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ABEMAトーナメント2024 予選Dリーグ第二試合

6月29日、ABEMAトーナメント2024の予選Dリーグ第二試合が放映されました。チーム稲葉「井上一門」とエントリーチーム「四間の流儀」の顔合わせとなっています。


一局目:上野裕寿四段 vs 大橋貴洸七段

エントリーチームはリーダーが先陣を切ります。振り駒で先手となった大橋七段が雁木に構えると、上野四段は矢倉に組みます。大橋七段は4筋の位を取り、上野四段が△7三角と覗いて4筋の銀を狙うと、▲4七金と上がって銀を支えて右玉に構えます。上野四段が飛車を6筋に寄せて4筋の歩をぶつけると、大橋七段は3筋の歩をぶつけて攻め合います。上野四段は桂交換に応じ、大橋七段が角銀両取りに▲7六桂と打って銀桂交換すると、△3四桂~△4六歩と金を追い、△6五歩と打って銀を捕獲します。上野四段が更に角金両取りに△7六桂と打って角を取ると、大橋七段は▲4二銀~▲3一銀打と後手玉に迫りますが届きません。上野四段は△4八角成と先手玉を追い詰め、△5八銀から即詰みに討ち取りました。
チーム稲葉:1勝 - エントリーチーム:0勝

二局目:藤本渚五段 vs 冨田誠也五段

チーム稲葉は珍しく連投せず、藤本五段を送り出します。後手の冨田五段が中飛車に振り、飛先の歩を交換して7筋の歩も取ると、藤本五段は3筋の歩を交換して銀を繰り出します。冨田五段は飛車を浮いて備えますが、藤本五段は構わず▲2三銀成と飛び込み、金銀交換してから飛車を3筋に寄せます。冨田五段は△3七歩~△2七銀と先手の飛車を押さえ込み、藤本五段が飛車を見捨てて馬を作り、飛車を追って▲8六香と打つと、△4六角と銀を食いちぎって飛車を逃がします。藤本五段は2枚目の馬を作って飛車と交換し、冨田五段が△4六角と打つと、▲3三飛と打ちこみ、馬で金を食いちぎって後手玉に迫ります。冨田五段は△6八角成と金を食いちぎって先手玉を追いますが届かず、藤本五段が逃げ切りました。
チーム稲葉:2勝 - エントリーチーム:0勝

三局目:藤本渚五段 vs 井出隼平五段

エントリーチームは初出場の井出五段が出陣します。先手の井出五段が四間飛車に振り美濃囲いに構えると、藤本五段は銀を繰り出して7筋から仕掛けます。両者とも飛車を7筋に寄せて駒組みに戻って銀冠に組み直し、井出五段が飛車を8筋に寄ってから桂交換し、角取りに▲6五桂と打つと、藤本五段は角をかわしてから△4三桂と打ち、3筋の位を取ります。井出五段は▲5五桂と打って桂交換し、藤本五段が△3三桂と打つと、再度金取りに▲5五桂と打って金桂交換します。藤本五段が2筋の歩を取り込んで△2八歩と玉頭を叩き、銀取りに△5五桂と打って銀桂交換し、△2七銀と打って詰めろを掛けると、井出五段は玉をかわして金銀両取りに▲3五桂と打って攻め合いますが届きません。藤本五段は△5五桂から金を取って即詰みに討ち取りました。
チーム稲葉:3勝 - エントリーチーム:0勝

四局目:上野裕寿四段 vs 大橋貴洸七段

チーム稲葉はリーダを温存して上野四段を送り出し、一局目と同じ顔合わせになります。先手の上野四段が得意の矢倉を選択すると、大橋七段は銀矢倉に組んでから右四間飛車を採用します。上野四段が3筋の位を取ると、大橋七段は6筋から仕掛けて△6五桂と跳ね、飛車取りに△6四角と覗きます。上野四段が飛車を1筋にかわすと、大橋七段は△1九角成と香を食いちぎり、△6一香と飛車を下から支えます。上野四段は▲6六桂と打って緩和してから馬を作り、大橋七段が△6五歩と畳み掛けると、▲8四馬と6筋に利かせます。大橋七段は歩で桂を取って馬取りに△7二桂と打ち、上野四段が飛車取りに▲6五歩と打つと、飛車を取らせる代わりに馬を取り、△7六桂と二段活用で王手し、そのまま一気に寄せ切りました。
チーム稲葉:3勝 - エントリーチーム:1勝

五局目:稲葉陽八段 vs 大橋貴洸七段

エントリーチームは勝った大橋七段が連投し、リーダー対決となります。後手の稲葉八段は四間飛車に振り、大橋七段が3筋から仕掛けると、お互いに飛車を3筋に寄せます。稲葉八段は4筋の歩を伸ばして銀に当てつつ角道を通し、大橋七段が▲3四飛と銀を取ると、△4六歩と銀を取り返します。大橋七段は角取りに▲4四銀と打ち、稲葉八段が△4二金と飛車に紐を付けると、▲3三銀不成から清算して▲4一飛と打ち込みます。稲葉八段は△5二銀~△4一歩と自陣を補強してから△4七角と打ち込み、大橋七段が▲4四角と急所に据えると、△3九飛と打って攻め合います。大橋七段は▲5二竜と銀を食いちぎって後手玉を追い詰め、稲葉八段が△3八飛成と竜を作って下駄を預けると、▲8二銀成から即詰みに討ち取りました。
チーム稲葉:3勝 - エントリーチーム:2勝

六局目:藤本渚五段 vs 井出隼平五段

勢いを取り戻したエントリーチームは井出五段を送り出します。後手の井出五段は角交換して向かい飛車に振り、藤本五段が銀冠に囲うと、高美濃に構えます。井出五段が6筋の位を取ると、藤本五段は4筋の位を取り、▲4六角と間接的に後手玉を睨む好所に据えます。井出五段も△3三角と据え、両者とも玉を引いて角のラインから外します。井出五段が飛車を5筋に回すと、藤本五段は飛車を浮いて3筋に寄り、6筋の歩をぶつけて反発します。井出五段は7筋に拠点を作り、藤本五段が角を取らせる代わりに銀を2枚取ると、△5九飛成と竜を作って王手します。藤本五段は▲5六飛とぶつけて竜を消し、▲5二銀~▲6一飛と攻め掛かり、自陣に飛車を打って粘る後手玉を寄せ切りました。
チーム稲葉:4勝 - エントリーチーム:2勝

七局目:上野裕寿四段 vs 冨田誠也五段

後がなくなったエントリーチームは冨田五段に託します。先手の冨田四段は中飛車に振り、上野四段が左美濃に囲うと、美濃囲いに構えます。ジリジリした駒組みが続き、上野四段が穴熊に潜ると、冨田五段は銀冠に組み替えます。お互いに間合いを測る展開が続き、冨田五段は▲5六金と上がり、上野四段が△7三桂とぶつけて桂交換すると、▲6五金と繰り出して中央突破を図ります。上野四段は△6五桂と打って銀桂交換し、冨田五段が▲5六桂~▲4四金とぶつけると、金銀交換に応じます。冨田五段は金取りに▲3一銀と打ち込み、▲5一飛成と竜を作り、▲3三金と打って飛車を取り、▲5二飛と打ち込んで攻め立てます。上野四段は自陣に金銀を埋め、馬を作って自陣に引き付けて粘りましたが、冨田五段は▲2一金から即詰みに討ち取りました。
チーム稲葉:4勝 - エントリーチーム:3勝

八局目:稲葉陽八段 vs 冨田誠也五段

チーム稲葉は残り2局をリーダーが戦います。後手の冨田五段が四間飛車に振り美濃囲いに構えると、稲葉八段はミレニアムを目指します。冨田五段が飛車を2筋に回し、5筋の歩を突き捨てて角で狙うと、稲葉八段は△6六角と支えます。冨田五段は銀を繰り出して角を追い、稲葉八段が角銀交換すると、飛車取りに△5五角と引きます。稲葉八段は▲6二歩~▲6一銀と後手陣を崩し、冨田五段が飛角交換して銀桂両取りに△3九飛と打ち込むと、飛車取りに▲6五銀と打ちます。冨田五段が構わず△5九飛成と銀を取って竜を作ると、稲葉八段は飛銀交換して金銀両取りに▲5三飛と打ち込んで攻め掛かります。冨田五段は自陣に銀を2枚埋め、2枚の角を先手陣に打ち込んで竜を追いますが、稲葉八段は竜をぶつけて交換し、▲7二飛の王手から寄せ切りました。
チーム稲葉:5勝 - エントリーチーム:3勝

Dリーグ第二試合の結果

チーム稲葉は、藤本五段が3戦3勝でチームを予選1位突破に導きました。リーダーの稲葉八段がやや不振なのは気になりますが、初出場の上野四段が着実に白星を稼いでおり、危なげない予選突破だったと思います。本戦で稲葉八段が本来の調子を取り戻せば、優勝も狙えるチーム力だと思います。
エントリーチームは、リーダーの大橋七段が2勝して意地を見せました。冨田五段も闘志あふれる内容で1勝しており、次戦に期待を抱かせます。初出場の井出五段はこの試合では白星に恵まれませんでしたが、次戦で初勝利を挙げることができればチームが予選突破に近づくことになると思います。

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