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ABEMA地域対抗戦 Bリーグ1回戦第二試合

2月10日、ABEMA地域対抗戦のBリーグ1回戦第二試合が放映されました。渡辺明九段が監督の関東Bチームと、深浦康市九段が監督の九州チームという、監督自身が貴重な戦力となりそうなチーム同士の顔合わせとなりました。


先発棋士3人は以下の通り発表されました。
関東B:渡辺明九段、永瀬拓矢九段、森内俊之九段
九州:古賀悠聖五段、佐藤天彦九段、佐々木大地七段

一局目:渡辺明九段 vs 古賀悠聖五段

関東Bは意表を突き監督自ら先陣を切ります。振り駒で後手となった渡辺九段が横歩取りに誘導し、古賀五段は横歩を取ってから飛車を2筋に戻します。渡辺九段は角を交換し、ひねり飛車に構えてから△8二玉と美濃囲いに入城します。古賀五段は8筋の歩を伸ばし、7筋の位も取って▲7六銀と厚みを築き、渡辺九段が△4九角と打ち込むと、▲3六銀と前進して駒の活用を図ります。渡辺九段が△3八歩と垂らして"と金"を作ると、古賀五段は桂交換して▲7四桂と王手し、銀桂交換します。渡辺九段は金取りに△8六桂と打ち、2筋の歩を伸ばして飛車を捕獲しますが、古賀五段は▲3三角~▲5五角成と馬を作って攻め合います。渡辺九段は飛車を6筋に回して守りに利かせ、古賀五段が▲6五銀と飛車取りに打つと、構わず△6七桂成と金を取ります。古賀五段は7筋から殺到し、取った飛車を▲4二飛と打ち込んで即詰みに討ち取りました。
関東Bチーム:0勝 - 九州チーム:1勝

二局目:永瀬拓矢九段 vs 古賀悠聖五段

後手の古賀五段が角道を止め雁木模様の将棋となり、永瀬九段は右銀を繰り出して飛車先突破を狙います。古賀五段は飛車先の歩を交換して飛車取りに△6四角と引き、永瀬九段が▲4六歩と受けると、△8七歩と銀頭を叩きます。永瀬九段は銀を引きますが、古賀五段は7筋の歩を突き捨ててから△6五桂と跳ね、飛車を7筋に寄せて攻め掛かります。永瀬九段は顔面受けで凌ぎますが、古賀五段は角を交換して△9四角~△7六角と先手玉に迫り、△8七角成と成り捨てて△7九飛成と竜を作ります。永瀬九段は▲6三歩から反撃しますが、古賀五段は攻防に△7一香と打ち寄せ切りました。
関東Bチーム:0勝 - 九州チーム:2勝

三局目:森内俊之九段 vs 古賀悠聖五段

先手の古賀五段が矢倉に誘導し、最近では珍しくお互いに金矢倉に組み合います。森内九段が△9三香~△9二飛と寄って端歩を交換し、7筋の歩を突き捨ててから6筋の歩をぶつけて角の利きを通すと、古賀五段は4筋の歩をぶつけて攻め合います。銀交換の後、森内九段は△7五銀と金にぶつけ、古賀五段が角取りに▲5三銀と打つと、金銀交換してから△9七香成と飛び込みます。古賀五段は桂で取り、森内九段が△9六歩と追撃すると、▲4四香と打って後手陣の金を剥がしてから角銀交換します。森内九段は金銀香を投じて自玉を守ってから先手玉を追い詰め、古賀五段の連続王手を凌いで逃げ切りました。
関東Bチーム:1勝 - 九州チーム:2勝

四局目:森内俊之九段 vs 佐藤天彦九段

後手の佐藤九段は向かい飛車に振り、森内九段が銀冠に構えると、高美濃に囲います。森内九段が穴熊への組み換えを目指すと、佐藤九段は8筋の歩をぶつけて取り込み、9筋を端攻めします。佐藤九段は更に飛車を9筋に回し、森内九段が金取りに▲5五桂と打つと、銀で食いちぎってから△9四香と飛香香の三段ロケットを設置します。森内九段が▲2三歩成と"と金"を作ると、佐藤九段は△9七香成と飛び込み、△8五歩と銀頭を叩いて吊り上げてから再度△9七香成と二段目を発射します。森内九段は角を取らせる代わりに後手の飛車を押さえ込み、▲2一飛成と竜を作り、後手玉を下段に落とす▲8一銀と打って寄せ切りました。
関東Bチーム:2勝 - 九州チーム:2勝

五局目:森内俊之九段 vs 佐々木大地七段

先手の佐々木七段が相掛かりに誘導し、4筋から仕掛けて角交換すると、森内九段は金銀を前進して厚みを築きます。佐々木七段は銀取りに▲4五桂と跳ね、森内九段が7筋の歩をぶつけると、銀桂交換してから香取りに▲6六角と設置します。森内九段が角を合わせて交換し、銀取りに▲3三角と打ち返すと、佐々木七段は▲6七銀と持ち駒を投じて手堅く守ります。佐々木七段は▲4一角と打ち込み、▲3四歩と角頭を叩いて金で取らせ、▲5五銀と銀交換して▲4三銀と打ち込みます。森内九段は自陣に銀を投じて粘りますが、佐々木七段は▲2五飛と銀を食いちぎって即詰みに討ち取りました。
関東Bチーム:2勝 - 九州チーム:3勝

六局目:増田康宏七段 vs 佐々木大地七段

関東Bは棋士チェンジし、増田七段を送り込みます。後手の佐々木七段が横歩取りに誘導し、角を交換してからひねり飛車で飛車を2筋に転回します。増田七段は▲5六角と好所に設置し、佐々木七段が1筋を端攻めすると、9筋を端攻めします。佐々木七段が飛車の横利きで9筋を受けると、増田七段は後手の飛車を攻めて角と交換し、金取りに▲2一飛と打ち込みますが、佐々木七段は角2枚で飛車を捕獲します。増田七段が角2枚と桂香で後手玉のコビンを狙うと、佐々木七段は香2枚を重ねて守り、7筋の歩を取り込んで攻め合います。増田七段は▲6四角成と馬を作り、佐々木七段が馬取りに△6一香と打つと、構わず金取りに▲5六香と打ち返します。ギリギリの終盤戦になりましたが、最後は佐々木七段が△7七角とタダ捨ての王手から即詰みに討ち取りました。
関東Bチーム:2勝 - 九州チーム:4勝

七局目:伊藤匠七段 vs 佐々木大地七段

関東Bは棋士チェンジし、伊藤七段を送り込みます。先手の佐々木七段が相掛かりに誘導し、角を交換して飛車取りに▲6六角と打ち直します。佐々木七段が9筋を端攻めすると、伊藤七段は△8四角と打って凌ぎます。伊藤七段が9筋から逆襲すると、佐々木七段は玉を4筋に遠ざけ、角交換後に▲7一角成と馬を作ります。伊藤七段は4筋の歩を突いて銀に当て、佐々木七段が飛車取りに▲7二馬と引くと、馬飛交換を甘受し4筋の銀を取ります。佐々木七段は銀桂両取りに▲8一飛と打ち込みますが、伊藤七段は攻防に△5四角と据え、△2七銀と飛車を捕獲して寄せ切りました。
関東Bチーム:3勝 - 九州チーム:4勝

八局目:伊藤匠七段 vs 都成竜馬七段

九州は棋士チェンジし、都成七段を送り込みます。後手の都成七段が工夫の出だしから、角を交換して向かい飛車に振ると、伊藤七段は銀冠に囲って間合いを測ります。都成七段が金を左右に動かして手待ちすると、伊藤七段は打開できず、千日手が成立します。
指し直し局は、先手となった都成七段が中飛車に振り、伊藤七段が2枚の銀を繰り出します。都成七段は▲4五歩~▲3七桂と銀を捕獲しますが、しばらく駒組みを進め、伊藤七段が5筋の歩をぶつけたところで銀を取ります。伊藤七段が8筋の歩を突き捨て、△6五桂と跳ねて先手の角を動かし、△8六飛と走ってから4筋の桂を取ると、都成七段は角を交換して▲6六歩と桂を取りにいきます。伊藤七段は△5五角と王手し、都成七段が銀を上がって守ると、銀取りに△2五桂と追撃します。伊藤七段は銀桂交換の後、取られそうな桂を△5七桂成と成り捨て、飛車で取らせて△8九飛成と竜を作り、△3九銀の王手から即詰みに討ち取りました。
関東Bチーム:4勝 - 九州チーム:4勝

九局目:伊藤匠七段 vs 佐藤天彦九段

先手の佐藤九段が四間飛車に振り美濃囲いに構えると、伊藤七段は7筋から仕掛けます。佐藤九段が飛車を7筋に寄せると、伊藤七段は角を交換して△8八角と打ち込み、馬を作って香と桂を拾います。佐藤九段は飛車取りに▲6一角と打って馬を作り、伊藤七段が△4四香と据えると、馬で香を取って▲4八香と受けます。伊藤七段が△6七馬と銀を食いちぎって金取りに△5五桂と打ち、飛金両取りに△6七銀と畳み掛けると、佐藤九段は飛車を見捨てて▲4六金と銀を取り、更に▲5五金と桂を食いちぎります。佐藤九段は4筋から反発して後手陣を崩し、取った飛車を王手で▲8二飛と打ち込みます。伊藤七段は△5八飛と打ち込んで反撃しますが、佐藤九段は攻防に▲7五角と打って寄せ切りました。
関東Bチーム:4勝 - 九州チーム:5勝

第二試合の結果

九州チームは、先陣を切った古賀五段が強豪相手に2連勝するという嬉しい誤算でチームを勢い付けました。相手に流れが傾きかけたところで登場した佐々木七段も2勝してつなぎ、エース佐藤九段が決着局を勝ち切ってチームに勝利をもたらしました。自信を得たであろう若手が次戦以降も活躍すれば、チームとして駆け上がっていけそうな期待を抱かせました。
関東Bチームは、ポイントゲッターとして期待された永瀬九段と増田七段が敗れ、チームとして流れに乗れませんでした。それでも森内九段と伊藤七段が2勝ずつ稼いだ辺りは、このチームの層の厚さを示しました。各メンバーが本来の力を発揮すれば総合力では大会随一と思いますので、次戦以降に期待したいと思います。

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