見出し画像

コラム①自立って?

「自立」。児童養護の現場で最も行き交う単語の一つだと思います。

画像1

児童養護施設は「家」代わりです。健全な成長を経るための「家」を失った子供たちへ、衣食住を保証するだけでなく、自立に向けた「成長」の環境になる必要があります。

充分な収入を得る仕事ができて、自分を健康に保つ管理ができて、衣食住を整えることができる。これはよく言われる経済的・精神的・身辺的自立を言い並べただけですが、個々の事情にまで思いを巡らせると、コトはそうは単純ではありません。「愛の手帳」など社会が配慮すべき特性を持っていたら?保護者が金銭的なバックアップを保証してくれている場合は?長期に解決が見込めない内的なストレスを抱えていたら? 個人的な事情を理解することで、私たちが思う「自分でできるべき」自立の範囲は変わります。では、私たち支援者あるいはケアワーカーが目指すべき、自立の目標値とは? そもそも、私個人の話になりますが、私は施設で働くまで、窓口での公的な手続きや、調理・掃除など一人暮らしに関わる知識・経験がほぼありませんでした(大根を二つに切れ、と言われて三つに切りました...)。そうです、家事ができなくてもケアワーカーになれたのです。そもそも資格すら持っていませんでした。おお、なんということでしょう。

以下「自立とは?」あるいは「自立の基準とは?」と身の回りに聞いたアンケートの集計結果です。

・社会で生きること
・自分のできることとできないことを自覚できること。できることは自身で行い、できないことを人に支援を依頼することが自らできること。
・経済的に独立すること
・自立は、依存先を増やすこと。
・自分の能力を発揮し、お金を稼ぎ、自分で作り出せないものを補えること
・自分の発言や行動に責任を持てること(責任が持てない言動をしないこと)
・自らのできることを自分でする事。
・収入
・労働ができる精神力があること
・社会では共生、1人の人間としては自分の求めているものを把握し、自身で満たそうとできる事。
・十人十色
・自分は、家族や仲間がいて成長していると気づき、感謝できたとき❤
・自分の意志を行動に移せる力。
・福祉とのかかわりがあるなしにかかわらず、世知辛い世の中です。自立とは?その基準とは?定義づけることは難しいように思います(ボーダレス)。
・健常者に限って言えば、金銭的援助を受けないで生活できること。
・「助けて」と言えること
・「私は自立している」と言える状態
・年々遠くなってると思う。現代では、35歳くらいかな。
・自ら考え、行動できること
・自身の衣食住を確保出来る経済力を持っている事。日本は豊かだから、自律しなくても自立できる。
・自分の殻からの解放。そしてそれを持つ勇気。
・なんて答えていいのか分からない。どこに対して答えていいのか
・自分にしか備わっていない資源に気づき、それを愛を持って表現すること!
・自分の力で自分らしい人生を歩んでいくこと。(自分の力で人生を切り開いていく能力をもち、自分を信じ責任を持ち、その人らしい人生を歩んで行くこと。)
・社会的自立とか精神的自立とかあると思いますが、自立を一言でまとめるのは難しいです。また、基準はある程度自分の状況を理解した上で社会に適応できるかどうかだと考えました。

以上です。みなさんはどうお考えでしょうか。

もう児童福祉に入って、10年以上。年をとればとるほど。担当した元児童のその後に立ち会うほど、答えは迷宮入りしていきます。自立って?続く。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?