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「観る将」が観た第61期王位戦第一局

少し前になりますが、7月1日から2日に掛けて行われた王位戦第一局の感想です。初タイトル獲得最年長記録を更新した木村王位と、タイトル挑戦最年少記録を更新した藤井七段との顔合わせとなった注目の対局でした。藤井七段にとっては、初めての二日制の対局であり、地元愛知に凱旋しての対局でもありました。

白の着物とグレーの袴に水色の羽織を着て登場した藤井七段は、振り駒で先手となり得意の角換わりに誘導。木村王位も堂々と受けて立ちました。
後手の勝率が低い先後同形からの△4四歩に、藤井七段が▲4五歩と仕掛け開戦。木村王位の△5二王、△9二角等の受けに対して、藤井七段も長考を重ねて攻め続け、▲7三歩成から先は攻め切れば藤井七段の勝ち、受け切れば木村王位の勝ちという激しい展開となりました。

二日目は木村王位の粘り強い受けに、藤井七段は一手間違えば逆転の手順をいくつも掻いくぐり、最後まで正確に寄せ切りました。
目の前の一手に最善を尽くしたい藤井七段には、持ち時間の長い将棋は向いているのではないかと思っていましたが、対局後のインタビューで少し疲れた様子を見せたのは気になりました。チャンスと見れば一直線に斬り込んでいく藤井七段と、粘り強く受けの奥義を連発した木村王位が、七番勝負の激闘を魅せてくれることを期待しています。

※藤井さんは7月16日に棋聖位を獲得されていますが、本稿では当時の段位で記述しています。

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