見出し画像

声の魅力はいかほどか

昨日のエントリで「可愛いは容姿だけに限らない」という旨の文章を書いた。しかし外見/内面の二元論で恋愛の魅力を語るとカテゴリしづらい要素があるように思う。そのひとつが声だった。声がよいことは恋愛においてアドバンテージになり得るのだろうか。
※ただしベストセラー新書『人は見た目が9割』では声は「見た目」にカテゴライズしている模様。

「声フェチ」という言葉はずいぶん前から存在している。「声フェチ」は女性に多く、彼女らが言う好みの声はおし並べて低い男性のそれという印象がある。もちろんただ声が低ければいいなどということはないし、全国津々浦々の「声フェチ」なみなさんにインタビューして回れば予想もしない傾向が浮き彫りになるかもしれない。

最近ではカッコいい声の男性を「イケボ」、可愛い声の女性を「カワボ」と言うことがある。しかしここでいう男性の「イケボ」がこれまで言われて来た「声フェチ」の人の好みに合うものとピッタリ合致しているかと言われればわからない。

そもそも「イケボ」という概念はアニメの男性声優か(おそらく顔出ししていない)YouTuberの声に端を発しているように思うのである。

イケボって何?女性がメロメロになるイケボの特徴を解説!!(2020/04/28)
この記事によればYouTuber発端らしい。

もちろん「イケボ」と言われていなかっただけで芸人の麒麟・川島さんなど「声がいい」と言われる芸能人はそれなりにいた。しかし私の上記の推測が正しければ、「イケボ」というのは話者の外見が見えない声だけのコミュニケーションだから成り立つものと言えないだろうか。声優は本来アニメや映画の吹き替えなどをメインに仕事しているし、顔出ししていないYouTuberなら言うまでもない。

しかし自分で言っておきながらこの説を論難するのは容易い。今どき声優の顔出しなんて当たり前だし、イケボと言われているYouTuberでも容姿をさらしている人は珍しくない。となると外見情報を伴わないかっこいい声が「イケボ」とするのはさすがに無理がある。もちろん語源を辿れば実況YouTuberのこと「だった」と言うことは可能だろうが。

第一私自身がリアルの知り合いから頻繁に「イケボ」と言われている。特に子供たちから言われることが多く、それもここ数年のことである。ここ数年というとYouTuberの台頭してきた時期と合致する。YouTuberに最もハマっているの世代は小学生などの子供たちだろうから、やはり「イケボ」がYouTuberルーツという説には説得力があるように私は思う。

声優が人気を得だしたのは時期[要出典]としてもっと前に遡るし、当時は声のカッコいい声優を「イケボ」とは呼んでいなかった。やはり「イケボ」はYouTuberルーツなのか。

我ながら雑な論運びである。
ただこれまで言われていた「声フェチ」の人が好む声と「イケボ」はまったく別物ではなさそうである。どちらも声が低いというところは通底しているように思うからだ。
男性の声の魅力とはなにかを考えた時、私は「Screenless Media Lab.」のこの記事を思い出した。


 ところで、理想的な声とはどのようなものでしょうか。イギリスの言語学者アンドリュー・リン氏が2008年に行った研究によれば、映画『ハリー・ポッター』のスネイプ役で知られる、俳優の故アラン・リックマンの声が理想となります。研究では50人の声を、トーンやスピード、周波数に1分あたりの単語数、イントネーションといった観点から分析しています。


アラン・リックマンの声を改めて聞いてみると重低音の響くいい声だなぁと思う。

アラン・リックマン Wikipedia(2020/04/28)


独特の低音で甘い声も魅力のひとつであり、「ミルクチョコレート・ヴォイス」、「ベルベット・ヴォイス」などと形容されている。


しかし海外の研究で得られた「理想的な声」が日本に当てはまるかと言われればわからない。

ただ「いい声」にはある程度法則性がありそうな気はしてくる。アラン・リックマンもイケボ声優もイケボYouTuberも、響くような低音の持ち主なのかもしれない。

一般的に男性の低い声は信頼感を得やすいという話は聞くことがある。では「この声が素敵!」と恋に落ちたというパターンはあるのだろうか。

……もしかしたらあるのかもしれない。しかし声のもつ効果という意味でよく用いられる「メラビアンの法則」は「声がいいとモテますよ」という意味ではないし、「声さえよければOK!」という人もあまりいないだろう。

ネットで知り合った顔も知らない男性。ボイスチャットで聞いた話し声がとても素敵だった。その人に悩みを聞いてもらったりしているうちに相手を好きになってしまった。

これはあり得るかもしれない。この場合はその人のトーク技術や人間的な包容力がきっかけだと思われるが、ここに声の魅力が付与するよいイメージは無視できないはずである。「イケボ」は姿が見えないから引き立つものとも言えるであろうから。

私は声だけで男性がモテることはないように思っている。しかし考えながらこの文章を書いてきてある女性の言葉を思い出した。

私は男性の顔って目があって口があるってことしか認識してなくて、顔の造りにまるきり興味ないのよ。旦那には悪いけど。

人生いろいろ女もいろいろである。顔に興味がなく声に魅力を感じる女性になら好感を持ってもらえるかもしれない。

私は不特定多数の女性にモテたいとは思わない人間なので、本当に好きな相手に想ってもらえればそれでいいと考えている。今回相手に好いてもらう武器のひとつとして声を取り上げてみたが、意中の人が「声フェチ」なら電話などでその声を響かせれば多少なり効果はあるのかもしれないと思った。
だが声は変えられないし、「私こんな声が好き〜!」と本人が具体的に言ってくれることはなかなかない(声優好きな子ならあり得る?)。またふたりで電話で会話するというのはハードルが高いこともあるだろう。

うん、恋って難しい。

〜続く〜

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?