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祝「八冠」藤井竜王名人が全冠制覇を達成

彼はとうとう、いや何事もなかったかのように8つのタイトルを全て制覇してしまった。
しかも4つの一般棋戦における前年度覇者の称号も独占したままで。

彼がプロ入りした直後、8つのタイトルは8人のトップ棋士が分け合う群雄割拠の時代だった。
わずか数年の内に、全てのタイトルを独占する棋士が現れると誰が想像できただろうか。

全冠制覇を達成した後の記者会見で、彼はいつも通り課題と反省を口にした。
目指すゴールを聞かれると、「まずは実力を付けること、その上で面白い将棋を指したい」と答えた。
全冠制覇は、彼の中では通過点に過ぎないのだ。

これで今後しばらくは、将棋界にビッグニュースは流れないのかもしれない。
次に流れるとしたら、彼がタイトル戦で敗退した時だろうか。
それが1年以内に起こることなのか、10年以上先のことなのか、今は誰にも分らない。

私はもう、彼に勝つことを求めたりはしない。
誰にも思いつかない、思いついても指せない手を指して驚かせて欲しい。
彼が言う「面白い将棋」を、もっともっと生み出して欲しい。
そして、AIには創れない美しい棋譜を残して欲しい。

そのためには彼と対等に戦えるライバルが必要だ。
始まったばかりの竜王戦が、その幕開けになるのだろうか。
今はまだ奨励会に在籍する若き俊英が羽ばたくのだろうか。
彼らが魅せてくれる感動の戦いを、私はまだしばらく見続けていきたい。

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