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「観る将」が観た第4期清麗戦挑戦者決定戦

5月23日に大成建設杯清麗戦の挑戦者決定戦が行われました。前期に清麗3連覇を阻まれた里見香奈女流四冠と、清麗戦初参加の西山朋佳女流二冠の顔合わせとなっています。両者は現在、マイナビ女子オープン五番勝負と女流王位戦五番勝負を戦っており、本局を含めれば春の十一番勝負という形となっています。

今期清麗戦の経過

今期の清麗戦では、両者は予選の3回戦で当たっており、その際には西山女流二冠に軍配が上がりました。里見女流四冠は再挑戦トーナメント(敗者復活戦)に回って本戦に勝ち進み、伊藤沙恵女流名人を降して挑戦者決定戦に臨みます。西山女流二冠も予選4回戦で敗れましたが、再挑戦トーナメントを勝ち抜け、山根ことみ女流二段を降して挑戦者決定戦に駒を進めました。

戦型は相振り飛車

振り駒で先手となった西山女流二冠が初手▲7八飛と三間飛車に振り、4月に行われた女流王位戦第一局と同じ進行をたどります。19手目に西山女流二冠が手を変え向かい飛車に振り直すと、里見女流四冠は銀を上がって先手からの飛先の歩交換を防ぎます。西山女流二冠が▲4八玉と上がり左右に金銀を並べるマイナビ女子オープン第三局と似たような陣形を敷くと、里見女流四冠は2-3筋の位を取ってから三間飛車に振ります。西山女流二冠が金を上がって後手からの飛先の歩交換を防ぐと、里見女流四冠は右側に矢倉を築いて入城します。

中央から開戦

西山女流二冠が▲8六角と覗くと、里見女流四冠は△5五歩と仕掛けます。取ると中央を制圧されそうなので、西山女流二冠が飛車を5筋に回して受けると、里見女流四冠も飛車を5筋に回します。西山女流二冠が▲7七桂と跳ねて活用を図ると、里見女流四冠は△6四歩と突いて桂跳ねを防ぎます。次の45手目を西山女流二冠が18分考えたところで昼休となりました。各3時間の持ち時間の内、残り時間は里見女流四冠が2時間7分、西山女流二冠が1時間54分となっています。

時間を使っての攻防

昼休が明けるとすぐ、西山女流二冠は8筋の歩を突き捨ててから▲6五歩とぶつけます。この歩を取ると先手の桂を活用されるので、里見女流四冠は△5三銀と引いて受けます。西山女流二冠は5筋の歩を交換し角で取らせると、銀を前進するのではなく▲6八銀と引いて飛車を角に当てます。里見女流四冠が歩で角を支えてから21分の熟考で△3三角と引くと、西山女流二冠は端歩を突き合ってから38分の長考で▲5九飛と引きます。里見女流四冠は△8五歩と突いて先手の角を引かせ、△9五歩と突いて角頭を狙います。両者が小刻みに時間を使って間合いを測りますが、後手陣には隙がなく先手の駒が少しずつ下げられてしまっているように見えます。

形勢傾く

西山女流二冠は▲8五桂と跳ね、里見女流四冠が桂取りに銀を上がると、▲8九飛と回って桂を支えます。里見女流四冠は△8七歩と垂し、西山女流二冠に飛車で取らせて△9九角成と馬を作ります。西山女流二冠は馬香両取りに▲8八角と引きますが、里見女流四冠は△9八馬と飛車に当てて引いてから△4四歩と香取りを防ぎます。里見女流四冠が丁寧に先手の狙いを消し、はっきりと優勢の局面を築いたようです。

全軍躍動

西山女流二冠は銀取りに▲6六角と飛び出し、里見女流四冠が香で銀を支えると、桂を成り捨ててから角で銀を食いちぎります。里見女流四冠は歩で飛車を追い返してから、△6五馬と好所に引き付けて先手陣に攻め掛かります。里見女流四冠は△3四桂と打ち、自陣の桂も△3三桂と跳ねて全軍を躍動させます。西山女流二冠は馬取りに▲5六金と出ますが、里見女流四冠は構わず銀取りに△4五桂と跳ねます。馬と銀を取り合ってから、里見女流四冠が金頭を△5六歩と叩くと、陣形を完全に崩された西山女流二冠は潔く投了を告げました。

加藤清麗への挑戦者は

本局は西山女流二冠に何か誤算があったのか、駒がぶつかり合ってからずるずると先手の駒が後退し、里見女流四冠の丁寧な対応が光る完勝譜となりました。里見女流四冠は加藤清麗への挑戦権を獲得し、前期の失冠から1期でのリターンマッチに挑みます。
西山女流二冠はこれで対里見戦3連敗となり、内容的にも一方的押されているようで元気がないのが気になります。両者は中1日で女流王位戦第三局が予定されていますので、気持ちを切り替えての好局を期待したいと思います。

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