が何と約45%もありました。続いてケースEのその他が約30%。ケースAの作戦勝ちは約15%に留まりました。後はケースBの飛車先破られとケースCの棒銀破られはそれぞれ5%ずつぐらいとなりました。

 と、いうことはですよ・・・私がいかに筋違い対策の戦術を説いたとしても、それによって救われるのはせいぜいケースB+ケースCの10%程度だということです。何ならむしろ筋違い角戦法を伝授する方向に切り替えた方が、級位者の方々にとっては段級アップにつながって嬉しいのでは・・・?これは私にとって、とても衝撃的な結果でした。級位者の方々のために本当に約に立つ発信内容とはどんなものなのか、現在本気でお悩み中でございます。

 それはさておき、より上の段級の方の結果についても言及しておきましょう。先ほど目を引いたケースDのうっかり馬作られ率ですが、段級が上がるにつれてきれいに減少しているのが分かります。ただし、2段でも10%程度はあるのですね。ケースEのその他の割合はあまり段級で変わりません。ケースAの作戦勝ち割合は、うっかり馬作られ率の逆で段級が上がるにつれてきれいに上昇しています。ケースBやケースCは優位差があるかどうかよく分かりませんね。なお2段でもケースBの飛車先破られ案件は10%程度あるようです。

 全体を合計したものが下の方の図です。作戦勝ちが20%程度なのに対して、うっかり馬作られ率が25%程度。さらに飛車先破られ率と棒銀破られ率で合わせて15%程度。つまり、筋違い角を用いる方から見ると、作戦負けになる確率の倍程度は大成功するという、超優秀戦法だということに。それともう一つ言えることは、筋違い角の対策として実際に用いられているのは、高段帯の方が用いているようなオーソドックスなタイプのものでなく、相筋違い角や無理矢理振り飛車系が多かったことですね。

筋違い角戦法の使い方と、対策を両方取り扱う方向で・・・

 というわけで、今後の記事の方向性ですが、筋違い角戦法の使い方と対策を両方取り扱っちゃおうと。悩んでもしょうがないからやっちゃえ!となりました。まずは筋違い角戦法の成功例から取り扱っていく予定です。

 それでは読んで下さり有難うございました。引き続きよろしくお願いいたします。


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