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自転車屋開業マガジン(短い記事)

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自転車屋の開業に役立つ記事を投稿しています。主に短い記事が中心です。
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#毎日note

自転車屋になった理由

 自転車屋になって、もう15年ほど。そういえば、なぜ自転車屋になろうと思ったのかをたまに忘れそうになります。すごく昔のことなので。  はじめて自分で自転車を買ったのは22歳の時。それまでは実家の親が乗っていた自転車や、姉のおさがりの自転車に乗っていました。  大学卒業後、勤めた会社の近くにBMXショップがありました。ふらっと立ち寄った時のこと、店頭にあったピストバイクに一目ぼれして、ボーナスで買いました。即決。5万円くらいだったような気がします。  はじめて買った自転車

自転車店の商圏はどれくらいだろう。アンケート取ってみた

 自転車店の商圏範囲はどれくらいなんだろうと思い、ツイッターでアンケートを取ってみました。ご協力ありがとうございました。  1㎞から4㎞くらいが約75%という結果が出ました。私も実際それくらいだと思います。  自転車を買いに来る範囲は大体2㎞から4㎞だとは思いますが、自転車修理に関してはもう少し狭いかなと思います。壊れた自転車を押して持っていく場合、1㎞が限界じゃないかなと。  郊外や自転車屋の少ない地域はもっと広くなると思います。  私は大阪府内に店を構えており、競

失敗が許されにくい時代になってきた:人の噂も7000日くらい

 2018年頃ですが、ロードバイクのコラムカットに失敗したお店が炎上してしまいました。たしかに対応が悪かったのは否めないのですが、その後Googleレビューを荒らされたりして閉店しました。  当時から悪ノリでツイッターで荒らし行為をしている人もいてずいぶんとブロックしたものですが、さすがにしつこすぎますよね。  ちょっと検索してみると2020年くらいまでそのネタが擦られており、うんざり。閉店に追い込まれたその後も評判を荒らされ続けているようです。人の噂も七十五日と言いますけ

【禁止事項】ローラーブレーキグリスに代用品はありません【危ない】

 主にシティーサイクル、軽快車に使用されているローラーブレーキ。雨天でも制動力が落ちにくい、音鳴りがしにくい、長持ち(安価なリムブレーキに比べて)などメリットの多い後輪用のブレーキです。  いいことづくめなローラーブレーキですが、メンテナンスが全く不要なブレーキは存在しません。制動力が落ちてきたり、音鳴りが発生することがあり、その際には専用の「ローラーブレーキグリス」を注入する必要があります。  高い!高いのですが、必ず純正専用品を使用してください↓  昔、ローラーブレーキ

自転車業界、メーカー直販の流れ

 最近、自転車メーカーの直販化の流れがかなり顕著になってきています、せんだって、スペシャライズドが契約店を大幅に減らしたことが話題になりました。かなり一方的な方法でやったようです。  その前からもジャイアントがジャイアンとスタートを展開しましたし、トレックなどもそうですね。  また、パナソニックも自社通販を始めたり(これは元々やっていた、自社ECサイトでも自転車を買えるようにしたということです)  ブリヂストンも一部地域になりますが、通販を始めるようです。  そういう感じ

中古自転車こそ、きちんと作り込むべき理由

自転車屋をやるにあたって、中古自転車を取り扱うかどうかは悩むところです。というのも、単純に粗利益率だけで言うと、中古自転車はかなり利幅が高く、安い新車よりも利益額が高くなる場合もありますが、中古車販売にはある弱点があるからです。  それは整備するのに時間がかかるということです。逆に言うと、時間をかけなければ、かなり割のいい商品ではあります。  こういう経緯もあり、ほとんど手をかけずに、中古車を販売する自転車屋がかなり多く、中には必要最低限変えるべき部品も変えずに販売していると

自転車の歴史を学べる「自転車物語スリーキングダム」を読んで

 自転車のなかった時代から、戦前までの日本における自転車の歴史がまとめられた良書です。  物語風の文体で、子どもでも読みやすいのではないかと。  陸舟奔車(りくしゅうほんしゃ)という日本製の自転車に近い乗り物の話やドライジーネ、ペダル駆動車(オーディナリー、ペニーファージング)、チェーン駆動、チューブの発明、自転車の成り立ち・歴史も学べます。  その後は、日本における自転車の導入、製造に至る歴史が描かれます。。丸石、ミヤタ、アラヤ、シマノなどの今も現役の自転車企業の成り立

最近ヒリヒリしてないって話

自転車屋を開業して約5年、なんとか事業も安定してきたのですが、安定したことによって、開業当初に毎日感じていたヒリヒリ感が完全になくなってしまいました。 開業してすぐに近くに競合の自転車屋さんができたりして、かなり切羽詰まった感じで仕事をしていました。もちろん、赤字だったので、貯金通帳の残高もかなりヒリヒリしていました。  今はコロナ禍もあり、やや客足が落ちているとはいえ、値上げや改装も行い、うざいお客さん塩対応で追い返したりなどで、かなりいい環境になってきました。利益に関し

いま、自転車屋をやっていて不安なこと

シマノさんが値上げを発表しました。まぁ仕方ないといえば仕方ないのですが、独占企業ってガッツリ儲けてらっしゃるようで羨ましい限りです。 翻って、我々のような零細個人店になると日々大変な訳であります。 値上げにつぐ値上げ、ここ10年で新車の仕入れ価格は1.5倍ぐらいになってしまいました。5%の値上げが10年間続くと大体1.6倍ぐらいになるようです。となると、ここ10年で毎年5パーぐらい上がっていたということで、シマノの値上げはまぁそんなものかという感じです。 で、本題です。自転

その場しのぎの修理はしない方がいい

 自転車屋をやっていると、様々な自転車が持ち込まれます。状態によっては修理よりは買い替え。調整よりはパーツ交換、といった症状のものが少なくありません。というか、簡単にさっと直る程度なら持ち込まれません。  ですが、自転車にお金をかけたくないのか、最低限の調整でやってくれと言われたり、その場しのぎの応急処置をやってくれと言われることはしょっちゅうあります。うんざりするくらいに。  ですが、私はなるべくそういった依頼は断っています。パーツ交換が必要ならパーツ交換をすべきだし、調

共同経営はやめとけおじさんが語る共同経営の顛末:自転車屋編

 「和を以て貴しとなす」日本人全員が知っている、とてもいい言葉ですが、皆が理想とする言葉がなぜ人口に膾炙するかと言いますと、それが存在しえない、もしくは、存在しがたいものであるからです。   つまり「和を以て貴しとなす」ということは大事だけど、実現が難しいということなのでしょう。  実際、私も以前は共同経営で自転車屋をやっていました(三人)  共同経営というよりは、共同で店舗を立ち上げたというのが正しい書き方かもしれません。そして、やはり最終的には空中分解してしまいました。

撤退ラインを考えておく

 波に乗っているときは簡単にもうかるけれど、波が静まれば沈むしかない。わけわからない名前を付けることで有名なパン屋さんがつぶれまくっているようです。  ブームで店が乱立。その後閉店ラッシュという流れは「タピオカ」「白いたい焼き」などで見た流れですが、ブーム終盤で参入した人がババを引くのもいつも通りですね。  私も自転車屋をやっているのですが、辞めると決心するのはすごく難しいと思います。もしかしたらまた上向くかも、とか、いろいろ考えてしまうと思います。最近も同業者さんが辞め

一見さんお断りの自転車屋は成り立つのか?

「ここが誰のどんな店か知らない方の入店をお断りします」ロックな張り紙をしているお店の画像をネットで見たことがありますが、今もこういう自転車店はあるのでしょうか?  存在はしているけれど、多分、かなり減っているのかなと思います。うちで買った店自転車以外は修理しません。とか、一見さんお断りみたいな自転車店は今ほとんどなくなっているでしょう。  スポーツ自転車専門店で、一般車の修理を修理ができることを大々的に宣伝している自転車店もありますし。  これからの時代、一見さんお断りな自

残存者利益を狙っていく

 自転車業界は斜陽産業か?という記事を書いたのですが、結論としては、斜陽産業であることは間違いないと思っています。  ただ、自転車業界がなくなることはありえません。これほど、効率のいい乗り物はほかに存在しないからです(いまのところ)  ということで、自転車業界自体は電動自転車、スポーツ自転車をのぞき、今後も斜陽産業化は進むと思われます。  その結果、自転車販売店の数は減るでしょう。しかし、自転車はメンテナンスなしでは使えない乗り物です。自転車修理の需要はあり続けます。  た