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第81期順位戦A級の展望

名人戦七番勝負は第三局を終え、まだ勝負の行方は分かりませんがが、次期名人挑戦者を決める順位戦A級の対局順が既に発表されています。A級は毎年1つずつクラスを昇ってきたトップ棋士10人が総当たりで戦い、優勝者が名人に挑戦し、下位2人がB級1組へ降級します。最終戦となる9回戦は、ほとんどの棋士が名人挑戦かA級残留を掛けて深夜まで死闘を繰り広げるため、「将棋界の一番長い日」と呼ばれています。

日本将棋連盟HPから引用

今期の順位戦A級で注目されるのは、何といっても初めてA級に昇級した藤井聡太竜王が、1期目にして名人挑戦権獲得が成るかという点です。1期目の挑戦権獲得はそれ程珍しいことではなく、最近では第79期の斎藤慎太郎八段、第75期の稲葉陽八段、第74期の佐藤天彦八段(当時)の例があります。B級1組までの昇級争いとは異なり、勝ち星が並べば順位に関係なくプレーオフになるという点も、藤井竜王には有利に働く可能性があります。藤井竜王にとっても将棋界最高峰の強豪が鎬を削る順位戦A級で勝ち上がるのは容易ではないと思いますが、今期の大本命であることについて異論はないと思います。

対抗は渡辺明名人か斎藤慎太郎八段になると思います。名人戦七番勝負がどのように決着するのかわかりませんが、渡辺名人は名人獲得の前まで順位戦2年連続全勝で21連勝中ですし、斎藤八段もA級昇級後2年連続8勝1敗と抜群の安定感を誇ります。藤井竜王とは4回戦で激突しますが、この直接対決に勝った方が挑戦権獲得に大きく近づくことになりそうです。

他の挑戦者候補としては、やはり豊島将之九段と永瀬拓矢王座でしょうか。豊島九段は7回戦、永瀬王座は8回戦で藤井竜王との対局が組まれましたので、終盤まで競り合う状況になれば、挑戦者を決める大一番になりそうです。両者は1回戦で対決しますので、勝った方が波に乗って挑戦権争いをリードするかもしれません。豊島九段は2回戦で渡辺名人か斎藤八段と当たりますので、1-2回戦が今期順位戦の流れを決める前半戦の山場になることは間違いありません。

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