ABEMA地域対抗戦 Bリーグ2位決定戦

3月23日、ABEMA地域対抗戦のBーグ2位決定戦が放映されました。1回戦でも顔を合わせたチーム関東Bとチーム九州の再戦となりました。

先発棋士3人は以下の通り発表されました。
関東B：森内俊之九段、伊藤匠七段、増田康宏七段
九州：古賀悠聖五段、佐藤天彦九段、佐々木大地七段
※本稿では収録当時の段位で記述させていただきます。

一局目：森内俊之九段 vs 古賀悠聖五段

振り駒で先手となった古賀五段が相掛かりに誘導し、お互いに飛先の歩を交換してから、森内九段は右銀を繰り出します。古賀五段は角を交換して銀冠の形に組み、森内九段が金矢倉の堅陣を築くと、▲4六角と据え、香取りに▲6四角と飛び出します。森内九段は△3七角と打ち返し、古賀五段が角を交換してから飛車を8筋に転回すると、金銀両取りに△5五桂と打ち銀桂交換します。古賀五段は自陣角を打って辛抱しますが、森内九段金で角を攻めて角金交換し、飛車取りに角を打って飛角交換し、もう1枚の角を王手で打ち込み馬を作ります。古賀五段は6筋に"と金"を作って入玉も視野に入れますが、森内九段は上部から先手玉を押さえ込み、△8九竜と金を食いちぎって寄せ切りました。
チーム関東B：1勝　－　チーム九州：0勝

二局目：森内俊之九段 vs 佐藤天彦九段

後手の佐藤九段が振り飛車を思わせる出だしから居飛車を採用して雁木に組むと、森内九段は矢倉に構えます。佐藤九段が4筋の位を取り、8筋を継ぎ歩攻めしてから6筋の歩をぶつけると、森内九段は1筋を端攻めして後手陣を乱します。佐藤九段は△8六歩と垂らしてから△8五桂と跳ね、森内九段が2筋の歩を突き捨てて▲3五歩とぶつけると、△4五歩と銀頭を叩きます。森内九段は銀を見捨てて5筋の歩を成り捨て、角を取り合ってから▲2六飛と銀を取り返しますが、佐藤九段は王手で△6九角と打ち込んで馬を作り、△6八馬の王手飛車から即詰みに討ち取りました。
チーム関東B：1勝　－　チーム九州：1勝

三局目：伊藤匠七段 vs 佐藤天彦九段

先手の佐藤九段が中飛車に振り美濃囲いに構えると、伊藤七段は左右の銀を繰り出して急戦を挑みます。伊藤七段が△6五桂と跳ねると、佐藤九段は▲6五銀と桂を食いちぎり、銀取りに▲6六桂と打ちます。伊藤七段は△5三歩と支え、佐藤九段が飛車取りに▲4六角と飛び出すと、△6四銀と打って辛抱します。佐藤九段が銀桂交換すると、伊藤七段は△7七銀成と桂を取り、飛車取りに△6八銀と放り込みます。佐藤九段は金を取らせる代わりに5三銀とねじ込んで殺到し、伊藤七段が△5五桂と反撃すると、角で桂を食いちぎって金取りに▲5四桂と打って攻め続けます。伊藤七段は1筋を端攻めし、△9三角と王手飛車から飛車を取って攻め合いましたが、佐藤九段は▲4二金から角を取り、即詰みに討ち取りました。
チーム関東B：1勝　－　チーム九州：2勝

四局目：増田康宏七段 vs 佐藤天彦九段

後手の佐藤九段が9筋の位を取って四間飛車に振り美濃囲いに構えると、増田七段は銀冠に囲って9筋から反発します。佐藤九段は△8五桂と跳ね、増田七段が▲8六角とかわすと、△8四銀～△8三金と力を溜めます。増田七段が3筋から反撃すると、佐藤九段は△9七歩と打って桂交換し、△8五歩～△8六桂と先手の玉頭に拠点を作って攻め込みます。増田七段は角道を通して角交換し、佐藤九段が飛車を6筋に回すと、▲2四飛と走ります。佐藤九段は懸命に飛車を追って粘りますが、増田七段は▲5三飛成と作った竜を取らせる間に、▲6一角成と飛車を取り返して馬を作り、▲7一馬と金を食いちぎって寄せ切りました。
チーム関東B：2勝　－　チーム九州：2勝

五局目：増田康宏七段 vs 佐々木大地七段

先手の佐々木七段が相掛かりに誘導し、お互いに飛先の歩を交換すると、増田七段は角を交換します。佐々木七段が▲4五銀とぶつけると、増田七段は△8五桂と跳ねます。佐々木七段は▲8六銀とかわし、増田七段が6筋の歩をぶつけると、銀を交換して金取りに▲6三銀と打ち込みます。増田七段は構わず飛車取りに△6五角と打ち、佐々木七段が▲5六角と合わせると、王手角取りに△6七銀と打ち込み、金と交換してから△6三金と銀を取ります。佐々木七段は飛金両取りに▲7二銀と打ち、増田七段が飛車を取らせる代わりに角を取ると、王手金取りに▲6一飛と打って金を取りつつ竜を作ります。増田七段は△3八角と打って2枚目の馬を作り、馬を取らせる代わりに竜を取り、最後は即詰みに討ち取りました。
チーム関東B：3勝　－　チーム九州：2勝

六局目：増田康宏七段 vs 古賀悠聖五段

後手の古賀五段が角道を止めて矢倉に組むと、増田七段は雁木に構えます。古賀五段は△6四角と先手の駒組みを牽制し、増田七段が右四間飛車に構えると、菊水矢倉に組み替えます。古賀五段は△3八角と打ち込んで馬を作り、増田七段が▲6一角と打ち込むと、馬の利きを通して角取りを狙います。増田七段が飛車を馬と刺し違えると、古賀五段は△6九飛と打ち込み、金取りに△4六桂と打ちます。増田七段は▲7八銀と引いて飛車に当て、古賀五段が△1九飛成と香を取って竜を作ると、角で銀を食いちぎり、▲6五桂と飛車を捕獲し、▲5一飛と王手で打ち込み竜を作ります。古賀五段は△4八竜～△6七角と攻め合いますが、増田七段は攻防に▲6六角と打ち、▲3三桂左成からの即詰みに討ち取りました。
チーム関東B：4勝　－　チーム九州：2勝

七局目：増田康宏七段 vs 佐藤天彦九段

先手の佐藤九段が四間飛車に振り美濃囲いに構えると、増田七段は△6五歩～△6四銀と繰り出し、角を交換して△7九角と打ち込み馬を作ります。佐藤九段が8筋から逆襲すると、増田七段は△8八歩と飛頭を叩いて馬を飛車と交換し、飛車を打ち込んで△9九飛成と竜を作ります。佐藤九段は▲6四角と据え、増田七段が6筋に"と金"を作ると、4筋の歩を成り捨てて▲4四歩と金頭を叩きます。増田七段は△5三金と角を追い、佐藤九段が▲7三角成と馬を作って飛車に当てると、なんと△8三歩と飛車を支える手が痛恨の二歩！となり、反則負けとなりました。
チーム関東B：4勝　－　チーム九州：3勝

八局目：永瀬拓矢九段 vs 佐藤天彦九段

チーム関東は棋士チェンジし、温存していた永瀬九段を送り込みます。後手の佐藤九段は9筋の位を取って四間飛車に振り、永瀬九段が▲6八角と引いて2筋を睨むと、△3一金と備えます。永瀬九段が穴熊に囲うと、佐藤九段はダイヤモンド美濃に構えます。永瀬九段が角を交換して竜を作り、▲3三竜と桂を取ると、佐藤九段は△6四角～△3七角成と桂を取って馬を作ります。永瀬九段は▲3二金～▲4二角と飛車を捕獲し、佐藤九段が9筋から玉頭を攻めると、▲8六桂～▲9四桂打と凌ぎ、角を馬と交換して▲8二角と打って即詰みに討ち取りました。
チーム関東B：5勝　－　チーム九州：3勝

Bーグ2位決定戦の結果

チーム関東Bは、ここまでエース級の活躍だった伊藤七段が敗れたものの、今大会不調だった増田七段が3連勝し、永瀬九段も待望の初白星を挙げ、優勝候補筆頭として層の厚さを見せつけました。森内九段も着実に白星を重ねており、ポイントゲッターの3人が復調すれば優勝が近づいてくると思います。
チーム九州は、1回戦で活躍した古賀五段と佐々木七段がこの日は白星に恵まれず、佐藤九段が3勝して意地を見せたものの、残念ながら予選敗退となりました。監督の深浦九段を中心として強豪相手に一丸となって立ち向かう姿は、スローガンの「九州に誇りとパワーを」感じさせる素晴らしいチームだったと思います。