苦境から生まれた戦法②
前回の続き(読んでない方は「苦境から生まれた戦法①」を読んでください)。
下手の驚愕の秘手▲3六歩に対し、上手の対応として真っ先に思い浮かぶのは△3五歩ですが…
実戦の進行
△4二銀▲1五歩△3三銀▲1八飛△2四銀
奨励会有段者同士の実戦ともあり、▲3六歩に対し危険を察知した上手は端をガードします。とはいえ、△2四の銀がいかにも苦しい。
何故上手は△3五歩を敢行出来なかったのか? 答えは香落ち特有の「端のキズ」でした。
▲3六歩に対し△3五歩
以下、▲同歩△同飛▲3八飛と進んで下図。
上手は△1二に飛車の打ち込みのキズが残っています。下手の突いた▲1六歩が、この後▲1五〜▲1四と伸びてきて▲1二飛と打ち込まれると、竜を作られてしまいがちなのに対し、初型からほとんど駒の動いていない下手陣には打ち込みのキズはありません。
▲3八飛に対し△3二飛と引き上げ、飛車の睨み合いが続くことになるでしょうが、▲1二飛の爆弾を抱えた上手に負担が多いのは間違いありません。
この「▲3六歩戦法」との出会いは私にとって非常に大きなもので、香落ち特有の可能性の一端に触れた瞬間でした。
次回に続きます。
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