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ABEMA地域対抗戦 準決勝第一試合

3月30日、ABEMA地域対抗戦の準決勝第一試合が放映されました。Bリーグ1位のチーム中部と、Aリーグ2位のチーム関東Aという顔合わせとなりました。


先発棋士3人は以下の通り発表されました。
中部:豊島将之九段、藤井聡太竜王名人、服部慎一郎六段
関東A:近藤誠也七段、木村一基九段、石井健太郎六段

一局目:豊島将之九段 vs 近藤誠也七段

振り駒で先手となった豊島九段が相掛かりに誘導し、お互いに飛先の歩を交換した後で3筋から仕掛けます。近藤七段は角交換してから9筋を端攻めし、豊島九段が▲8六銀と受けると、△6二飛と転回します。豊島九段が▲7七銀と引いて受けると、近藤七段は△4三歩と打って銀交換します。豊島九段は5筋から攻め掛かり、近藤七段が金取りに△5六銀と打って反発すると、▲7五角と王手してから▲5三角成と急所に馬を作って飛車に当てます。近藤七段は金銀交換してから△5二金と打って飛車に紐を付け、豊島九段が馬を飛車と交換すると、△5七角と王手して先手玉に迫ります。豊島九段は▲5八歩と角を追い、近藤七段が角を見捨てて飛車を取ると、▲4一角から即詰みに討ち取りました。
チーム中部:1勝 - チーム関東A:0勝

二局目:豊島将之九段 vs 木村一基九段

先手の木村九段が矢倉を選択し、豊島九段は相矢倉に組みます。木村九段が▲4五銀とぶつけると、豊島九段は8筋を継ぎ歩攻めして押さえ込み、△5五銀と金にぶつけて交換します。木村九段が角道を通して角交換し、金銀両取りに▲4五角と打つと、豊島九段は△4一角と受けます。木村九段は▲2三角成と金を食いちぎり、後手陣の金駒を剥がしてから、金取りに▲2五桂と跳ねて攻め続けます。豊島九段が丁寧に受けてから反撃に転じ、△2四角~△5七角成と先手玉に迫ると、木村九段も▲6三金と銀を取って詰めろを掛けます。詰むや詰まざるやの大熱戦となり、最後は豊島九段が△7七銀から連続王手で迫り、時計に叩き合いの中で形勢も大きく揺れ動きましたが、そのまま即詰みに討ち取りました。
チーム中部:2勝 - チーム関東A:0勝

三局目:豊島将之九段 vs 石井健太郎六段

後手の石井六段が四間飛車に振り美濃囲いに構えると、豊島九段はミレニアムに囲います。石井六段は△6五歩と突いて角を追ってから向かい飛車に振り直し、△4五桂と跳ねてから△6四角とぶつけて角交換し、豊島九段が飛車を3筋に寄せると、銀取りに△8四角と打って△5七角成と馬を作ります。豊島九段は歩で後手陣を乱してから金の両取りに▲6四桂と打ち、石井六段が銀で桂を食いちぎると、飛車取りに▲3二角と打って馬を作ります。石井六段が△3七馬~△5九馬と桂を取らせる代わりに銀を取り、△5七歩と垂らすと、豊島九段も▲5三歩と垂らして攻め合います。お互いに"と金"を作り、馬を取り合って相手玉に迫りましたが、最後は自陣の堅さを活かした豊島九段が即詰みに討ち取りました。
チーム中部:3勝 - チーム関東A:0勝

四局目:豊島将之九段 vs 佐々木勇気八段

関東Aは棋士チェンジし、佐々木八段を送り出します。先手の佐々木八段が角換わりに誘導しますが、豊島九段は村田システム風の出だしで拒否し、相雁木の将棋となります。佐々木八段が4筋の歩を突き捨ててから6筋の歩をぶつけて角交換すると、豊島九段は△4四角と打ち直します。佐々木八段が▲4五桂と跳ねて桂交換すると、豊島九段は飛車取りに△5五角と飛び出し、△6五桂打と反撃します。佐々木八段は▲8九桂と打って受け、お互いに桂を取り合う繰り返しとなり千日手が成立しました。
指し直し局は先手の豊島九段が相掛かりに誘導し、お互いに飛先の歩を交換してから角交換します。佐々木八段が菊水矢倉の形から△4五歩と仕掛けて桂交換すると、豊島九段は金取りに▲5五桂と打って▲6三桂成と飛び込み、▲7二角と打って馬を作ります。佐々木八段は△7四角と打って馬を消しますが、豊島九段は▲7四桂と飛車を追い、▲6二角と打って再度馬を作ります。佐々木八段が△5九角と打ち込んで金銀と2枚替えし、△6八"と"と捨てて飛金両取りに△5九角と打つと、豊島九段は▲3一金と金銀交換し、▲3三銀とねじ込みます。佐々木八段が飛車で食いちぎって凌ぐと、豊島九段は何か誤算があったのか潔く投了を告げました。
チーム中部:3勝 - チーム関東A:1勝

五局目:藤井聡太竜王名人 vs 佐々木勇気八段

先手の藤井竜王名人が角換わりに誘導して4筋の歩をぶつけると、早繰り銀に構えた佐々木八段は△5五銀とぶつけて銀交換します。お互いに継ぎ歩攻めで2筋と8筋を押さえ込み、藤井竜王名人が歩頭に▲2三銀と打ち込むと、佐々木八段は△4三金とかわします。藤井竜王名人は▲3四銀成としますが、佐々木八段は△4六銀と金に当て、△3三桂と飛車を追ってから金銀交換します。佐々木八段は歩頭に△8七金と打ち込んで銀と交換し、△8七飛成と竜を作りますが、藤井竜王名人は竜を追ってから▲2三歩成と反撃して竜を作ります。最後は藤井竜王名人が▲7一銀と打ち込んで挟撃態勢を作り、即詰みに討ち取りました。
チーム中部:4勝 - チーム関東A:1勝

六局目:藤井聡太竜王名人 vs 羽生善治九段

関東Aは棋士チェンジし、監督自ら満を持して登場します。先手の羽生九段が角換わりに誘導し、相腰掛け銀の駒組みから▲4五桂と跳ね、銀で食いちぎった桂を王手銀取りに▲3四桂と打って銀桂交換し、▲3四銀と打って猛攻を仕掛けますが、藤井竜王名人はまったく指し手を止めず、持ち時間を6分30秒まで増やして△4二角~△3一桂と手厚く受けます。羽生九段が馬を作ると、藤井竜王名人は銀を打って馬を捕獲し、飛車取りに△6六角と打って反撃に転じます。羽生九段は飛車を角と交換し、▲6三角成と飛銀両取りに馬を作り、馬を飛車と交換して王手銀香取りに▲5二飛と打ち込みますが、藤井竜王名人は△4二飛と合わせ、銀を取らせる代わりに金を取って竜を作り合います。羽生九段が竜取りに▲7五角と打つと、藤井竜王名人は△6六桂と打って先手陣を崩し、△5九竜から△6八銀と王手して即詰みに討ち取りました。
チーム中部:5勝 - チーム関東A:1勝

準決勝第一試合の結果

チーム中部は、初先発の豊島九段がいきなり3連勝し、チームに流れを呼び込みました。後をつないだ藤井竜王名人も手堅く2連勝してチームを決勝に導きました。2人のあまりの強さに、八代七段と服部六段に出番が回ってきませんでしたが、監督の杉本八段が決勝戦にどのようなオーダーで臨むのか注目されます。
チーム関東Aはメンバー5人が全員登場し、チームスローガンにある通り「一致団結して」戦いましたが、残念ながら相手の勢いを止めることができず、ここで敗退となりました。監督の羽生九段が牽引したチームでしたが、他のメンバーも白熱した勝負を魅せており、勝敗を分けたのはほんの紙一重の差だったように思います。

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