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ABEMAトーナメント2024 予選Bリーグ第一試合

5月18日、ABEMAトーナメント2024の予選Bリーグ第一試合が放映されました。チーム菅井「菅井組」とチーム斎藤「1993」の顔合わせとなっています。


一局目:佐藤康光九段 vs 三枚堂達也七段

先手の佐藤九段が独創的な序盤から雁木に組み、三枚堂七段は左美濃に構えて7-6筋から仕掛けます。三枚堂七段は角を交換して△3三角と打ち直し、6筋で銀をぶつけて交換します。佐藤九段が▲6五同銀と桂を取ると、三枚堂七段は△6六歩と金頭を叩きます。佐藤九段は▲7六金とかわしますが、三枚堂七段は6筋の歩を成り捨てて△8七飛成と竜を作り、△7七角成と金を食いちぎり、△8八銀と王手金取りに打ち込んで先手玉に迫ります。佐藤九段は攻防に▲5五角と打ちますが、三枚堂七段は手堅く△4四歩と受け、上部脱出を図る先手玉を△5四銀と打って追い返し、2枚竜で寄せ切りました。
チーム菅井:0勝 - チーム斎藤:1勝

二局目:菅井竜也八段 vs 高見泰地七段

先勝されたチーム菅井はリーダーが流れを取り戻しに出陣します。後手の菅井八段が中飛車に振り美濃囲いに構えると、高見七段は2枚の銀を繰り出し、4筋で銀を交換します。高見七段が▲4五桂と跳ね、飛角両取りに▲5三銀と打って角銀交換し、▲3二角と打ち込んで馬を作ります。高見七段は飛車取りに▲6四銀と出つつ、角の利きを通して2筋の金に当て、菅井八段が金を諦めて銀を取ると、馬を飛車と交換して▲1二飛と打ち込み、▲5二金と攻め掛かります。菅井八段は自陣に銀を埋めて4枚の銀を正方形に並べて粘り、角と金で飛車を捕獲して△1九飛と打ち込んで竜を作りますが、高見七段は▲5四桂から後手の堅陣を崩して寄せ切りました。
チーム菅井:0勝 - チーム斎藤:2勝

三局目:丸山忠久九段 vs 斎藤慎太郎八段

好スタートを切ったチーム斎藤はリーダーが出陣します。先手の丸山九段が角換わりに誘導して5筋の位を取ると、斎藤八段は6筋に桂を跳ねて飛先の歩を交換します。丸山九段が2筋を継ぎ歩攻めしてから▲1七角と遠見の角を放ち、▲6五銀と桂を食いちぎって▲5六桂と打つと、斎藤八段は桂の利きに△6四銀打と埋めます。丸山九段は銀桂交換し、斎藤八段が8筋の歩を取り込んで金を吊り上げると、飛金両取りに▲7一銀と打ち込みます。斎藤八段は△8六歩と金頭を叩き、丸山九段が金銀交換してから角取りに▲6五銀と出ると、△5五角と要所にかわします。丸山九段は角取りに飛車を5筋に回しますが、斎藤八段は△8七銀~△7七角成と先手玉を追い詰め、丸山九段の反撃をかわして逃げ切りました。
チーム菅井:0勝 - チーム斎藤:3勝

四局目:丸山忠久九段 vs 三枚堂達也七段

チーム菅井は自ら手を挙げて丸山九段が連投します。後手の丸山九段が得意の一手損角換わりを採用せず、相掛かりの将棋となります。丸山九段は先手の角頭を攻め、三枚堂七段が▲4四角と銀を食いちぎって▲5三桂成と飛び込むと、△8四角と打って先手玉のコビンを狙います。丸山九段がもう1枚の角を△7六角と打つと、三枚堂七段は角の両取りに▲8五銀と打って角を取り、▲5四角から馬を作って攻め込みますが、丸山九段は△5二金打から先手の攻め駒を一掃して優勢となります。丸山九段が△6六桂から攻め込むと、三枚堂七段は飛車を自陣に投じて粘ります。丸山九段は△8七金と先手玉に迫りますが、三枚堂七段は後手の竜を捕獲し、▲2二"と"から反撃すると、そのまま即詰みに討ち取りました。
チーム菅井:0勝 - チーム斎藤:4勝

五局目:菅井竜也八段 vs 高見泰地七段

チーム菅井は後がなくなりましたが、笑顔でリーダーを送り出します。先手の菅井八段が中飛車に振り、相穴熊の将棋となります。菅井八段が4筋の歩をぶつけると、高見七段は飛車を4筋に回し、△8四角と覗いて△7三桂と跳ねます。菅井八段は1分以上考えて▲4八歩と受け、高見七段が△6五桂と跳ねると、1筋を端攻めします。高見七段は△7七桂成と飛び込み、菅井八段が角を取る間に飛車を取ります。菅井八段が▲1三角成と香を食いちぎり、▲4一角と打ち込んで飛車を追い、金銀の田楽刺しに▲3三香と打って穴熊を崩すと、高見七段は△7九飛と打ち込んで攻め合います。最後は菅井八段が後手玉に殺到し、自陣に金駒を埋めて粘る高見七段を寄せ切りました。
チーム菅井:1勝 - チーム斎藤:4勝

六局目:佐藤康光九段 vs 斎藤慎太郎八段

両チームともこの試合1局しか指していないメンバーを送り出します。後手の佐藤九段が角を交換して向かい飛車に振ると、斎藤八段は▲6五角~▲4三角成と作った馬を▲6一馬と金を食いちぎり、▲7五金と打って角を捕獲します。両者とも飛車を4筋に回し、佐藤九段が△2七角と打つと、斎藤八段は▲6六角と打って1筋の香を狙います。佐藤九段は馬を作りますが、斎藤八段は桂で馬を追い、▲7五香と打って後手の玉頭から攻め掛かります。佐藤九段は飛車取りに△3九銀と打って攻め合いますが、斎藤八段は歩頭に▲7三銀と放り込み、そのまま即詰みに討ち取りました。
チーム菅井:1勝 - チーム斎藤:5勝

Bリーグ第一試合の結果

チーム斎藤は、三枚堂七段が幸先良く初戦を制し、高見七段が相手チームのリーダーを倒して波に乗りました。リーダーの斎藤八段も着実に2勝を挙げ、チームとして絶好のスタートを切りました。お互いの良さを知る同学年の3人が刺激し合い、抜群のチームワークを見せつける結果となりました。
チーム菅井は、リーダーの菅井八段が1勝して意地を見せましたが、佐藤九段と丸山九段が白星に恵まれず、苦しいスタートとなりました。中盤まで押し気味の将棋もありましたが、終盤に時計の叩き合いの中で引き離される展開が多かった様に思います。次戦では本来の実力が出せるよう期待します。

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