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LUNGS東京初日

神山智洋:M
奥村佳恵:W

◼️あらすじ
若いカップルが紆余曲折しながら、死が2人を分かつまでをセットが何もない舞台と一つの衣装で演じ切る。
韓国で上演された作品の日本初上陸舞台。

看板

◼️感想
オープニング、素の役者2人が挨拶。
神山さんの笑顔がMではなく神山さんだった。
2階席のほうが細かな動作が観やすい印象。

※以下閲覧注意※

子どもが欲しい男と乗り気でない女。
たびたび彼らは少しの行き違いから口論になる。話題は2人の生活の話から環境問題や社会的な問題まで飛躍する。止める者が誰もいない。ほぼMが折れて、物事を丸く収めて、大切な問題は抱き合って忘れようとする。(耳が燃えたように真っ赤な神山智洋が印象的だった。これぞ配信では伝わらないであろう空気感だった。)

Mは定職に付かず、好きなことだけを追求する。先のことより思い通りの未来を直感で求めていた。(Mはバンドマンなのだけど、個人的には辞めずに続けていてほしかった。またグダグダ付き合い続けるルートもありだと感じた。そのほうがリアルな物語になりそうだったから。)
Wは現実的で論理的に物事を考える人、だけどどこか矛盾したところがある女性。環境問題について語りながらタバコを吸ったり、尤もらしいことを語りながらも、やや子どもっぽいところがある。(結局、子どもを育てて、研究職ってどうなったのだろうか。WもWで結婚しない、子供もいないほうが、人として悔いなく生きられたのではないか)

この2人の馴れ初めが気になるところだが、一度彼らは別れてしまう。それで、Mには婚約者ができて、仕事も安定し出して順調に暮らしていた。このまま2人は終わっていたほうが幸せだったかもしれない。Wは母の葬儀がきっかけでMと再会。復縁をした。

2人の間に子どもができたことで、Mは婚約者と別れ、Wと再び付き合い結婚することに。(ここでMの優柔不断さの演技が上手すぎて心で「何してくれたのよ、Mよ」と何度も心で叫んでしまった。)

どんなに研究をしていても、語り合っても、失敗するものは失敗する。客観的にみると彼らは歪な関係で失敗だと思うが、W側で考えると色々苦難があっても家族が居て子供がいるだけで、成功者というか社会に存在して貢献してるように見えてくる。悲しいかなWが研究を続けたところで、評価されることは殆ど無いかもしれない。一方で、子供は何にも替え難い財産だと考える。
穏やかなシーンは一つもなかったけれど、MもWも根本的な性格は変わらず。恋人時代のように議論を重ねながら過ごして、子供も成長、Mは病に伏すように。

◼️人は老いる、壊れていく、死んでいく。

Mは亡くなる寸前でやっと本心を話せていた気がした。だけど、Wが彼にとってどんな存在だったか、ほとんど忘れていそうな様子をみせていたのは悲しかった。

LUNGSに私は「結婚地獄展覧会」と仮タイトルを付けたい。

たった1人と何十年も連れ添うって憧れますが、MとWみたいな言葉のデスマッチを毎日くり広げられる自信がない。

大切な人を心配したり、一緒に出かけるとか、映画を観に行って感想を語り合うだとか、相手の機嫌をブチあげる食事を作る事や、買い物に出かけるなど、そんな気遣いのピースが掃除機に飲まれたまま出てこない。(なんだろうかその例え)

なにしろ、もはやわからなくなった。リセット。

MとWは静かに何時間も何年も痣だらけになりながらつねりあってるみたいで、観ていて辛かった。どっちもどっち。優柔不断、しょーもない人々。

だけど他人事ではなかった。

「まさかね?私だけはそうならない」なんて思っている間に、なし崩し的に陥っていそうな風景ばかりだったから。

Mを看取ることが出来たWって究極だった。
偉い。なかなかできないことだろうな。

お2人の演技が素晴らしかった。
上手すぎてMが本当にじれったくなった。
Wが親友だとしたら、家族だとしたら何て声を掛けたら良いのだろうと本気で悩んだ。

この舞台、上演が続いてほしいと神山くんは仰っていたけれど、私はジャニーズなら正門良規版のMが何年か後に観てみたい。

◼️天国の部分だけを切り取って飾りたい

思考回路がショート寸前になると決まって、会社のロッカールームかトイレに閉じ篭るクセをそろそろやめたい。

リミットは刻々と。

振り返ると笑えるかもしれないけれど、笑える日まで生きるのは難しい。

そうだ、深呼吸🫁

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