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ABEMAトーナメント2024 予選Bリーグ第二試合

6月15日、ABEMAトーナメント2024の予選Bリーグ第二試合が放映されました。優勝候補のチーム永瀬「川崎家」と第一試合に勝利したチーム斎藤「1993」の顔合わせとなっています。
※本稿は収録当時の段位で記述させていただきます。


一局目:増田康宏七段 vs 三枚堂達也七段

チーム永瀬はエースに先陣を託します。先手の三枚堂七段が相掛かりに誘導し、増田七段は飛先の歩を交換して3筋の歩も取ります。三枚堂七段は5筋の位を取り、4筋で桂交換して▲3六桂と打ち、増田七段が△3五銀と受けると、金取りに▲2四桂と跳ねます。増田七段は金を4筋にかわしてから歩の連打で飛車の利きを止め、△8四桂~△7六桂と角銀両取りを掛けます。三枚堂七段は歩で4-5筋を攻めて角道を通し、増田七段が角を取ると、取り返さずに▲5三"と"と金を剥がします。増田七段が銀桂交換し、再度飛車取りに△7六桂と打って飛桂交換し、王手で△1四角と打つと、三枚堂七段は▲3六桂と打って止めます。増田七段は同角と食いちぎって詰ませにいきますが届かず、三枚堂七段は▲2三角の王手から即詰みに討ち取りました。
チーム永瀬:0勝 - チーム斎藤:1勝

二局目:森内俊之九段 vs 高見泰地七段

チーム斎藤は予定通りと高見七段を送り出します。後手の高見七段が一手損角換わりを採用し、相早繰り銀の将棋となります。森内九段は銀を交換してから飛先の歩を交換し、高見七段が△4三角と据えて7筋を狙うと、▲6七角と受けます。高見七段が△3五銀と打って先手の飛車を引かせると、森内九段は飛頭に▲8三銀と打って後手の飛車を6筋に追います。高見七段は△8七銀とタダ捨てして両チームの作戦会議室を驚かせ、金桂両取りに△6七角と打ちますが、森内九段は冷静に金に紐を付けつつ桂取りに▲2七角と打ち、お互いに桂を取って馬を作ります。森内九段は上部に脱出して入玉し、高見七段の懸命の食い下がりを凌いで逃げ切りました。
チーム永瀬:1勝 - チーム斎藤:1勝

三局目:永瀬拓矢九段 vs 斎藤慎太郎八段

両チームとも順番通り、リーダー対決となります。先手の斎藤八段が角換わりに誘導すると、永瀬九段は角道を開けずに定跡形を外し、相雁木の将棋となります。ジリジリした駒組みが続き、斎藤八段が▲3七角と転回すると、永瀬九段は△9三香~△9二飛と戦力を集めて端攻めします。永瀬九段が7-8筋からも攻め掛かると、斎藤八段は5筋から反発して銀を取り合い、桂交換してから▲7三角成と馬を作ります。永瀬九段は△7六金~△6七銀と先手陣に絡みつき、△8七桂から香を取って馬取りに△6四香と打ち、挟撃態勢を作って寄せ切りました。
チーム永瀬:2勝 - チーム斎藤:1勝

四局目:森内俊之九段 vs 三枚堂達也七段

チーム永瀬は順番を変え、森内九段を送り出します。先手の森内九段が矢倉を選択し、飛先の歩を交換して3筋の横歩も取ると、三枚堂七段は5筋の位を取ってから飛車を7筋に寄せます。森内九段が▲9七角~▲7五角と出ると、三枚堂七段は飛車を角と刺し違え、△7六歩と銀頭を叩いて拠点を作ります。森内九段は銀取りに▲6一飛と打ち、三枚堂七段が構わず桂取りに△3六歩と打つと、▲4五歩と伸ばして角に当てます。三枚堂七段は△8八角成と銀を食いちぎり、△3七歩成と桂を取って"と金"を作り、△2八銀と飛車を押さえ込みますが、森内九段は飛車で銀を食いちぎって寄せにいきます。三枚堂七段は懸命に凌ぐと反撃に転じ、時計の叩き合いの中で形勢も大きく揺れ動く200手超えの大熱戦となります。最後は守り駒を剥がされた先手玉を、三枚堂七段が竜と桂で追い詰め寄せ切りました。
チーム永瀬:2勝 - チーム斎藤:2勝

五局目:永瀬拓矢九段 vs 高見泰地七段

追いつかれたチーム永瀬はリーダーが出陣します。先手の高見七段が相掛かりに誘導し、お互いに持ち時間を6分以上に増やします。高見七段が5筋の位を取ると、永瀬九段は5筋の歩をぶつけて角を交換します。永瀬九段は飛車を5筋に回してから3筋の桂頭を叩き、高見七段が同銀と応じると、△4五銀と出た手が王手銀取りとなります。見落としがあったか高見七段はしばらく目を閉じて考え、飛頭を歩で連打して吊り上げてから玉をかわし、永瀬九段が△3六銀と銀を取ると、金取りに▲7一角と打ちます。5分以上残している永瀬九段はもらった銀を△5一銀と自陣に打ち、△5五角から着実に寄せ切りました。
チーム永瀬:3勝 - チーム斎藤:2勝

六局目:増田康宏七段 vs 三枚堂達也七段

リードされたチーム斎藤はジャンケンに勝った三枚堂七段を送り出します。先手の増田七段が相掛かりに誘導すると、三枚堂七段は飛先の歩を交換し、縦歩取りで7筋の歩も取ります。増田七段が飛先の歩を交換し、角を交換して▲8二角と打ち込み馬を作ると、三枚堂七段は9筋を端攻めし、△4五桂と跳ねて3筋をこじ開け、△6四角~△1九角成と香を取って馬を作ります。増田七段は△8六桂と打って飛車を追い、▲9五飛と香を取ってから竜を作って攻め込みますが、三枚堂七段は△7一金打と粘ります。増田七段が馬で金を食いちぎり、▲6六香~▲6五桂と攻めを繋ぐと、三枚堂七段は△5七飛成とタダ捨てし、△7九角から先手玉を追い詰めます。増田七段は▲7二竜と銀を食いちぎって後手玉に迫りますが届かず、三枚堂七段が逃げ切りました。
チーム永瀬:3勝 - チーム斎藤:3勝

七局目:永瀬拓矢九段 vs 斎藤慎太郎八段

タイスコアとなり、2度目のリーダー対決となります。先手の斎藤八段は角換わりに誘導しますが、永瀬九段は応じず雁木に組みます。斎藤八段が3筋の歩を取り込むと、永瀬九段は9筋の歩を取り込んで攻め合います。斎藤八段が▲4五桂と跳ねて金桂交換し、角銀両取りに▲4五金と打つと、永瀬九段は角金交換してから飛角両取りに△4五金と打ち返します。斎藤八段が飛車を見捨てて▲1一角成と香を取って馬を作ると、永瀬九段は金取りに△5七香と打ち、△2九飛~△5九香成~△5七桂と先手玉に迫ります。斎藤八段は▲4三馬と銀を食いちぎり、王手飛車取りに▲6三角と打ち、飛車を取って馬を作りますが、永瀬九段は△6九桂成から寄せに行き、そのまま即詰みに討ち取りました。
チーム永瀬:4勝 - チーム斎藤:3勝

八局目:森内俊之九段 vs 高見泰地七段

追い込まれたチーム斎藤は借りを返しに高見七段が出陣します。先手の森内九段が▲7七銀と矢倉を目指すと、高見七段は飛車を3筋に振る陽動振り飛車を選択します。森内九段が7筋の位を取り2枚銀で厚みを築くと、高見七段は銀冠に組みます。森内九段が3筋の歩を交換して▲3五角と飛び出すと、高見七段は歩で飛車を吊り上げ、角を交換して飛金両取りに△4九角と打ちます。森内九段が金を取らせる代わりに▲2三歩成と飛車に当てると、高見七段は飛車を取らせる間に△6九馬~△7九金と先手玉に迫ります。森内九段は自陣に角や飛車を投じて粘りましたが、高見七段は飛車を剥がして△7八飛と王手し寄せ切りました。
チーム永瀬:4勝 - チーム斎藤:4勝

九局目:増田康宏七段 vs 斎藤慎太郎八段

両チームともこの試合では白星のないメンバーに命運を託します。振り駒で先手となった増田七段が相掛かりに誘導し、お互いに飛先の歩を交換します。両者とも右玉に組み直し、増田七段が飛車を6筋に回すと、斎藤八段が5筋の歩を突き捨てて角交換し、8筋の歩を突き捨てて△8七歩と金頭を叩き、△8六飛と走ります。増田七段は▲7四歩と伸ばし、斎藤八段が同銀と応じると、▲5四角と王手します。斎藤八段は△6三銀上と防ぎますが、増田七段は▲7三桂成と王手しつつ角の利きを飛車に当てて素抜きます。斎藤八段は角銀両取りに△6四桂と打ち返して角を取りますが、増田七段は▲5一飛から竜を作って攻め込みます。斎藤八段は上部脱出して入玉を目指しつつ先手玉を攻めますが、増田七段は冷静に凌いでから後手玉を追い返し寄せ切りました。
チーム永瀬:5勝 - チーム斎藤:4勝

Bリーグ第二試合の結果

チーム永瀬は、リーダーの永瀬九段が2度のリーダー対決を含む3戦3勝でチームを勝利に導きました。エース格の増田七段は2局続けて逆転負けを喫して暗雲が漂いましたが、決着局に勝って意地を見せました。森内九段はこの試合では1勝に留まりましたが、今後も勝ち星を稼いでいけそうです。優勝候補として苦しんだ分、チーム力は一層強くなったように思います。
チーム斎藤は、三枚堂七段が3戦3勝でチームを牽引し、この試合は敗れたものの2試合通算9勝6敗で予選突破が決まりました。リーダーの斎藤八段がこの日は白星に恵まれませんでしたが、最後に会心の勝利を飾った高見七段とともに復調すれば、本戦でも勝ち上がっていけると思います。

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