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第72期王将戦挑戦者決定リーグ戦の展望

第72期ALSOK杯王将戦の、7名総当たりによる挑戦者決定リーグ戦(通称:王将リーグ)の組み合わせが発表され、9月19日に開幕します。将棋界で最も過酷なリーグと言われるだけあって、今期もそうそうたるメンバーが出揃っています。

日本将棋連盟HPより引用

①渡辺明名人

第70期まで3連覇(通算5期)していましたが、前期は藤井竜王の挑戦を受け失冠しています。今年度は名人戦七番勝負で防衛を果たしていますが、まだタイトル挑戦はありません。王将奪還に向け周到な準備を進めているものと思います。

②永瀬拓矢王座

前期は最終局で藤井竜王を破って存在感を示し、4勝2敗の2位で残留しました。今年度も安定した成績を残しており、棋聖戦五番勝負では藤井棋聖に挑戦し、豊島九段を挑戦者に迎えた王座戦五番勝負が進行中です。

③羽生善治九段

前期は4勝2敗の3位で残留しました。昨年度は思わぬ不調に苦しみましたが、今年度は勝率7割を超える成績をあげて復調傾向にあり、現在進行中の棋王戦挑決トーナメントではベスト4進出を決めています。

④近藤誠也七段

前期は4勝2敗の4位で残留しました。いつタイトル戦に登場しても不思議ではないと評される若手実力者ですが、今年度は順位戦で4連敗を喫するなど、やや精彩を欠いているのが気になります。

⑤豊島将之九段

前期は2勝4敗で陥落となりましたが、二次予選で梶浦七段と山崎八段を降して勝ち上がっています。今年度も各棋戦で上位に進出しており、王位戦七番勝負では藤井王位に挑戦し、王座戦五番勝負では永瀬王座に挑戦中です。

⑤糸谷哲郎八段

前期はまさかの0勝6敗で陥落となりましたが、二次予選で黒沢六段と佐藤(康)九段を降して勝ち上がっています。順位戦A級2位の実力者ですので、前期の汚名返上に期待したいと思います。

⑤服部慎一郎四段

今期唯一の一次予選からの勝ち上がりです。二次予選では井田四段、齋藤(慎)八段、本田五段を破り、初めての王将リーグ参戦となります。今年度は各棋戦での活躍が目覚ましく、叡王戦では挑戦者決定戦まで勝ち進み、現在進行中の新人王戦では決勝三番勝負に駒を進めています。

優勝争いは、渡辺名人・永瀬王座・豊島九段の3人が中心になると思います。個人的には無冠返上を目指す豊島九段に期待しています。混戦になれば、今年度好調の羽生九段にも十分チャンスがあると思います。新鋭の服部四段がトップ棋士の集うリーグ戦でどれだけ暴れることができるのか、注目していきたいと思います。

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