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「観る将」が観た第91期棋聖戦第三局

先週になりますが、7月9日に行われた棋聖戦五番勝負第三局をAbemaで観戦しました。藤井七段は茶系縦縞の着物と黒の袴に緑の羽織で登場です。

戦型は先手の藤井七段が、本シリーズで初めて得意とする角換わり腰掛け銀に誘導し、渡辺棋聖も堂々と受けて立ちました。両者研究手順のためか、昼休までに76手というハイペースで進行し、渡辺棋聖の△9九角成~△9九飛で早くも終盤戦に突入です。この辺りから両者長考を繰り返し、徐々に渡辺棋聖がリードする中、先に藤井七段が1分将棋となりました。最後は、△7八馬~△8六歩が決め手となり、自玉に詰めろを掛けられた渡辺棋聖が21手詰めを慎重に読み切り勝利しました。

本局は、前局まで連敗して開き直った渡辺棋聖が第一人者の底力を発揮し快勝となりました。対局後90手目の△9九飛を、渡辺棋聖は「考えたことがあった」、藤井七段は「対応がわからなくなった」と語り、その辺りが勝敗を分けたのかもしれないと思う一方、現代将棋の研究の恐ろしさを感じさせました。

今回の棋聖戦は、残り2局でどのような結末になるのか誰にもわかりませんが、今後何度もタイトルを争うことになるであろう両者の戦いの第一章として、永遠に語り継がれる名勝負になることを期待しています。

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