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「ウェルビーイング(Well-being)」とは【小論文の用語】  

 小論文の添削指導の際によく間違いとして見受けられるフレーズや、外来語由来の用語があります。その中でも、最近頻繁にメディアで取り上げられている「ウェルビーイング(Well-being)」の意味や背景について解説していきます。




【1】 「ウェルビーイング(Well-being)」の意味 

 最近よく聞く「ウェルビーイング」。「well(よい)」と「being(状態)」からなるこの言葉は、一見すると曖昧な表現に感じるでしょう。

 WHO(World Health Organization/世界保健機関)の公式サイトには、下記のように記載されています。

Well-being is a positive state experienced by individuals and societies. Similar to health, it is a resource for daily life and is determined by social, economic and environmental conditions.

Promoting well-being|WHO

 つまり、「個人や社会がポジティブな状態のこと。健康と同様に日常生活の一要素であり、社会的、経済的、環境的条件によって決定される。」と訳すことができます。


【2】 「ウェルビーイング」の背景  

 「ウェルビーイング」は1947年に採択されたWHO憲章前文において、下記の定義から生まれた概念です。

 健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが 満たされた状態(well-being)にあることをいいます。

日本WHO協会

 「健康」には、肉体的や精神的に加えて、社会的な健康の実現が不可欠であるということ。「社会的に健康」であるには、日々の暮らしを取り巻く環境や経済状況が良好であることが大事だということです。

 しかし、私たちが「ウェルビーイング」との言葉に注目し始めたのは、ごく最近のこと。その背景には、昨今の価値観の多様化、働き方改革、人材不足の解消、企業のSDGsの取り組みなどが関わっています。


【3】 企業の「ウェルビーイング経営」  

 今までは個々の企業が取り組むレベルだった「ウェルビーイング」ですが、最近では「ウェルビーイング経営」として、「社会的な健康」の実現に向けてどのように貢献するのかを社会レベルで打ち出しています。

 「ウェルビーイング経営」とは、自社の利益を追求するだけではなく、働く個人や組織が幸福度を高めていく“ウェルビーイングな状態”である経営のことを指します。


【4】 「ウェルビーイング経営」に関わる“PERMAモデル”  

 「ウェルビーイング経営」を実施する際によく参考にされているのが、2011年に発表された“ポジティブ心理学の父”マーティン・セリグマン博士の「PERMAモデル」です。この「PERMAモデル」では、下記5つの要素を満たす必要があると考えられています。

Positive Emotion
 (ポジティブ感情)
Engagement
 (エンゲージメント、またはフロー状態を生み出す活動への従事)
Relationship
 (関係性)
Meaning and Purpose
 (人生の意味や仕事の意義、及び目的の追求)
Achievement
 (何かを成し遂げること。ただし「達成のための達成」をも含むため、必ずしも社会的成功は伴わなくてもよい。)

日本ポジティブ心理学協会

 このモデルを参考にウェルビーイングを推進し、企業で働く個人や組織全体の幸福度を高めていくことを多くの企業が目指しています。


【5】 小論文.comの対策  

 ただカタカナ用語を暗記したり、「なんとなく」みんなが使っているから、ニュースで聞いたからと、言葉の本質を捉えずに使用するのは避けたいところです。その言葉の意味を理解した上で自分自身の「言葉の引き出し」に落とし込みましょう。

 また小論文においては、その用語が使用されている背景や時事問題にも目を通し、その問題に対して「自分はどう考えるのか」を常に頭に入れておくようにすると、自ずと小論文対策にも繋がります。国内外問わずどのように報道されているのかも確認できれば、それぞれの問題を比較することが可能になります。できる限り日本で報道されているニュースだけではなく、海外のニュースにも目を向けて広い視野で物事を捉えるよう意識しましょう。

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