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羽生九段が予選敗退なんて…

羽生九段が王座戦で予選敗退と言うニュースが流れています。

王座戦と言えば、羽生九段が通算24期獲得している棋戦であり、中でも第40期から19連覇という偉業を成し遂げた棋戦です。当然永世王座の資格も持つ羽生九段が、そもそも予選から出場すること自体寂しい限りですし、とうとう本戦に進めないということが現実となってしまいました。

そう言えば、先日棋聖戦でも二次予選決勝で森内九段に対局し敗退しています。他のタイトル戦の状況が気になったので確認してみました。

第34期竜王戦 1組2回戦で永瀬王座に敗退(出場者決定戦へ)
第79期名人戦 順位戦A級8回戦終了時点で3勝5敗(残留決定)
第62期王位戦 挑戦者決定リーグ開幕 白組0勝0敗
第69期王座戦 二次予選2回戦で佐々木(勇)七段に敗退
第47期棋王戦 挑戦者決定トーナメントから登場
第  6期叡王戦 段位別予選九段戦2回戦から登場
第71期王将戦 挑戦者決定リーグに残留
第92期棋聖戦 二次予選決勝で森内九段に敗退

次期タイトル戦に登場する道が閉ざされたのは、名人戦、王座戦、棋聖戦の3棋戦です。しかし、名人戦はA級に残留する限り翌期に挑戦権を得る可能性が残りますし、他の棋戦は予選からの出場であっても勝ち進めば挑戦権を得ることができます。王位戦や王将戦では挑戦者決定リーグに残留していますし、まだまだ羽生九段がタイトルを争う位置にいることは間違いありません。

昨秋の竜王戦では、2年ぶりのタイトル戦登場となりましたが、残念ながら豊島竜王の前に1勝4敗で敗れ去りました。しかし指し手は常に積極的で、素人目には若々しい将棋に見えました。第五局の敗退直後に「充実してさせた」という談話を残しており、ご本人も敗れはしたものの確かな手応えを感じていたのだと思います。

AIによる研究が浸透し藤井二冠を筆頭に若手が台頭する中、羽生九段はこれまでの輝かしい栄光に胡坐をかいているのではなく、50歳にしてまた生まれ変わろうとしているように見えます。昨年9月に放映されたNHKスペシャルでは「藤井さんの将棋からいろんなものを吸収し学んで追いついていく」と語っています。この謙虚で貪欲な向上心は、強い羽生九段を蘇らせる原動力になるはずです。

王座戦予選の敗退後「残念ですが、今日は完全に負けの将棋だったので仕方ない」と語ったそうですが、きっと心の中で「次はそうはいきませんよ」と思っているに違いありません。これまでも苦境の中から何度も立ち上がってきた羽生九段が、近い将来タイトル獲得通算100期の金字塔を打ち立てるのを楽しみにしています。

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