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原作「染色」

舞台「染、色」を観て以来、青い思い出に押しつぶされそうになりながらも、やっと原作を読みました。

ブッ●オフで200円也。本当に良いのだろうか。

■恐怖‼︎真未は幻想じゃなかった。

深馬の真未の部屋に一人きりのシーンは、本当に深馬一人だった。ただ狂って真未の残り香に縋る物悲しい深馬が居た。

原作だと絵を描くことを途中で投げ出したのは真未にあたる役の子で、深馬が真未に惹かれながら面倒をみている様子はまるで舞台と正反対だった。

舞台の真未ちゃんのが自立していて、達観していて、大人っぽくて好きだった。

よく大槻ケンヂ氏の青春小説のヒロインと主人公でみるような構図。

「あのころ好きだった君は、僕よりずっと大人になって、みるみるうちに追い抜かしていきました」を感じた。

原作版は真未ちゃんも独学でなく、絵を学校で学んでいた。

結末を言ってしまうと、海外留学が別れのきっかけになり、いくぢなし(?)の深馬が同行せず日本に残ってそれっきりになる終わり方。

個人的には、追い出しコンパ会場の居酒屋さんの場面が苦しかった。深馬は壁に貼ってあった真未の名刺を見つけて、止せばいいのにそこに書かれたURLを検索してしまう。HPには作品紹介、作品群には深馬との合作も深馬と過ごした痕跡もない。跡形もなく新しい作品で埋め尽くされていた。

染色の染は「染み」らしい。

なんとも最悪だったけれど、深馬にとって強烈なキャラクター真未ちゃんの痕跡はなかなか拭えない、忘れられない存在だったということだ。

■再び正門のノロイにかかった

正門くんだからこそ、純粋で色にたとえると白に近いグレーに設定されたに違いない。セッ●ス三昧のフラフラしたエロス深馬くんより、天才すぎる自分に酔ったお坊ちゃんだけど悪ぶりたいタナトス深馬はリアリティがある。天才すぎるがゆえ見たくない才能の枯渇や終わりが見えて、キャパオーバーで入院になってしまったのだろうけど。

そしてあの演技力。ほとんど出ずっぱり。

よく成し遂げたとあらためて感動した。

原作の深馬くんは正門くんと同じグループの末澤くんが合いそうな、尖った危うさがあった。

演出のかたもギリギリの線まで攻めて艶やかに、原作の世界観を守りながら、舞台版は正門くんの色を持ち味を引き出しながら作り上げたのだろうと感じた作品だった。

同じ時代にすれ違っていそうな一昔前に居た気がしてしまう深馬くん、さすが先生だなと思いました。(小声)


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