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ABEMA地域対抗戦 Aリーグ1回戦第一試合

いよいよABEMA地域対抗戦が始まりました。1月20日に放映された開幕戦は、羽生善治九段が監督の関東Aチームと、谷川浩司十七世名人が監督の関西Bチームという、将棋界を代表するレジェンドが率いるチーム同士の対決となりました。


先発棋士3人は以下の通り発表されました。
関東A:佐々木勇気七段、羽生善治九段、近藤誠也七段
関西A:出口若武六段、稲葉陽八段、久保利明九段

一局目:佐々木勇気八段 vs 出口若武六段

意外なことに両者にとって初めての対戦となります。振り駒で先手となった出口六段が角換わりに誘導し、両者とも6分以上に時間を増やして相腰掛け銀の駒組みを進めます。佐々木八段が6筋から仕掛けると、出口六段は飛車を6筋に回し、▲6四歩と垂らし、▲6三角と打ち込んで反発します。佐々木八段は歩で先手陣を乱してから角金交換しますが、出口六段は"と金"を2枚作って後手の飛車を押さえ込みます。佐々木八段は飛車で"と金"を1枚取ってから王手馬取りに△4三角と打ち、出口六段が馬を見捨てて飛車を取ると、飛車取りに△4七角と打って先手玉を縛ります。出口六段は角取りに▲5一飛と打ち込んで下駄を預けますが、佐々木八段は△8六銀の王手から寄せ切りました。
関東Aチーム:1勝 - 関西Aチーム:0勝

二局目:佐々木勇気八段 vs 稲葉陽八段

先手の佐々木八段が角換わりに誘導し、相腰掛け銀の将棋となります。稲葉八段が6筋から仕掛けて△4四銀と左銀の活用を図ると、佐々木八段は飛車を5筋に回して歩を支え、▲4七角と打って桂頭を守ります。稲葉八段は9筋を端攻めして△8五角と打ち、桂を取らせる代わりに香を取ります。稲葉八段は△8四香と打ち、佐々木八段が▲6九角と引いて玉頭を守りますが、△8七香成から清算して突破します。佐々木八段は▲3四歩と銀頭を叩いて反撃しますが、稲葉八段は△6八銀不成の王手飛車角取りから飛車を取ります。佐々木八段は詰めろ逃れの詰めろで▲8四角と打ちますが、稲葉八段は冷静に受けて逃げ切りました。
関東Aチーム:1勝 - 関西Aチーム:1勝

三局目:羽生善治九段 vs 稲葉陽八段

先手の稲葉八段が相掛かりに誘導し、お互いに飛先の歩を交換して浮き飛車に構えます。羽生九段が△4四角と上がって3筋の歩を狙うと、稲葉八段は6筋の歩を伸ばして角をぶつけます。羽生九段が角を交換して4筋の歩をぶつけると、稲葉八段は▲5五桂と打って後手の銀を上がらせ、▲3四角と王手して▲2三角成と飛び込みます。羽生九段は飛車取りに△4四角と打ち、稲葉八段が飛車を浮いてかわすと、銀をぶつけて交換し、更に△7七角成と銀を食いちぎり△3六銀と退路を封鎖します。稲葉八段は玉を中段に逃がして粘りましたが、羽生九段は慎重に時間を使って即詰みに討ち取りました。
関東Aチーム:2勝 - 関西Aチーム:1勝

四局目:羽生善治九段 vs 久保利明九段

後手の久保九段が9筋の位を取り四間飛車に振ると、羽生九段はミレニアムに構えます。久保九段は向かい飛車に振り直して4筋から仕掛けて桂を取り、更に7筋の桂頭を攻めると、羽生九段は桂を交換してから▲8五桂と王手し後手陣を乱します。久保九段は△7七桂と王手して銀桂交換し、△5三角と出て角交換を狙いますが、羽生九段は銀取りに▲3五桂と打って拒否します。久保九段が△3四銀とかわすと、羽生九段は銀交換に応じ、▲4三桂成と詰めろを掛けつつ飛車の利きを通します。久保九段は歩で先手の飛車と角の利きを止めますが、羽生九段は飛車をぶつけて交換し、再度詰めろを掛けます。久保九段は王手で銀をタダ捨てし、△3八飛と王手角取りから角を取りますが、羽生九段は▲4一飛と王手し寄せ切りました。
関東Aチーム:3勝 - 関西Aチーム:1勝

五局目:羽生善治九段 vs 佐藤康光九段

関西Aはメンバーチェンジし、新旧会長対決となります。先手の佐藤九段が3手目に▲7八金と上がって振り飛車に誘いますが、羽生九段は飛先の歩を伸ばし、先手は雁木、後手は矢倉の将棋となります。佐藤九段が力強く▲4七金と上がって4筋から仕掛けると、羽生九段は△3三角と上がって角交換します。佐藤九段は飛車取りに▲7二角と打ち込んで馬を作りますが、羽生九段は4筋で桂を交換し、銀取りに△5五桂と打って銀桂交換します。羽生九段が更に飛車取りに△3八角と打って馬を作ると、佐藤九段は▲4四歩と金頭に打って金銀交換します。羽生九段は先手からの攻めを丁寧に受けてから△3八飛と打ち込み寄せ切りました。
関東Aチーム:4勝 - 関西Aチーム:1勝

六局目:羽生善治九段 vs 稲葉陽八段

追い詰められた関西Aは、エース稲葉八段に託します。先手の羽生九段が相掛かりに誘導し、両者とも浮き飛車に構えると、稲葉八段は角を交換し△2八角と打ち込んで馬を作ります。羽生九段は▲2七角と打って後手の馬を閉じ込め、▲6五桂と跳ねて後手の玉頭を狙います。羽生九段は4度に渡り▲3三歩と垂らし、稲葉八段が4度目に手抜いて△2五桂と跳ねると、待望の"と金"を作ります。稲葉八段が桂交換して金取りに△4五桂と打って先手の角の利きを止めると、羽生九段は構わず7筋の歩を成って銀桂交換し、金取りに打った桂を成り捨ててから▲4五角と桂を取り返します。羽生九段が▲5四銀~▲5四同飛と王手両金取りと畳み掛けると、稲葉八段は△5三桂と王手を防ぎつつ角に当てます。羽生九段は▲4一銀と王手してから角を引きますが、稲葉八段は△3九馬と潜って先手の玉頭を狙います。羽生九段が▲7四飛と金を取って詰めろを掛けると、稲葉八段は角で桂を食いちぎって詰めろを逃れ、△7七銀の王手から先手玉に迫りましたが届かず、無念の投了となりました。
関東Aチーム:5勝 - 関西Aチーム:1勝

第一試合の結果

関東Aは2番手に登場した羽生九段が怒涛の4連勝で関西Aを圧倒しました。佐々木八段も1勝して役割を果たし、懸念材料があるとすれば、他の3人に登場機会がなかったことぐらいでしょうか。
関西Aは2番手の稲葉八段が1勝して意地を見せましたが、羽生九段の勢いを止めることはできませんでした。パブリックビューイングでは関東Aにも負けない熱気が感じられましたので、次戦での巻き返しを期待したいと思います。

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