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子供の方が恋は純粋?

「大人の恋愛って純粋だからさ」とある小学生が言った。純粋な恋愛とは何かという話になるが、私はすかさず「いや、子供の方が恋愛は純粋だと思うよ」と返してしまった。

「えっ? そうなの?」

と彼女は驚いた顔だった。それはそうだろう。子供の頃は「本当に好きでこの人しかいない」と双方が思っているから付き合うと考えているものではないだろうか。少なくともテレビアニメや子供向けマンガの世界に「まあこの娘でもいいか。見た目もかわいいし」みたいな軽い気持ちの恋愛は描かれない。「事件解決に追われてる」と言い残して失踪し、年1の映画になるとお互いの名前を叫んで大立ち回りするぐらいハードでないと恋愛にはなり得ないのだろう。

一方で10年近く前にバズったツイートにもあった通り、「大人の交際(恋愛)で最初から好きなのはだいたい片方だけ。もうひとりは"悪くないし、付き合ってみてもいいかな"ぐらいの気持ちで付き合い始め、結婚やそれから先のことは後で考える」(大意)ものだろう。改めて考えてみなくてもそんな例はいくらでも転がっている。

一番好きな相手だから付き合うし、結婚する、という価値観を「純粋」と呼ぶならば、やはり子供の恋愛の方が純度は高そうなものである。
大人とは言うが、この恋愛観のシフトはどこで起こるのだろう。人にもよるが大体18〜20歳ぐらいの気がする。ある小説家が昔の作品で「高3になったら女の子なんて告白された相手と誰とでも付き合っちゃうぞ(これまた大意)」という台詞を書いていた。もちろん本当に誰とでも付き合うわけではないが、「花の青春の最後の思い出として誰かと恋愛しておきたい」ということなのだろうか。

当たり前の話を続けるが、若者に結婚観を聞くと純粋な恋愛を志向しているかどうかがなんとなくわかってくる。
「一番好きな相手と結婚したいか、(多少の恋愛感情はある)一番結婚生活に相性がよさそうな相手と結婚したいか」
純粋な恋愛を求める人ならばやはり前者だろう。もちろん純粋な恋愛は正しい恋愛とイコールではない。また最初から後者を選ぶ人もいれば、ずっと前者のままの人もいる。しかし前者から後者へと考えが変わる人というのは大抵「一番好きな相手とうまくいかなかった」経験をしている。一番好きな人を一番好きでいることはあまりにしんどいし、温度差を感じてすれ違ってしまう。会えない日々に涙を流していつか想いの火は燃え尽きてしまう。

若い世代と日々顔を突き合わせていると(恋愛について話す)そんな場面に何度も出くわす。小さな中学校に通う女子3人組を仕事体験で受け入れた際、昼休みに彼女らの恋の話になった。恋愛対象としてクラスの男子の名前をひとりずつ挙げていき、結局全員恋愛対象として「ない」という結論に至った。
まだ若いし、恋の理想が高いためだろう。仮にそうでなくてもその場では照れて否定的な発言をしてしまうこともあるに違いない。ただ女性と話すのが苦手という男性はこの頃の「男子のダメ出しを続ける女子の姿」をいつまでも覚えている人のような気がする。実際私も女性が苦手だった頃、自分の行動を見ながら女子が心の中で私のことをダメ出ししている姿ばかり想像していた。恥ずかしい話ながら事実である。

学生時代の女子の「男子のダメ出し」シーンは女性と話すのを苦手とする男性を作るのではないか。逆だってあり得る。当時同世代の男子が話題にしていたことといえば「可愛い娘」の話ばかり。そりゃ男性は女性の見た目ばかり重要視するとイメージを持たれても仕方ないだろう。美人認定ならまだしもブス呼ばわりされた人なら男性に対して恐怖心だって持ちかねない。

もちろん「好きな相手or相性のいい相手」はさすがに単純すぎるし、交際の先に結婚を意識しているかどうかで相手に求めることは違ってくるだろう。
少々単純化が過ぎる気もするが、この恋愛観の変わる子たちを何度も見てきた私としては思うところがあった。
恋愛対象にされてなかった意中の相手から急に興味を持たれるようにようになったら、あなたならどうするだろうか。

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