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ABEMA地域対抗戦 Aリーグ1位決定戦

3月2日、ABEMA地域対抗戦のAリーグ1位決定戦が放映されました。チーム関西Aを降したチーム関東Aと、チーム北海道・東北を破ったチーム中国・四国という顔合わせとなりました。


先発棋士3人は以下の通り発表されました。
関東A:木村一基九段、近藤誠也七段、石井健太郎六段
中国・四国:黒田尭之五段、菅井竜也八段、藤本渚四段

一局目:木村一基九段 vs 黒田尭之五段

先手の木村九段が相掛かりに誘導し、お互いに飛車先の歩を交換した後、7筋と3筋の歩を取り合います。木村九段が▲7六飛とぶつけると、黒田五段は△8三銀と飛車に紐を付け、△7五歩~△8四銀と先手の飛車に圧力を掛けます。木村九段は角をぶつけて交換してから飛車取りに▲4五角と打ち、▲2三角成と飛び込んで角金交換して竜を作ります。黒田五段は竜取りに△1二角と打ち、6筋突破を図りますが、木村九段は▲2三歩と打って角の利きを止めます。黒田五段はもう1枚の角を△6七角と打ち込ん攻め込みますが、木村九段は▲4五桂から後手玉に迫り、▲6二馬と攻防に利かせて黒田五段の反撃を凌ぎ、最後は即詰みに討ち取りました。
チーム関東A:1勝 - チーム中国・四国:0勝

二局目:木村一基九段 vs 菅井竜也八段

先手の菅井八段は三間飛車に振って石田流を目指し、木村九段が穴熊に囲うと、相穴熊で対抗します。木村九段が△2四角と覗き、△4五銀と中央に厚みを築くと、菅井八段は7筋の歩を突き捨ててから▲4六歩と突いて角で取らせ、▲5三角成と馬を作ります。木村九段は5筋の歩を成り捨てて△5二歩と馬の位置を変え、△7五歩と伸ばして飛車を追ってから△5四飛と回します。菅井八段は馬を飛車と交換して▲6一飛と打ち込み、木村九段が飛車取りに△2五角と打つと、▲2六飛と寄って角と交換し、更にもう1枚の角も取ります。木村九段は△6七飛と打ち込みますが、菅井八段は▲6五角~▲6四角と2枚の角を打って寄せ切りました。
チーム関東A:1勝 - チーム中国・四国:1勝

三局目:近藤誠也七段 vs 菅井竜也八段

後手の菅井八段が三間飛車に振り美濃囲いに構えると、近藤七段は穴熊に囲います。菅井八段は飛先の歩を交換してから△4五桂と跳ね、近藤七段が▲4六角と受けると、△1五角と飛び出して3筋突破を狙います。近藤七段が▲3八飛と受けると、菅井八段は銀を追ってから△5七桂成と飛び込み、6筋の歩を伸ばして"と金"を作ります。近藤七段は9筋を端攻めし、菅井八段が△7四銀と角に当てると、角を見捨てて▲5三歩成と成り捨て、▲2四飛と角と刺し違えて攻め合います。お互いに角で金を食いちぎっては自陣に金を埋める激しい戦いとなりましたが、菅井八段は9筋から反発して△9六飛と打って先手玉を穴熊から追い出し、最後は△4六竜と銀を食いちぎって即詰みに討ち取りました。
チーム関東A:1勝 - チーム中国・四国:2勝

四局目:石井健太郎六段 vs 菅井竜也八段

先手の菅井八段が三間飛車に振り、美濃囲いに構えてから四間飛車に振り直すと、石井六段も右四間飛車で対抗し、エルモ囲いに構えます。石井六段が7筋の歩を突き捨てて飛車を7筋に寄せると、菅井八段は少し時間を使って▲6七金と手堅く受けます。石井六段は6筋の歩を突き捨てて角交換し、△9九角~△6六角成と銀を食いちぎり、飛金両取りに△5七銀と打ち込みます。菅井八段が7筋に作った"と金"を飛車に取らせて利きを外すと、石井六段は金銀交換してから△7八飛成と竜を作ります。菅井八段も▲6三飛成と竜を作り、▲6七角と後手玉のコビンを狙いますが、石井六段は△6二香と田楽刺しにして竜と交換し、△6九飛と打ち込んで寄せ切りました。
チーム関東A:2勝 - チーム中国・四国:2勝

五局目:石井健太郎六段 vs 藤本渚四段

後手の藤本四段が角道を止めて得意の雁木に組むと、石井六段は菊水矢倉に組みます。藤本四段は右玉に構え、飛先の歩を交換してから△3五歩と桂頭を狙い、石井六段が飛車を浮いて受けると、△4四角と飛び出します。石井六段は飛車を3筋に寄せて▲4五桂と跳ね、▲5六銀とぶつけて銀交換し、▲5三歩~▲5二銀と攻め込みます。石井六段が更に▲6五金と桂を食いちぎって▲5六桂と攻めをつなぎ、飛車で角を食いちぎって王手飛車に▲6四角と打つと、藤本四段は△3二玉とかわして△4九飛と王手で打ち込みます。石井六段は銀で合い駒しますが、藤本四段は飛車を取らせる間に△7八桂成と金を剥がし、豊富な持ち駒を活かして△6七銀から先手玉に迫り、△7九飛成と銀を食いちぎって寄せ切りました。
チーム関東A:2勝 - チーム中国・四国:3勝

六局目:佐々木勇気八段 vs 藤本渚四段

関東Aは棋士チェンジし、佐々木八段を送り込みます。先手の藤本四段が相掛かりに誘導し、1筋を端攻めして塚田スペシャルと呼ばれる古い戦法を採用します。佐々木八段が角交換して△2二銀と受け、△4四角と打って飛車を追うと、藤本四段は▲4五桂と跳ねます。佐々木八段が7筋の歩を突き捨てて△8五桂と跳ねると、藤本四段は銀桂交換を甘受して▲6五桂と跳ねます。佐々木八段は△4五桂と桂交換してから△7七角成と飛び込み、馬金交換してから△7七歩成と"と金"を作り、飛車取りに△3六金と打って挟撃態勢を作ります。藤本四段は▲7一角と打って後手玉に迫りますが、佐々木八段は飛金両取りに△4九銀と打って寄せ切りました。
チーム関東A:3勝 - チーム中国・四国:3勝

七局目:佐々木勇気八段 vs 山崎隆之八段

中国・四国は棋士チェンジし、監督が今大会初めて出場します。後手の山崎八段が2手目に△3二金という趣向を見せますが、佐々木八段は淡々と矢倉の陣形を組み、右玉に構えます。佐々木八段は2筋を継ぎ歩で攻め、山崎八段が△3五角と飛車に当てると、▲7六飛と転回します。山崎八段が銀で飛車を追い、△3三桂とぶつけて桂交換すると、佐々木八段は▲4五桂と打ち直して銀桂交換します。山崎八段は△3五桂と打って先手の玉頭から反撃に転じ、佐々木八段が角取りに▲4五銀と上がると、角を見捨てて△4七歩成と成り捨て、△4七桂成と金桂交換します。佐々木八段は▲5三角成と馬を作りますが、山崎八段は飛車を取り合ってから△4九飛と王手で打ち込み、竜を作って寄せ切りました。
チーム関東A:3勝 - チーム中国・四国:4勝

八局目:羽生善治九段 vs 山崎隆之八段

関東Aは棋士チェンジし、1回戦で4連勝した監督が出陣します。先手の山崎八段が相掛かりに誘導し、お互いに飛先の歩を交換します。羽生九段が角を交換すると、山崎八段は3筋の歩を突き捨てて▲3四歩と垂らし、▲3五銀と支えます。羽生九段は△3三歩と合わせて拠点を消し、力強く△5五銀と出て先手陣に圧力を掛けます。羽生九段は金取りに△8九角と打ち、山崎八段が▲6九玉と引いて金に紐を付けると、角で金を食いちぎって△7六金と上部から押さえ込みます。山崎八段は自陣角を打って後手の飛成を防ぎますが、羽生九段は先手の玉頭から攻め込みます。山崎八段は"と金"を作って攻め合いますが、羽生九段は2枚の角を使って即詰みに討ち取りました。
チーム関東A:4勝 - チーム中国・四国:4勝

九局目:羽生善治九段 vs 菅井竜也八段

振り駒で先手となった菅井八段は三間飛車に振り、羽生九段が穴熊を目指すと、美濃囲いに構えます。菅井八段が飛先の歩を交換すると、羽生九段は香取りに△6六角と出ます。菅井八段が▲7七桂と跳ねて防ぐと、羽生九段は△8七歩と垂らします。菅井八段は▲6二歩と金頭を叩き、羽生九段が飛車で取ると、▲6七歩と角を追います。羽生九段が"と金"を作って角を取る間に、菅井八段は▲2三銀成~▲2四成銀と角を取り返し、1筋を端攻めします。羽生九段が△9九角成と馬を作ってから△3二飛と転回すると、菅井八段は▲1三角成と銀を食いちぎります。羽生九段は歩で先手陣を乱しますが、菅井八段は▲3三歩と飛頭を叩き、香取りに▲2五桂と打って寄せ切りました。
チーム関東A:4勝 - チーム中国・四国:5勝

Aリーグ1位決定戦の結果

チーム中国・四国は、エースの菅井八段が決着局を含めて3勝する活躍で、チームを1位通過に導きました。1回戦で2勝した糸谷八段を温存したまま、山崎八段と藤本四段も白星を挙げて貢献し、チームメンバーの層の厚さも示しました。注目の新鋭藤本四段の更なる飛躍があれば、優勝も狙えるチーム力だと思います。
チーム関東Aは、1回戦で出場機会のなかった3人を先発に起用し、木村九段と石井六段が1勝ずつ挙げて期待に応えました。満を持して登場した佐々木八段と羽生九段も1勝ずつ挙げて力を発揮しており、次戦での予選突破は十分可能なチーム力だと思います。

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