里見女流四冠の決断
日本将棋連盟は6月28日、里見香奈女流四冠から棋士編入試験受験申込を受理したことを発表しました。
里見女流四冠は5月27日の対局で受験資格を満たし、女性初の棋士編入試験を受けるのか動向が注目されていました。6月24日にも先日叡王戦五番勝負に登場した出口若武六段に力強い将棋で逆転勝ちするなど、その実力は誰もが認めるところですが、女性初の棋士を目指して一歩踏み出すことは相当の覚悟が必要だったのだろうと推測します。
女流棋士の立場でも、竜王戦・王位戦・王座戦・棋王戦・棋聖戦など、多くのタイトル戦に出場することが可能です。棋士になれば叡王戦や王将戦の予選にも参加することになり、フリークラスから昇級すれば順位戦にも参加してかなり対局数が増えることになります。女流棋戦にも参加するのであれば、体力的にかなりの負担になることは容易に想像できます。では何故里見女流四冠は、棋士編入試験を受験してまで棋士への道を歩むのでしょうか。
もちろん、一度は奨励会に身を置いて棋士を目指しながら果たせなかった夢に、再び訪れたチャンスを逃したくない思いもあるでしょう。少しずつ増えてきた将棋のプロを目指す少女たちに希望の光を灯したい気持ちもあるでしょう。将棋を指す女性が奇異に見られた時代から苦難の道を切り開いてきた先輩たちへの恩返しの意味もあるかもしれません。
いずれにせよ、里見女流四冠は棋士編入試験を受けることを決断しました。試験は四段になったばかりの精鋭5人と対局して3勝する必要があります。勢いのある若手5人に勝ち越すのよは容易ではありませんが、私は心から応援しつつご本人の希望通り「静かに見守って」いきたいと思います。
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