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防貧という言葉を知ったら、 将来が不安な若者に向けて本をつくりたくなった

「防貧」という言葉をはじめて知りました。

読んで字のごとく「貧しくならないように防ぐ」という意味のようです。「貧乏にならない方法があるなら教えてくれ!」と誰しも思うところなので、この言葉についてちょっと調べてみました。

(著者:倉橋)

防貧とは?

【防貧(ぼうひん)】
①年金保険、②医療保険、③介護保険、④雇用保険、⑤労災保険の社会保険により、高齢・失業に伴う収入減や、職場内外での傷病による医療支出等のリスクを、社会全体で分散する仕組みとして発展してきた機能(内閣府資料より)

何だか難しいけど、日本には貧乏にならないための年金や保険という、セーフティーネットの制度があるということです。

「年金はダメ」「国は信用できない」という印象を持っている人にとっては綺麗事にしか聞こえないかもしれませんが、貰えるものはシッカリ貰って、貰い損しないためにも必要な知識だと思います。

そんな本、誰も読みませんよ

こんな風にいっている私も、社会保障について考えるようになったのは、次の出版企画の著者候補である先生から「若い人に読んでもらえる『年金の本』を出したい」とお聞きしたことがきっかけです。

そこで若手代表のような20代のライターさんにお仕事をお願いし、はじめての打ち合わせで言われたのが、「若い人はどうせ将来お金は貰えないと思っているから、『年金本』なんて読みませんよ」「老後の心配以前に、結婚も子どもも諦めている人たちがたくさんいます」。突然のガツンとしたダメ出し!

どうやらリーマンショックを経て右肩下がりの時代に育った30代前半ぐらいまでの人たちは、将来の社会に漠然とした不安を抱え、ガツガツお金を稼ぐことより「今の生活より貧しい生活はしたくない」と考える堅実・安定志向が多いようです。これって、防貧の考え方そのものでは?!

不安の正体

「結婚はコスパが悪い」という言葉を、都市伝説ぐらいにしか聞いていなかったアラフォー世代のわたしにとっては衝撃です。 

調べてみると日本の未来について問う意識調査でも、将来の社会が今よりよくなると考える若者は非常に少ないようです。生き方も働き方もドンドン多様化されるなか、お金も、仕事も、結婚もこの先どうなるかわからないから不安に感じてしまうのは、無理もないことでしょう。

「なんとなく不安だけど、何が不安かわからない」といったぼんやりとした状態なのかなと思います。でも、実はその実態の見えない将来への不安の多くは「お金の不安」のようです。

国の防貧制度が助けてくれる

お金に関しては、わたしもそうですが家庭や学校で学ぶ機会が少ないので知識が乏しく、そのため不安の原因がぼんやりして、取るべき対策がわからなく、ますます不安が募るという負のスパイラルに陥ってしまいがちです。では、国の制度を知って事前に心積もりしておくのはどうでしょう。 

例えば、こんな感じ……

「年金が貰えるかわからないから、老後が不安」 →
日本の年金制度の仕組みを研究する専門家たちも貰えなくなることはないと断言している。しかし、それだけでは老後のお金は足りないらしいので、投資信託などで安全に少しずつお金を増やしていこう。
「子育てにいくらかかるかわからないから、子どもを持つのが不安」→
出産時には42万円支給される制度がある。昨年からは幼児教育の無償化もはじまった。制度をうまく活用して教育費1,000万円以上なんて掛けずに身の丈で育てよう。

これまで堅苦しいイメージしかなかった社会保障の話ですが、難しいことは抜きにしてシンプルに考えると、意外と自分事として身近に感じませんか?

そして、老後の不安も、教育費の不安も、国の防貧制度が助けてくれると思うことで、必要以上に取り越し苦労することなく、自分の人生に少し前向きになれそうな気がしませんか?

好きな人ができたら、女性も男性も「結婚しよう」「子どもをつくろう」と自然に思え、若い人が自分の将来に希望が持てる本があったらいいな! 若者の実態を調べるうちに芽生えた想いです。

ポジティブな人生設計を

いつしか本のテーマが「年金」から「防貧」に変わっていきました。リアルな声を聴き、伝えたいものを形にする作業は編集の醍醐味といえます。一番しんどい作業ともいえますが……。

わたしたちは、自分の親より明らかに長生きする時代を生きています。不安解消だけでなく、どれだけポジティブな人生設計を提案できるかを、この企画のミッションに設定しようと思います。

といっても、この企画はお母さんのお腹の中にいる赤ちゃんより、さらにもっと小さな状態。これから社内の厳しい承認会議を通過してやっと赤ちゃんとして認められます。

無事にこの世に出産(出版)できる日が来るよう、若者を一括りにできないもどかしさと格闘しつつ、どのような内容なら手に取って読んでもらえるのか、しばらく若者研究の楽しい日々が続きそうです。

「年金って何なの」「本当に貰えるの」と、公的年金について知りたい方にお勧めのサイトが下記です。厚生労働省のものですが漫画仕立てでわかりやすい構成になっています。


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