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第5回ABEMAトーナメントのドラフト結果

4月2日、第5回ABEMAトーナメントのドラフト会議が放映され、14チームのメンバーが確定しました。各チームのメンバーを確認し、優勝候補となるチームを探っていきたいと思います。

ドラフト結果

(◎:抽選で獲得、〇:単独指名、×:抽選で外れ)
※本稿は収録当時の段位で記述

藤井聡太竜王

一巡目:◎森内俊之九段
二巡目:〇藤井猛九段

今回は上の世代をと宣言していた通り、羽生世代の森内九段と藤井(猛)九段を獲得しました。森内九段は過去のABEMAトーナメントでも好成績を挙げており、3チーム競合のクジを引き当てたのは強運でした。藤井(猛)九段は初出場なのでフィッシャールールへの適応が鍵となりそうですが、個人的には是非観たいと思っていた振り飛車御三家の一角であり、伝家の宝刀「藤井システム」が観られると思うと非常に楽しみです。

渡辺明名人

一巡目:〇近藤誠也七段
二巡目:×佐々木勇気七段 → 〇渡辺和史四段

3年連続で弟弟子の近藤七段を単独指名で獲得し、二巡目はクジを外したものの渡辺(和)四段を獲得しました。近藤七段は過去2年、チームのエースとして活躍しており、今年も着実にポイントを稼ぐと思われます。渡辺(和)四段は初出場となりますが、昨年度末に20連勝を記録した好調の若手であり、チームを優勝に導く活躍が期待できるかもしれません。

永瀬拓矢王座

一巡目:◎増田康宏六段
二巡目:×佐々木勇気七段 → 〇斎藤明日斗四段

3年連続で信頼する増田六段を抽選で引き当て、二巡目はクジを外したものの斎藤(明)四段を獲得しました。増田六段は過去2年、安定してポイントを稼いでおり、今年も期待できそうです。斎藤(明)四段は一昨年に出場して3勝3敗の実績があり、昨年度は各棋戦での活躍も目立ちましたので、今回も充分戦力として期待できそうです。

羽生善治九段

一巡目:〇中村太地七段
二巡目:〇佐藤紳哉七段

14チームで唯一、昨年と同じ中村(太)七段と佐藤(紳)七段を単独指名で獲得しました。中村(太)七段は前回、3連投3連勝の活躍が印象に残ります。佐藤(紳)七段は、前回は白星に恵まれませんでしたが、今年はその分気合十分で臨むものと思われます。昨年も予選通過を果たしており、前回の経験を活かして更なる上位を目指します。

佐藤康光九段

一巡目:×松尾歩八段 → ◎郷田真隆九段
二巡目:〇先崎学九段

2年続けて同じメンバーで戦いましたが、今回は一新して羽生世代の郷田九段と先崎九段を獲得しました。郷田九段は前回も出場し、チームが勝ち進むにつれフィッシャールールへの適応力を見せましたので、今回も活躍が期待されます。先崎九段は初出場なので、フィッシャールールへの適応が鍵となりそうです。

三浦弘行九段

一巡目:〇伊藤匠四段
二巡目:×出口若武五段 → 〇池永天志五段

2年続けて同じメンバーで戦いましたが、今回は一新して伊藤(匠)四段と池永五段を獲得しました。伊藤(匠)四段は、前回優勝チームの一員として大活躍した実績があり、単独指名で獲得できたのは大きな成果でした。池永五段も前回は準優勝チームの一員として貢献しており、活躍が期待できそうです。

佐藤天彦九段

一巡目:×増田康宏六段 → 〇梶浦宏孝七段
二巡目:◎佐々木大地五段

一巡目は競合覚悟で若手強豪を取りに行きましたがクジを外し、梶浦七段を獲得しました。梶浦七段は、前回エントリーチームのエースとして活躍し、師弟トーナメントでも準優勝チームの一員として貢献しています。二巡目も競合しましたが、抽選でABEMAトーナメントの常連となっている佐々木(大)五段を獲得しており、今回も活躍が期待できそうです。

豊島将之九段

一巡目:×森内俊之九段 → ×郷田真隆九段 → 〇丸山忠久九段
二巡目:〇深浦康市九段

一巡目は1回目と2回目で続けてクジを外しましたが、前回も出場しているベテラン丸山九段を獲得しました。伝家の宝刀「一手損角換わり」で後手番での勝ち星に期待が掛かります。二巡目も前回出場している藤井竜王キラー深浦九段を獲得しました。過去2年は予選通過を果たしていないので、今回は予選を突破してチーム藤井に挑むことを期待したいと思います。

山崎隆之八段

一巡目:◎松尾歩八段
二巡目:〇阿久津主税八段

長年苦楽を共にしてきた世代の近い松尾八段と阿久津八段を獲得しました。松尾八段は初出場ですが、昨年度のNHK杯で準優勝しており、早指しへの適応力はありそうです。阿久津八段は個人戦だった時代に出場経験があり、持ち味の攻め将棋が炸裂すれば活躍が期待できそうです。

広瀬章人八段

一巡目:〇青嶋未来六段
二巡目:×佐々木大地六段 → 〇三枚堂達也七段

麻雀という共通項を持った青嶋六段と三枚堂七段を獲得しました。青嶋六段は一昨年の出場経験があり、居飛車も振り飛車指しこなす貴重なオールラウンダーです。三枚堂七段も一昨年の出場経験があり、着実な貢献が期待できそうです。

糸谷哲郎八段

一巡目:×森内俊之九段 → 〇黒沢怜生六段
二巡目:〇西田拓也五段

一巡目にクジを外したものの黒沢六段を獲得し、二巡目は西田五段を単独指名と、狙い通り2人の振り飛車党を獲得しました。黒沢六段は一昨年の出場経験があり、6勝2敗の好成績を残しています。西田五段は初出場ですが、朝日杯で2年連続して上位に食い込み順位戦でも昇級を果たしており、充分活躍が期待できそうです。

稲葉陽八段

一巡目:〇服部慎一郎四段
二巡目:◎出口若武五段

奇しくも今期叡王戦で挑戦者決定戦を戦った、服部四段と出口五段を獲得しました。服部四段は前回も出場して「忍者服部」の異名を知らしめる活躍でした。今回一巡目で単独指名できたのは、大きな成果でした。出口五段は初出場ですが、元々躍進が続く関西若手精鋭の一人であり、叡王戦挑戦権獲得を機に大化けするかもしれません。

菅井竜也八段

一巡目:〇久保利明九段
二巡目:〇佐藤和俊七段

狙い通り振り飛車党の重鎮、久保九段と佐藤(和)七段をいずれも単独指名で獲得しました。久保九段は前々回リーダーとしてチームを牽引し、前回も出場して経験は充分です。佐藤(和)七段は初出場なので、フィッシャールールへの適応が鍵となりそうですが、竜王戦1組に在籍する実力を発揮できれば活躍を期待できそうです。

斎藤慎太郎八段

一巡目:〇木村一基九段
二巡目:◎佐々木勇気七段

前回はクジ運に泣きましたが、今回は前回準優勝チームのリーダー木村九段と佐々木(勇)七段を獲得しました。木村九段は2年続けて圧倒的強さでチームを牽引し、今回のドラフトの目玉とも思われましたが、競合を恐れず獲りにいったのが奏功し単独指名となりました。佐々木(勇)七段もですが、3チーム競合の末引き当てたのは強運でした。

優勝候補となるチームは

過去2回のドラフトでは、各リーダーが指名に慣れていなかったこともあり、ほとんど指名が重複せずに淡々とチームが決まる印象がありました。今回は有力な棋士がある程度わかってきた面もあり、いくつもの重複指名があって観る側としては非常に楽しめるものとなりました。前回は一巡目と二巡目に抽選勝ちしたチームが準優勝していますが、今回は続けて抽選勝ちしたチームはなく、うまく戦力が分散したように思います。5つのリーグ毎の展望は別途投稿しようと思いますが、ドラフトを終えた時点で有望と思うチームをピックアップしておきたいと思います。

優勝候補の筆頭にはチーム斎藤を挙げたいと思います。今回のドラフト対象者の中で実績最強の木村九段と、一巡目で消えてもおかしくない強豪の佐々木(勇)七段を引き当て、隙のないチーム構成になっています。

毎回リーダーが好成績を挙げて牽引したチームが上位に食い込む傾向がありますが、そういう観点ではチーム藤井、チーム永瀬、チーム広瀬、チーム糸谷、チーム菅井も優勝候補からは外せません。ドラフトで前回実績を挙げた若手を獲得したチーム三浦、初出場ながら有望な若手を獲得したチーム渡辺、チーム稲葉も、若手の活躍次第で一気に優勝争いに加わると思います。

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