見出し画像

ABEMA地域対抗戦 Bリーグ2位決定1回戦

2月24日、ABEMA地域対抗戦のBリーグ2位決定1回戦が放映されました。チーム九州に敗れたチーム関東Bと、チーム中部に敗れたチーム関西Bという顔合わせとなりました。


先発棋士3人は以下の通り発表されました。
関東B:増田康宏七段、伊藤匠七段、永瀬拓矢九段
関西B:古森悠太五段、大橋貴洸七段、大石直嗣七段

一局目:増田康宏七段 vs 古森悠太五段

振り駒で先手となった古森五段が三間飛車に振り美濃囲いに構えると、増田七段は左美濃から銀冠に組み替え、2筋の位を取ります。古森五段が石田流に組んで飛先の歩を交換すると、2筋に2枚銀を並べた増田七段は1筋の歩を交換します。古森五段が銀を7筋に繰り出すと、増田七段は8筋の歩を突き捨ててから飛車を7筋に寄せて反発します。増田七段が△4五桂と跳ねて先手の玉頭を狙うと、古森五段は7筋で交換した桂を金銀両取りに▲3五桂と打って攻め合います。お互いに桂を打って金駒を剥がし合い、形勢が大きく揺れ動く激しい玉頭戦となりましたが、最後は一瞬の隙を突いた古森五段が即詰みに討ち取りました。
チーム関東B:0勝 - チーム関西B:1勝

二局目:伊藤匠七段 vs 古森悠太五段

後手の古森五段は三間飛車に振り美濃囲いに構え、飛先の歩を交換して△3四飛から石田流を目指します。伊藤七段が穴熊に組み替えると、古森五段は6筋の歩を伸ばして△8四角と覗きます。伊藤七段は角をぶつけて交換し、古森五段が△6五銀と前進すると、銀取りに▲6八飛と回します。伊藤七段は▲4一角と打ち込み、古森五段が金で角を取りに行くと、▲5二角成と金を食いちぎり、▲6三金と打ち込んで美濃囲いを崩します。古森五段は飛車取りに△7六銀と打って反撃しますが、伊藤七段は丁寧に飛車をかわしてから寄せ切りました。
チーム関東B:1勝 - チーム関西B:1勝

三局目:伊藤匠七段 vs 大橋貴洸七段

先手の大橋七段が相掛かりに誘導し、お互いに飛先の歩を交換します。伊藤七段が△8五銀と棒銀を見せると、大橋七段は角を交換して▲8八銀と受けます。伊藤七段は△7六銀と歩を取り、大橋七段が▲8六歩と突いて銀挟みを狙うと、△6四角と打って防ぎます。大橋七段は▲9七銀と歩を守りますが、伊藤七段は△8六角と突進して角銀交換し、8筋突破を図ります。大橋七段が▲9八角と自陣角で凌ぎ、もう1枚の角を攻防に▲5五角と据えると、伊藤七段は歩と銀で角を攻めます。大橋七段は▲3三角成と銀を食いちぎり、▲4四歩と反撃しますが、伊藤七段は丁寧に応じてから△3九角と打ち込んで攻め掛かり、△4九飛から竜を作って寄せ切りました。
チーム関東B:2勝 - チーム関西B:1勝

四局目:伊藤匠七段 vs 大石直嗣七段

後手の大石七段が角を交換して向かい飛車に振り、美濃囲いに構えると、伊藤七段は銀冠に組みます。伊藤七段が▲4五桂と跳ねると、大石七段は銀で桂を食いちぎり、飛車取りに△3七角と打ち込み馬を作ります。大石七段が△6六馬~△5七桂成と飛び込んで金桂交換すると、伊藤七段は▲5三歩と垂らして攻め合います。大石七段が△6一金打と手厚く守ってから△5五桂と反発すると、伊藤七段も金銀交換して▲6八金打と手堅く守ります。伊藤七段が▲4一角と攻め駒を足し、金と交換して"と金"を作ると、大石七段は攻防に△3四角と打ちます。伊藤七段は角を追い、飛車と刺し違えて▲7一角と打ち込み、大石七段の玉頭攻めを凌いで即詰みに討ち取りました。
チーム関東B:3勝 - チーム関西B:1勝

五局目:伊藤匠七段 vs 古森悠太五段

先手の古森五段は三間飛車に振り、伊藤七段が7筋と6筋の歩を突くと、向かい飛車に振り直し、美濃囲いに構えます。伊藤七段が△6五歩と伸ばして銀で取らせ、角交換してから桂取りに△4四角と打ち直すと、古森五段は飛車を浮いて桂を守ります。伊藤七段は△8六飛と走って竜を作りますが、古森五段は銀で角を追って後手の玉頭に迫ります。古森五段は▲5六角と打ち、伊藤七段が飛角の田楽刺しに△5五香と打つと、構わず▲2三銀成と飛び込んで角銀交換し、▲8二角と打ち込んで桂を取り馬を作ります。伊藤七段が銀と歩で馬を追うと、古森五段は▲5二馬と金を食いちぎり、▲5五飛と桂を食いちぎり、香で後手陣の金を剥がして寄せ切りました。
チーム関東B:3勝 - チーム関西B:2勝

六局目:永瀬拓矢九段 vs 古森悠太五段

後手の古森五段が角を交換してから向かい飛車に振り、2筋から逆棒銀で仕掛けると、永瀬九段は▲6六角~▲3六銀と牽制します。古森五段が3筋の歩を伸ばして銀に当てると、永瀬九段は2筋の銀頭に歩を打ち、銀を取り合ってから飛車も交換します。永瀬九段が▲5三角成と馬を作ると、古森五段は歩で馬を追い、馬金両取りに△2八飛と打ち込みます。永瀬九段は▲2七飛と受け、古森五段が△5八飛成と金を取って竜を作ると、竜取りに▲3六馬と寄りつつ飛車の利きを角に当てます。古森五段が馬取りに△4七銀と打って馬を取ると、永瀬九段は角と桂を取って竜を作ります。古森五段が△6九角と打ち込んで攻め掛かると、永瀬九段は懸命に粘って竜を捕獲します。最後は古森五段が先手玉を追い詰め、永瀬九段の反撃を凌いで逃げ切りました。
チーム関東B:3勝 - チーム関西B:3勝

七局目:増田康宏七段 vs 古森悠太五段

先手の古森五段が三間飛車に振り美濃囲いに組むと、増田七段はエルモ囲いに構えます。増田七段が穴熊への組み換えを目指すと、古森五段は▲5六金と上がり、▲6五歩と仕掛けます。増田七段は5筋の歩を伸ばし、古森五段が▲6三飛成と竜を作ると、△5七歩成と"と金"を作ります。増田七段が角を交換して飛車を走ると、古森五段は1筋の歩を突き捨ててから、攻防に▲6五角と据えます。増田七段は△7八角と打って"と金"を守りますが、古森五段は▲4三角成と銀2枚と交換し、後手玉に殺到し寄せ切りました。
チーム関東B:3勝 - チーム関西B:4勝

八局目:伊藤匠七段 vs 古森悠太五段

本日4勝の古森五段と3勝の伊藤七段という好調同士の対決となります。後手の古森五段が角道を開けたまま三間飛車に振ると、伊藤七段は角を交換して▲6五角と打ちます。古森五段は角を合わせて交換し、再度角を打ち合いますが、いったん穏やかな駒組みに戻ります。伊藤七段は穴熊に潜り、古森五段は7筋に寄せた玉を5筋に戻します。古森五段が2筋の位を奪還して△2四飛と浮くと、伊藤七段は▲3五角と飛び出し、▲6二角成と金を食いちぎってから▲7八飛と転回します。古森五段は上部脱出して入玉を目指しますが、伊藤七段は銀と歩で後手玉を追い返し、寄せ切りました。
チーム関東B:4勝 - チーム関西B:4勝

九局目:伊藤匠七段 vs 斎藤慎太郎八段

関西Bは棋士チェンジし、温存していたエースに託します。振り駒で先手となった斎藤八段が相掛かりに誘導し、お互いに飛先の歩を交換すると、伊藤七段は7筋と3筋の歩を取ります。伊藤七段が角を交換すると、斎藤八段は▲4五桂と跳ね、▲3七歩と飛車を追って飛交換します。斎藤八段は5筋に桂を成り捨て、▲6五桂~▲5三角と後手玉を追い、▲4四角成と馬を作ります。斎藤八段が更に7-8筋を歩で乱して銀取りに▲6三馬と入ると、伊藤七段は△4八歩と金頭を叩き、△8六角の王手から△7七角成と金を食いちぎり、△8九飛と反撃します。斎藤八段は攻防に▲9七角と打ちますが、伊藤七段は△8五桂~△7六桂と2枚桂で先手玉に迫り、△2八角と挟撃態勢を作ると、そのまま即詰みに討ち取りました。
チーム関東B:5勝 - チーム関西B:4勝

Bリーグ2位決定1回戦の結果

関東Bは伊藤七段が1人で5勝する大活躍で、チームを勝利に導きました。ポイントゲッターとして期待される永瀬九段と増田七段が前の試合に続いて白星を挙げられませんでしたが、予選突破に向けてはこの2人の復調が待たれるところです。この日は出番のなかった森内九段と渡辺九段も含め、次戦での活躍を期待したいと思います。
関西Bはエースの斎藤八段を先発メンバーから外す苦心のオーダーで臨み、満を持して登場した決着局では残念ながら実を結びませんでした。初出場の古森五段は1人で4勝する活躍で、次回ABEMAトーナメントでのドラフト候補に躍り出たと思います。チームとしてはここで敗退となりましたが、温かみのある良いチームだったと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?