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ABEMAトーナメント2023 予選Dリーグ第一試合

6月17日に、ABEMAトーナメント2023の予選Dリーグ第一試合が放映されました。30代中堅の実力者を獲得したチーム康光「駅伝」と、難関のエントリートーナメントを突破したエントリーチーム「ストロングスタイル2023」の顔合わせとなっています。

一局目:大橋貴洸七段 vs 古賀悠聖五段

エントリーチームは若手を先陣に送り出します。先手の古賀五段が矢倉を選択すると、大橋七段は急戦調の駒組みから飛車を7筋に寄せます。古賀五段が▲8四角と歩を取ると、大橋七段は△6五桂と跳ね、△4五歩と角道を通して攻め掛かります。大橋七段が△5七桂不成と捨て、△9九角成と香を取って馬を作ると、古賀五段は▲6六角とぶつけます。大橋七段は馬で桂を取りますが、古賀五段も▲1一角成と香を取って馬を作り、▲4四桂と金の両取りに打って金桂交換します。大橋七段は△4四桂~△6五桂と2枚の桂で先手陣を崩しに掛かりますが、古賀五段はじっと▲5八金右と上がって凌ぎます。大橋七段が△1五桂から飛車取りに△2七香と打つと、古賀五段は飛車を見捨てて▲7五桂と攻め合います。大橋七段は冷静に銀で桂を食いちぎってから飛車を取り、△6九銀と先手玉に迫ると、最後は△5八銀成から即詰みに討ち取りました。
チーム康光:1勝 - エントリーチーム:0勝

二局目:大橋貴洸七段 vs 郷田真隆九段

チーム康光は勝った大橋七段が連投し、公式戦では対戦のないカードが実現しました。先手の大橋七段が角換わりに誘導し、郷田九段は受けて立ち早繰り銀の駒組みを進めます。大橋七段は腰掛け銀に構えますが、郷田九段が7筋から仕掛けると、銀矢倉の形で受けます。大橋七段が▲7一角から馬を作ると、郷田九段は飛車を7筋に寄せて△6六銀とぶつけます。お互いに銀を取り合い、大橋七段が馬を引き付けて飛車を追い返すと、郷田九段は先手陣に角を打ち込んで馬を作ります。お互いに桂を取り、大橋七段が▲1五桂から後手の玉頭を狙いますが、郷田九段は手堅く△3一桂と打って受けます。時間でも形勢でも苦しくなってきた大橋七段は飛車の活用を図りますが、郷田九段は歩と馬で飛車を押さえ込むと、△8五歩から後手の玉頭を攻めます。両者時間に追われて形勢も大きく揺れ動く激戦となりましたが、最後は▲6一飛と打ち込んだ大橋七段が、▲3二銀から長手数の即詰みに討ち取りました。
チーム康光:2勝 - エントリーチーム:0勝

三局目:佐藤康光九段 vs 行方尚史九段

好スタートを切ったチーム康光はリーダーが出陣します。後手の佐藤九段が角を交換して向かい飛車に振ると、行方九段は銀冠に囲います。佐藤九段が△2五歩から飛車をぶつけると、行方九段は飛交換に応じ、桂香両取りに▲2一飛と先着します。佐藤九段は△2八飛と打ち返し、行方九段が▲3九金と寄って桂に紐を付けると、△5八飛成と竜を作ります。行方九段が▲2五飛成と桂を取って竜を作ると、佐藤九段は9筋から端攻めし、香を吊り上げ△9九角と王手で打ち込み先手玉に迫ります。行方九段は▲7二歩と手裏剣を飛ばして拠点を作りますが、佐藤九段は銀を前進して銀を取り合うと、△6七銀と打って金銀交換します。行方九段が角取りに▲8八銀と打つと、佐藤九段は△7七竜と桂を食いちぎり、△7七同角成と銀を取り返して馬を作ります。佐藤九段は△9五香と走って先手玉に迫り、竜を引き付けて粘る先手玉を寄せ切りました。
チーム康光:3勝 - エントリーチーム:0勝

四局目:高見泰地七段 vs 郷田真隆九段

苦しい状況となったエントリーチームは、迷いながらもリーダーが出陣します。先手の高見七段が相掛かりに誘導し、お互いに飛先の歩を交換してから、角を交換します。郷田九段が7筋の歩をぶつけて取り込むと、高見七段は▲7四歩と桂頭を叩きます。郷田九段が△8五桂と跳ね、△7七歩~△5四角と攻め掛かると、高見七段は▲4五銀と角にぶつけて催促します。郷田九段は△4五同角と食いちぎり、△7二銀と打って粘りますが、高見七段は歩で飛車を吊り上げてから▲7一角と打ち、歩で飛車を追い返してからもう1枚の角を▲4一角と王手で打ち込みます。郷田九段は時間ギリギリまで考えましたが、次の手を指さずに潔く投了を告げました。
チーム康光:4勝 - エントリーチーム:0勝

五局目:高見泰地七段 vs 古賀悠聖五段

チーム康光は勝った高見七段が連投します。先手の古賀五段が相掛かりに誘導し、お互いに飛先の歩を交換してから9筋の位を取ります。古賀五段が7筋の歩をぶつけて取り込むと、高見七段は△6五桂とかわします。古賀五段が▲7五銀~▲6四銀と前進すると、高見七段は△7一飛と寄ります。古賀五段は▲7三歩成と飛び込み、高見七段が金取りに△8四角と打つと、歩で角の利きを止めてから飛車取りに▲6二角と打ち込みます。高見七段は△6四金と銀を取りますが、古賀五段は▲8四角成と角を取って馬を作ります。高見七段は銀と飛車で馬を追い返し、△7六金と捨てて飛車先を通すと、△8八飛成と金を取り返して竜を作ります。古賀五段も角と金で竜を追いますが、高見七段は金を打って角と交換し、取った角を△8六角と捨てる代わりに、金を取って△8八竜と生還させます。古賀五段が▲5三馬と飛び込むと、高見七段は△5二歩と受け、1筋を端攻めして飛車取りに△1八金と打ち込みます。両者時間に追われながら形勢が大きく揺れ動く激戦になりましたが、最後は飛車を5筋に回した古賀五段が▲5二香成から長手数の即詰みに討ち取りました。
チーム康光:4勝 - エントリーチーム:1勝

六局目:佐藤康光九段 vs 行方尚史九段

1つ返したエントリーチームは行方九段が出陣し、三局目と同じ顔合わせになりました。先手の佐藤九段が▲6六角と浮いてから向かい飛車に振ると、行方九段は1筋の位を取ります。佐藤九段が高美濃に構えて角を交換すると、行方九段は金無双に組みます。行方九段が△9四角と打って7筋の歩を狙うと、佐藤九段は▲8七角と打って受け、9筋の歩を伸ばして後手の角を追ってから、7筋の歩を突いて角道を通します。お互いに陣形の整備に戻り、佐藤九段が穴熊に潜ると、行方九段は△1一飛と地下鉄飛車を通します。佐藤九段が左銀を穴熊に引き付けると、行方九段は飛車を8筋に戻して△8五歩から攻め掛かります。桂交換の後、佐藤九段が角をぶつけると、行方九段は△7七歩と飛頭を叩きます。佐藤九段が角を交換してから、飛車を見捨てて▲3五歩~▲3四桂と後手玉に攻め掛かると、作戦会議室では高見七段が「ひぇー」と叫んで頭を抱えます。佐藤九段は金桂交換してから▲6二金と打って後手玉の退路を狭め、▲3四銀から後手陣の銀を剥がし、▲5三角から寄せ切りました。
チーム康光:5勝 - エントリーチーム:1勝

第一試合の結果

チーム康光は、大橋七段が一局目から連投連勝してチームを勢い付けました。リーダーの佐藤九段は過去の大会では精彩を欠いていましたが、この試合では持ち前の剛腕ぶりを発揮して2戦2勝とチームを勝利に導きました。前々回大会の優勝チームメンバー高見七段も着実に1勝を挙げており、予選突破に大きく近づく圧勝となりました。
エントリーチームは、古賀五段が1勝を返して意地を見せましたが、リーダーの郷田九段とベテランの行方九段が白星に恵まれず、流れを呼び込むことはできませんでした。事前にかなり練習を積んだとのことで、時間の使い方にも成果は出ていたように思いますので、次の試合では気を取り直して頑張って欲しいと思います。

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