見出し画像

「観る将」が観た第4回ABEMAトーナメント予選Aリーグ第二試合

4月17日にABEMAトーナメント予選Aリーグ第二試合が放映されました。チーム藤井「最年少+1」対チーム三浦「シン・ミレニアム」の顔合わせとなりました。

■一局目 高見七段vs本田五段
高見七段が対局前に「本田さんの著書を読んで勉強している」とジャブを放ちましたが、先手の本田五段は怯まずに得意の相掛かりで挑みます。ジリジリした序盤戦となりましたが、高見七段は2枚の銀を盤面中央に繰り出します。本田五段も左銀を繰り出し一気に決戦となりましたが、高見七段は終始前へ前へと駒を進めて攻め切りました。

■二局目 藤井二冠vs三浦九段
二局目からリーダー同士の対決となりました。両者が決勝で戦った朝日杯の後の収録だったようで、三浦九段にとってはリベンジマッチとなりました。後手の三浦九段の誘導で横歩取りの将棋となりましたが、三浦九段は昔多かったという△3三桂型の駒組みで藤井二冠の持ち時間を削ります。三浦九段の金無双に対して、藤井陣は左側が壁になり、三浦九段が2筋にと金を作った辺りではやや優勢になったかと思われました。しかし藤井二冠は相手の大駒を抑え込み、反撃に転じてからは鮮やかに寄せ切りました。

■三局目 伊藤(匠)四段vs高野五段
第一試合で大活躍した伊藤四段の登場です。先手の高野五段は角換わりに誘導し右玉に構え、伊藤四段は矢倉に組みます。中盤からは激しく駒がぶつかり合い、若手同士らしい熱戦となりましたが、高野五段は遠見の角を打ってからペースを掴みます。最後は高野五段が金のタダ捨てという派手な王手を放って即詰みに討ち取りました。

■四局目 高見七段vs本田五段
一局目と同じ顔合わせとなり、先後が入れ替わります。先手の高見七段が矢倉に誘導し、本田五段は雁木で対抗します。本田五段は玉頭に厚みを作り、金銀3枚を四段目まで進めて相手の飛車角を押え込みにいきます。3-4筋の激しい攻防となり、本田五段は強気の受けで抵抗しますが、高見七段は緩急自在の攻めで攻略します。本田五段は9筋からの端攻めに逆転を託しますが、高見七段は馬を作って端攻めを受けてから、竜を作って相手玉に迫り寄せ切りました。

■五局目 藤井二冠vs三浦九段
両チームともオーダーを変えず、またも二局目と同じ顔合わせとなりました。先手の三浦九段は作戦家らしく、相掛かりの出だしからひねり飛車の趣向を見せますが、藤井二冠も△2三金と上がって相手の飛車に圧力を掛けます。三浦九段が飛車交換した局面は藤井陣に隙が多く、主張が通ったように見えました。しかし藤井二冠は2一にいた桂を3三→4五→5七→4九と軽やかに跳ね、隙のない構えに見えた三浦陣の唯一の弱点5七の地点を狙った華麗な寄せで、瞬く間に三浦九段を投了に追い込みました。

■六局目 伊藤(匠)四段vs高野五段
本局もまた三局目と同じ顔合わせとなりました。先手の伊藤四段が相掛かりに誘導し、高野五段も受けて立ちました。伊藤四段が3筋の位を取ったのに対し、高野五段は角交換後に△5四角と両睨みの角を打って対抗します。伊藤四段はこの角を目標に追い回し捕獲に成功しますが、高野五段も銀桂を奪ってバランスを保ちます。互いの玉頭での激しい戦いとなり、高野五段の迫力ある攻撃が決まったかに見えましたが、うまくかわした伊藤四段は敵陣に2枚の角を打ち込んで即詰みに討ち取りました。

【チーム藤井 5勝 vs チーム三浦 1勝】
チーム藤井が5勝1敗でチーム三浦を圧倒し、予選の1位通過を決めました。第一試合に続いて一局目に登場した高見七段が勝ってチームに勢いをつけると、伊藤四段が敗れた後の四局目でも見事な勝利を収め、相手に流れを渡しませんでした。藤井二冠はリーダー同士の対局に連勝し、特に五局目では実戦で見たことのない桂の四段飛びを成功させ、チームの勢いを加速させました。伊藤四段は今大会初黒星を喫しましたが、チームの勝利を決定した六局目でリベンジを果たし、精神的な強さも見せてくれました。強豪ぞろいのAリーグで、3人がそれぞれ1敗しかしなかった安定感は抜群で、やはりこのチームが有力な優勝候補であることを印象付ける戦いだったと思います。
チーム三浦は敗れましたが、次の第三試合でチーム稲葉と対戦し、勝った方が予選通過となります。前回のチーム「ミレニアム」は予選2位通過からベスト4に進出していますので、今回も予選通過しての躍進を期待したいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?