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ABEMAトーナメント2023 予選Dリーグ第二試合

6月24日に、ABEMAトーナメント2023の予選Dリーグ第二試合が放映されました。第一試合に勝って勢いに乗るチーム康光「駅伝」と、レジェンドと新鋭をチームに迎えたチーム糸谷「鉄拳流」の顔合わせとなっています。

一局目:大橋貴洸七段 vs 糸谷哲郎八段

チーム糸谷は初戦からリーダーが登場します。振り駒で先手となった糸谷八段が角換わりに誘導し、早繰り銀で3筋から仕掛けます。大橋七段が腰掛け銀に構えると、糸谷八段は▲7九金と寄って桂に紐を付けます。糸谷八段が▲3四歩と銀頭を叩くと、大橋七段は△4四銀とぶつけます。糸谷八段は銀交換に応じてから▲3五角と打ち、大橋七段が玉を6筋に早逃げすると、香取りに▲4四角と出ます。大橋七段が歩で防ぐと、糸谷八段は歩を交換してから1筋に角を引きます。大橋七段は金を前進して先手の大駒を押さえ込みますが、糸谷八段は金取りに▲3七桂と跳ねますが、大橋七段は銀取りに△4三歩と打ち、お互いに銀と金を取り合います。大橋七段が2枚の銀を打って飛車を攻めますが、糸谷八段は▲3八歩と打って切り返し、▲2二角と打ち込んで馬を作ります。時間に追われながら先手からの攻撃を凌いだ大橋七段は△4七金とぶつけますが、糸谷八段は▲6九銀と辛抱し、飛車を取らせる代わりに金桂を取ります。大橋七段は△2八飛と王手しますが、糸谷八段は桂で合い駒し、▲2四歩から金銀を奪います。大橋七段は8筋からも攻め込みましたが届かず、馬の利きを活かした糸谷八段が寄せ切りました。
チーム康光:0勝 - チーム糸谷:1勝

二局目:高見泰地七段 vs 森内俊之九段

チーム糸谷は新鋭を先手番で使うため、森内九段が出陣します。先手の高見七段が相掛かりに誘導し、お互いに飛先の歩を交換して、森内九段は腰掛け銀に構えます。高見七段が1筋を端攻めして▲1三歩と垂らすと、森内九段は7筋の歩を取り込み先手陣の金銀を上ずらせます。高見七段は1筋で香を交換して飛車取りに▲8六香と打ち、後手に歩を使わせてから桂取りに▲1四歩と打ちます。森内九段は飛銀両取りに△1八角と打ち込みますが、高見七段は飛車を浮いて銀に紐を付けます。森内九段は△2四銀と桂に紐を付け、8筋の香を取って▲7一香~▲7三香打と二段ロケットを設置します。高見七段が1筋の桂を取って"と金"を作り、▲2三"と"と捨ててから▲1六飛と回ると、森内九段は▲7五香と金銀を田楽刺しにします。高見七段は▲1二飛成と王手で竜を作り、森内九段に歩で合い駒させてから銀香交換し、▲7六歩と2枚目の香を受け止めます。森内九段は8筋の歩をぶつけますが、高見七段は飛車取りに▲7四桂と打ち、▲2一竜と後手玉に迫ります。森内九段は銀を投じて詰めろを逃れますが、高見七段は▲3二角と打ち、そのまま竜を切って即詰みに討ち取りました。
チーム康光:1勝 - チーム糸谷:1勝

三局目:佐藤康光九段 vs 徳田拳士四段

チーム康光はリーダーが登場し、初出場の徳田四段との初対局が実現しました。後手の佐藤九段が△3三角と上がり、角を交換させて坂田流向かい飛車に構えると、徳田四段は左美濃に囲います。佐藤九段が穴熊を目指すと、徳田四段は6筋の位を取って高美濃に組み替えます。佐藤九段は△7三角と打って4筋の歩を狙い、徳田四段が飛車を4筋に回して受けると、△2四歩とぶつけます。徳田四段は▲8五桂と跳ね、佐藤九段が角を8筋に上がってかわすと、▲7七角と据えます。佐藤九段は2筋の歩を取り込みますが、徳田四段が4筋の歩を伸ばすと、飛車を7筋に転回します。徳田四段が2筋に歩を垂らすと、佐藤九段は7筋の歩を伸ばして先手の角を追います。徳田四段が▲7三歩と飛頭に打ち込み、桂で取らせて▲7四歩と追撃すると、佐藤九段は桂を交換して△5五桂と先手の角の利きを止めます。徳田四段が▲4四歩と打って角銀交換し、▲8四歩から後手玉の玉頭に攻め掛かると、佐藤九段も7筋の歩を伸ばして攻め合います。徳田四段は金で歩を食いちぎって自陣の傷を消し、王手金取りに▲8三桂と打って後手陣を崩すと、▲6四角と銀を食いちぎって寄せ切りました。
チーム康光:1勝 - チーム糸谷:2勝

四局目:高見泰地七段 vs 森内俊之九段

チーム康光はジャンケンに勝った高見七段が出陣し、二局目と同じカードとなりました。先手の高見七段が再び相掛かりに誘導すると、森内九段は角を交換し、お互いに銀冠に構えます。高見七段が▲4六角と据えると、森内九段は△4五銀とぶつけて銀交換します。高見七段は▲6五桂と跳ねますが、森内九段は△6九銀と割り打ちし、金銀交換してから△3九角と打って馬を作ります。高見七段が2筋の歩を合わせると、森内九段は△3八馬と飛車に当てます。高見七段は構わず2筋の歩を取り込み、▲7三桂成と飛び込み、飛車を取らせる代わりに▲2三歩成から金を1枚剥がします。高見七段が▲2三歩~▲2四銀と2筋を制圧すると、森内九段は△7七歩と金頭を叩きます。高見七段は1分半程考え、▲6三成桂と寄って攻め合いに託しますが、森内九段は金を取ってから3筋の歩を突いて飛車の横利きを銀に当てます。高見七段は▲5五角と後手陣を睨みますが、森内九段は△2四飛と銀を取り、再度△7七歩と銀頭を叩いて寄せ切りました。
チーム康光:1勝 - チーム糸谷:3勝

五局目:大橋貴洸七段 vs 徳田拳士四段

チーム糸谷は勢いのある徳田四段を送り込みます。先手の徳田四段が角換わりに誘導し腰掛け銀に進めると、大橋七段は早繰り銀に構えて7筋から仕掛けます。徳田四段が▲6五歩と突いて銀を追い返してから▲7七角と据えると、大橋七段は3筋の歩をぶつけます。徳田四段は銀を引いて桂頭を受けますが、大橋七段は△9四角と打って間接的に先手の銀を睨みます。作戦会議室では佐藤九段が「角換わり業界に参入しようと思っていたけど無理だな」とつぶやいています。徳田四段は銀を引いて金と連携させますが、大橋七段は8筋の歩を突き捨て△8八歩と追撃します。徳田四段は2分近い長考の末に2筋の歩を突き捨て、▲2二歩と叩いて十字飛車を狙いますが、大橋七段は冷静に△7三歩と銀に紐を付けます。大橋七段が△6七角成と銀を食いちぎって飛車を走ると、徳田四段は▲7七角打と辛抱します。大橋七段が2分近く考えて、△7九銀と捨ててから△8九竜と桂を取ると、徳田四段は▲7八銀と打ち、角を取らせて竜を捕獲します。大橋七段は意表を突かれたか残り22秒まで考えて角を打ち、竜を取らせる代わりに金を取って馬を作り、△2四桂~△3五桂と2枚の桂で攻め続けます。徳田四段が▲2九飛と引いて馬に当てると、時間に追われた大橋七段は馬を取らせる代わりに角を取り、△6五銀~△6六銀打と先手玉の玉頭を押さえつけます。徳田四段は上部に脱出しますが、大橋七段は△8八角の王手飛車から飛車を取り寄せ切りました。
チーム康光:2勝 - チーム糸谷:3勝

六局目:大橋貴洸七段 vs 糸谷哲郎八段

チーム康光は勝った大橋七段が連投し、一局目と同じ顔合わせになります。後手の糸谷八段が得意の一手損角換わりを採用すると、大橋七段は早繰り銀で応じ、3筋の歩を交換します。糸谷八段が銀矢倉に構えて受けると、大橋七段は▲6四銀と出て1歩得となります。糸谷八段が飛車を6筋に寄せ、△5六銀と出て1歩取り返すと、大橋七段は飛先の歩を交換し、▲2二歩と叩いて後手陣を乱します。糸谷八段は8筋を継ぎ歩で攻めて先手陣を乱すと、金取りに△6九角と打ち込み、大橋七段が▲6八金右と寄ると、△6七銀不成と攻め込みます。大橋七段が金で角を取ると、糸谷八段は△7六銀不成と王手を掛けつつ飛車先を通します。大橋七段は玉で銀を取りますが、糸谷八段は△6九飛成と金を取り返して竜を作ります。大橋七段は▲6四角の王手から▲5三銀と詰めろを掛け、そのまま寄せ切りました。
チーム康光:3勝 - チーム糸谷:3勝

七局目:高見泰地七段 vs 徳田拳士四段

チーム糸谷は先手番を徳田四段に託します。先手の徳田四段が相掛かりに誘導し、お互いに飛先の歩を交換すると、横歩も取ります。高見七段が6筋の歩も取らせて、飛香両取りに△5五角と打つと、徳田四段は角を合わせて飛角交換します。徳田四段が▲8三角と打って馬を作ると、高見七段は桂を交換してから△5五桂と打って馬を追います。徳田四段が▲5七馬と飛車にぶつけると、高見七段は馬飛交換に応じて△5六角と打ちます。徳田四段が▲6一飛と王手で打ち込み、▲2五桂と後手玉の上部に拠点を作ると、高見七段は7筋の歩を取り込んで桂頭を攻めます。徳田四段が▲3三桂成と銀桂交換し、再度▲2五桂と金取りに打つと、高見七段は△7七歩成~△6五桂と角銀両取りに打って攻め合います。徳田四段が金桂交換してから▲4二銀と後手玉に迫ると、高見七段は持ち駒の飛車を自陣に打って粘ります。徳田四段は▲7二竜と攻防に利かせますが、高見七段は△8五桂と追撃し、詰めろ竜取りに△4二飛と銀を取って鮮やかに決めました。
チーム康光:4勝 - チーム糸谷:3勝

八局目:佐藤康光九段 vs 糸谷哲郎八段

チーム康光は残り2局をリーダーが受け持ち、リーダー対決となりました。先手の佐藤九段が三間飛車に振り美濃囲いに構えると、角を交換してから向かい飛車に振り直します。糸谷八段が△4二角と自陣に据え、7筋の歩をぶつけると、佐藤九段は▲6五桂とぶつけて桂を取り合います。糸谷八段が7筋の歩を取り込んで飛車を7筋に寄せると、佐藤九段は▲8二角と打ち込んでから飛車を7筋に回して受けます。糸谷八段が8筋の歩を交換して△8六角と飛び出すと、佐藤九段は▲9一角成と香を取り、飛車を8筋に戻して角に当てます。糸谷八段が飛角交換に応じると、佐藤九段は▲6四香と打って銀を引かせ、▲9三角成と2枚目の馬を作ります。糸谷八段は金取りに△5八飛と打ち込んで竜を作りますが、佐藤九段は飛銀両取りに▲9四馬と引いて飛車を捕獲します。糸谷八段が△3五桂と銀取りに打ち、飛車で香を食いちぎって△2七香と打って先手陣を崩すと、佐藤九段は▲7一飛と打ち込んで詰めろを掛けます。糸谷八段は△5三銀と引いて詰めろを逃れると、△3九金から寄せ切りました。
チーム康光:4勝 - チーム糸谷:4勝

九局目:佐藤康光九段 vs 森内俊之九段

タイスコアとなり、決着局はレジェンド対決となりました。振り駒で後手となった佐藤九段が9筋の位を取ると、森内九段は飛先の歩を交換します。佐藤九段が3筋の歩を伸ばして△9二飛~△9四飛と浮くと、森内九段は銀を前進して3筋の歩を狙います。佐藤九段は△2四飛とまわりますが、森内九段が角交換すると大きく首を傾げます。森内九段が▲1五角と間接王手飛車を掛けると、佐藤九段はがっくり項垂れますが、形勢はまだほぼ互角のようです。佐藤九段は気を取り直して△6四角と打ちますが、森内九段は▲2五銀と出て飛銀交換します。佐藤九段は△3七歩成と踏み込みますが、森内九段は角で銀を食いちぎり、▲2一飛成と竜を作ります。佐藤九段は3筋を攻めますが、森内九段は▲2五桂と捨ててから▲3三歩と金頭を叩いて攻め合います。佐藤九段は△5六桂と歩頭に放ち、△1三角と飛車取りに打ちますが、森内九段は▲3二歩成から竜を1枚切って金と銀を剥がします。佐藤九段が△2九飛~△5七角成と先手玉に迫ると、森内九段は▲6六銀と打って馬と交換します。勝勢となった森内九段は自玉の安全を最優先にして佐藤九段の反撃を凌ぎ、9筋まで逃げ込んだ後手玉を寄せ切りました。
チーム康光:4勝 - チーム糸谷:5勝

第二試合の結果

チーム糸谷は、リーダーの糸谷八段が要所で2勝を挙げチームを牽引しました。森内九段も決着局を含めて2勝を挙げ、チームの勝利に大きく貢献しました。初出場で注目された徳田四段も3局とも熱戦を繰り広げ、相手のリーダーから貴重な1勝をもぎ取って大きな戦力と成り得ることを示しています。世代の離れた3人のメンバーですが、それぞれが力を発揮しており、予選突破に向け順調な滑り出しを見せたと思います。
チーム康光は、チームが苦しい状況で大橋七段が第一試合に続いて連投連勝の活躍を見せ、チームの予選突破に大きく貢献しました。高見七段も3戦2勝と力を発揮し、チームの期待に応えています。リーダーの佐藤九段がこの試合では白星に恵まれませんでしたが、決着局では序盤のうっかりから大熱戦に持ち込む力強さを見せており、本戦ではチームを牽引する活躍を期待したいと思います。

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