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ABEMA師弟トーナメント2022 本戦準決勝第二試合

2月4日、ABEMA師弟トーナメント2022 本戦準決勝第二試合が放映されました。チーム谷川「昇竜」とチーム木村「シン ドラの穴」の顔合わせとなっています。

一局目:都成竜馬七段 vs 木村一基九段

チーム谷川は、師匠から2勝を期待される弟子が先陣を切ります。後手の都成七段が三間飛車に振り四段目に浮くと、木村九段は角を交換して飛車取りに▲6七角と打ちます。都成七段が飛車を4筋にかわすと、木村九段は3筋の歩を交換して飛車で取りますが、都成七段は飛車取りに△2七角と打って切り返します。都成七段は△5四角成と馬を作りますが、木村九段は桂頭を叩いて桂得となります。お互いに陣形を整えてから木村九段が飛角交換すると、都成七段は2枚目の馬を作ります。木村九段は竜を作って馬取りに▲4八香と打ち、竜と成香で攻め掛かりますが、都成七段は馬と歩で先手の飛車を押さえ込みます。苦しくなってきた木村九段は9筋からの端攻めに託しますが、都成七段は8筋に香を打ち、△8七香成~△7五桂と王手し馬の利きを活かして即詰みに討ち取りました。
チーム谷川:1勝 - チーム木村:0勝

二局目:谷川浩司十七世名人 vs 高野智史六段

チーム木村は、弟子が流れを変えに出陣します。先手の谷川十七世名人が矢倉を選択し、高野六段は急戦調の駒組みを進めます。谷川十七世名人が3筋の歩をぶつけると、高野六段は4筋の歩を突き捨ててから3筋の歩を取ります。高野六段が8筋を継ぎ歩で攻めて押さえ込むと、両者相手の狙いを消す難解な中盤戦が続きます。谷川十七世名人が桂を跳ねて交換すると、高野六段は銀取りに△6四桂と打って銀桂交換します。谷川十七世名人は▲7六桂と打って飛車を追いますが、高野六段は角交換から飛角交換して、王手桂取りに△5六飛と打ちます。谷川十七世名人は飛車を追って反撃しますが届かず、高野六段が馬取りに△5五桂と打つと、潔く投了を告げました。
チーム谷川:1勝 - チーム木村:1勝

三局目:都成竜馬七段 vs 高野智史六段

チーム木村は勝った弟子が連投し、弟子同士の対決となります。後手の都成七段が9筋の位を取り、飛車を9筋に寄せて浮く変わった作戦を採用します。高野六段が角を交換して銀冠の形を作ると、都成七段は2筋の歩を伸ばして飛車を回します。都成七段が銀を前進して3筋の歩を狙うと、高野六段は飛車を3筋に寄せて受けます。都成七段が2筋の歩を突き捨て、飛車取りに△2七角と打つと、高野六段は飛車を引いてかわします。都成七段が△3五銀と出ると、この銀はタダで取れますが取ると金を取られて馬を作られるので、高野六段は▲5八金と上がって辛抱します。都成七段は△5四角成と馬を作り、△4六銀とぶつけて攻め掛かりますが、高野六段も▲1五角と打って3筋の歩を伸ばし、金を取って▲3三角成と馬を作って攻め合います。両者時間に追われてギリギリの終盤戦となりましたが、後手陣で互いに金を打ち合う繰り返しとなり、千日手が成立しました。

指し直し局は両者とも10秒前後の持ち時間でスタートしますが、先手の都成七段が相掛かりに誘導し、お互いに持ち時間を増やします。都成七段が5筋の位を取り、4筋の歩を突き捨てて3筋の歩を取り込むと、高野六段は浮き駒の金を寄せ、角を引いて受けます。都成七段が9筋の歩をぶつけると、高野六段は△5四歩~△5五角と飛び出します。都成七段は銀頭を叩いて銀交換し▲4五桂と攻め掛かりますが、高野六段は△7七角成と桂を食いちぎり、角金両取りに△6五桂と跳ねて反撃します。またしても両者時間に追われながらの激戦となり、都成七段は▲3三歩から清算して詰ませにいきますが、打ち歩詰めの形となり高野六段が逃げ切りました。
チーム谷川:1勝 - チーム木村:2勝

四局目:谷川浩司十七世名人 vs 木村一基九段

師匠同士の重厚な対局が実現しました。先手の谷川十七世名人が角道を止め雁木の駒組みを進めると、木村九段は菊水矢倉で低い陣形を作ります。谷川十七世名人が▲6六角と出ると、木村九段は飛先の歩を交換し、△5五歩と伸ばして銀に当てます。谷川十七世名人は1分半程考えて銀を4筋に引きますが、木村九段は薄くなった6筋の歩を交換して先手の角を引かせます。谷川十七世名人が5筋の歩を突き捨て▲5五歩と銀頭を叩くと、木村九段は△6五銀と前進し△7三桂と援軍を送ります。谷川十七世名人は残り11秒まで考えて銀交換しますが、木村九段が△6五同桂と取った手が角に当たります。谷川十七世名人は角をかわしますが、木村九段が8筋に歩を合わせる手が厳しく、潔く投了を告げました。
チーム谷川:1勝 - チーム木村:3勝

本戦準決勝第二試合の結果

チーム木村は、弟子の高野六段が二局目から連投して連勝し、チームの決勝進出に大きく貢献しました。特に弟子同士の対局では千日手指し直しの末、苦しそうな局面から辛くも逃げ切る粘り強い指し回しが光りました。師匠の木村九段も決着局では、先手陣の一瞬の隙を逃さず厳しい攻めで寄せ切る快勝となり、優勝を争うのに相応しいチーム力の高さを見せつけました。
チーム谷川は、弟子の都成七段が一局目に先勝して絶好の滑り出しを見せましたが、師匠の谷川十七世名人がこの日は白星に恵まれず、昨年度に続いてベスト4で姿を消すこととなりました。都成七段は偉大な師匠の前でも萎縮することなく伸び伸びした将棋を魅せ、今後の公式戦での飛躍を期待したいと思います。

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