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「観る将」が観た第5期叡王戦第三局・第四局

7月19日に行われた第三局・第四局の感想です。叡王戦は対局ごとに持ち時間の変わる珍しいタイトル戦です。第一局・第二局の持ち時間は各5時間で、今期は千日手や持将棋もあり両局とも深夜に及ぶ激闘となりましたが、第三局・第四局の持ち時間は各1時間で1日に2局指されます。

第三局は、先手の永瀬叡王が矢倉(脇システム)から▲2六銀と出る研究手順を見せ、瞬く間にやねうら王の評価では1,000点以上の優勢となりました。ここから豊島竜王名人が辛抱の受けに回り、8筋から反撃に転じるとまさかの入玉模様となり、207手までで第二局に続いて持将棋(引き分け)が成立しました

第四局は、後手の永瀬叡王が横歩取りに誘導し、再び主導権を握る将棋となりました。長手数となりお互いに1分将棋となる中、形勢は二転三転したようですが、232手までで永瀬叡王が死闘を制しました。技術的な解説は専門家にお任せしたいと思いますが、観ているだけで疲れてしまうくらいなので、両者の疲労は大変なものだったと思います。

ここまでの4局は、いずれも永瀬叡王の作戦勝ちで序盤を優位に進めている印象ですが、1勝1敗2持将棋と仕切り直しになっているのは、豊島竜王名人の終盤の粘りによるところが大きいと思います。解説の藤井猛九段から「今日は二人ともキレがない」という声もありましたが、ゆっくり休んでいただき、次局以降も熱戦を期待したいと思います。

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