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「観る将」が観た小山怜央アマの棋士編入試験第二局

12月12日、小山怜央アマが挑む棋士編入試験の第二局が行われました。第一局で今年度の勝率ランキング1位を快走する徳田拳士四段を破った小山さんが、本局にも勝って合格まであと1勝とするのか非常に注目される一局となりました。

小山さんは12月9日に行われた朝日杯二次予選でも、3年前に3連覇が懸かる藤井七段(当時)を降して優勝した実績のある千田七段を破り、プロとして十分通用する実力を示しています。

第二局の試験官となる岡部怜央四段は2022年4月にプロ入りした23歳で、プロ入り後の成績は12勝8敗(勝率0.600)です。現在行われている第64期王位戦の予選では、近藤誠也七段や佐々木勇気七段ら強豪を破り、王位リーグ入りまであと1勝に迫っています。

戦型は角換わり腰掛け銀

先手の小山さんが角換わりに誘導し、岡部四段は受けて立ち相腰掛け銀の先後同型の駒組みが進みます。小山さんが玉を入城させると、岡部四段は6筋から仕掛けます。小山さんが飛車を6筋に回して受けると、お互いに左銀を前進して盤面中央で睨み合います。

お互いに角打ち

岡部四段が飛先の歩を交換すると、小山さんは4筋の歩を突いて先手の銀を下がらせ、空いたスペースに▲4六角と設置しますが、AIの評価値はわずかに岡部四段に傾いてきたようです。岡部四段は9筋を端攻めし、香を吊り上げて△9八角と打ち込みます。

玉の早逃げ

小山さんは8-9筋を諦め、飛車を2筋に戻してから玉を4筋まで逃がします。岡部四段は角金交換して竜を作りますが、小山さんも銀をぶつけて金と交換し、更に桂を取って馬を作ります。岡部四段が金で銀を取って王手すると、小山さんは力強く▲5六同玉と取ります。先手玉は孤立してかなり危険な状態に見えますが、AIの評価値は逆に小山さんに傾いてきたようです。

ギリギリの攻防

岡部四段は桂を跳ねて攻め駒を増やしますが、小山さんは2筋の銀頭を歩で叩きます。岡部四段は持ち駒の銀2枚を王手で打ちますが、小山さんは玉を引いて安全地帯に逃げ込みます。岡部四段は銀で桂を食いちぎって攻めをつなぎますが、小山さんは玉を2筋まで逃がしてから歩で銀を取って後手玉に迫ります。

華麗な即詰み

岡部四段は金を補充しつつ先手玉に迫りますが、小山さんは構わず▲5一馬と入って詰めろを掛けます。岡部四段は△2五金とタダ捨ての王手という勝負手を放ちますが、小山さんは正確に応じて捕まりません。最後は岡部四段が詰めろ飛車取りを掛けて形を作りますが、小山さんは華麗に歩頭に桂を打って即詰みに討ち取りました。

まとめ

本局はお互いに研究十分と思われる角換わりの流行形となり、岡部四段がペースを掴みかけたように見えました。岡部四段は端攻めから角を金と刺し違えて竜を作り攻め込みましたが、小山さんは一度8筋に囲った玉を4筋まで早逃げして被害を最小限に食い止めると、馬を作って鮮やかに寄せ切る快勝となりました。
小山さんは今年度好調の新四段二人に連勝し、プロ入りに大きく前進しました。次局は1月に予定されていますので、夢の実現に向け力を出し切って欲しいと思います。

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