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ABEMA師弟トーナメント2022決勝

2月11日、ABEMA師弟トーナメント2022 本戦準決勝が放映されました。チーム深浦「大地球」とチーム木村「シン ドラの穴」の顔合わせとなっています。両チームは予選Bリーグ1位決定戦でも顔を合わせ、チーム深浦が3勝1敗で勝って1位通過を決めています。

一局目:深浦康市九段 vs 高野智史六段

チーム木村は、信頼厚い弟子を送り出します。先手の深浦九段が角道を止め、相雁木の将棋となります。しばらく先後同型の駒組みが続き、深浦九段は4筋の歩を交換して桂を跳ね、1筋の歩も突き捨てて香を吊り上げると、6筋の歩をぶつけて角道を開けます。高野六段がノータイムで角交換に応じて桂取りに△4四歩と打つと、深浦九段は6筋の歩を成り捨て、飛先の歩を交換して王手香取りに飛車を走ります。高野六段が金を上がって受けると、深浦九段は5筋に桂を成り捨て、2筋の金頭を叩いて金の両取りを狙います。高野六段が金を1筋にかわすと、深浦九段は香を捨てて攻めをつなぎます。高野六段が△1四香と打って飛車を捕獲すると、深浦九段は飛車取りに桂を打って吊り上げ、▲2三香と田楽刺しに打って桂を取ります。高野六段は飛車を取って王手で打ち込み△2四飛成と玉頭に迫る歩を取ると、深浦九段は▲8一桂成とタダ捨ての勝負手を放ちます。高野六段は冷静に飛車を角と刺し違え、玉を上部に脱出して入玉を果たします。深浦九段も入玉を目指しましたが点数が足りず、無念の投了となりました。
チーム深浦:0勝 - チーム木村:1勝

二局目:佐々木大地七段 vs 木村一基九段

チーム深浦は、弟子が流れを変えに出陣します。先手の木村九段が相掛かりに誘導し、お互いに飛先の歩を交換します。佐々木七段が7筋の歩を突き捨てて△6五桂と跳ねると、木村九段は角を交換してから銀を上がって受けます。佐々木七段が2分程考えて△3三角と打つと、木村九段も1分程考えて角を合わせます。佐々木七段は8筋に歩を合わせて飛車を走り、木村九段が角を交換すると、飛車を7筋に寄せます。再び角を打ち合い、佐々木七段が飛車を角と刺し違えて△8八角成と金を取って馬を作ると、木村九段は▲6二歩と金頭を叩き、▲5三桂成と成り捨て、王手金取りに▲5一飛と打ち込みます。佐々木七段は玉を引いて金に紐を付けますが、木村九段は▲4一飛成と竜を作って金に当てます。受けが利かなくなった佐々木七段は銀取りに△7六桂と打って攻め合いますが、3分近く残していた木村九段は慎重に考えて▲4五桂から即詰みに討ち取りました。
チーム深浦:0勝 - チーム木村:2勝

三局目:深浦康市九段 vs 高野智史六段

両チームとも順番を変えず、一局目と同じ顔合わせになりました。前局と同様に相雁木の将棋となりますが、深浦九段は5筋の歩を突き合う工夫を見せます。じっくりした駒組みとなり、深浦九段が飛先の歩を交換すると、高野六段も飛先の歩を交換します。深浦九段が1筋の歩を突き捨て▲1三歩と垂らして香を吊り上げると、高野六段は7筋の歩をぶつけて桂頭を狙います。深浦九段は歩で飛車を追い返してから7筋の歩を取り、4筋の歩を突いて角の利きを香に当てます。高野六段が飛車を1筋に回して受けると、深浦九段は8筋で桂をぶつけて交換し、4筋の歩を伸ばします。高野六段は銀を取らせる代わりに△3七歩成と桂を取って"と金"を作り、角銀両取りに△4七"と"と寄ります。深浦九段は4筋の歩を成り捨てて▲3五桂と王手し、更に▲5三銀と追ってから▲2三桂成と飛び込んで金に当てます。高野六段が角を取ると、深浦九段も金を取って激しく攻め合います。高野六段は歩で先手の飛車を押さえ込み、△5七角~△7五角上と2枚の角で先手陣を崩します。深浦九段も反撃してギリギリの攻防となりましたが、最後は高野六段が即詰みに討ち取りました。
チーム深浦:0勝 - チーム木村:3勝

ABEMA師弟トーナメント2022決勝の結果

チーム木村は、弟子の高野六段が本戦に入ってから負けなしの4連勝で、チームの優勝に大きく貢献しました。師匠の木村九段も安定した内容で勝利を重ね、弟子が伸び伸びと指せる要因になっていたと思います。木村九段としては、第4-5回ABEMAトーナメントで2回続けて決勝で涙を飲んできましたが、弟子とタッグを組んだABEMA師弟トーナメントでついに優勝の栄誉に輝きました。
チーム深浦は予選からフルセットの試合が多く、苦しみながらも勝負強く勝ち上がってきましたが、決勝では惜しくも力尽きました。師匠の深浦九段と弟子の佐々木七段は日頃から関係性も深く、将棋界の伝統である師弟関係の良い面を伝えてくれました。次回も開催されれば、是非優勝して欲しい好チームだったと思います。

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