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「効率」と「能率」の違い【小論文の漢字】 

 特に日本語には類似の言葉・用語はたくさんありますが、「効率」と「能率」という漢字・意味は微妙な違いで特にむずかしいかもしれません。今回は少しこれらの違いについて解説していきます。

 日本語の「効率」と「能率」は、英語でいうとどちらも「efficiency」といったところが当てはまります。つまり、英語の概念においては「効率」と「能率」の違いは存在しないものかと思われます。日本語はかなり複雑ですからこのようなこともよく起こります。英語発想に慣れている方の参考といたしまして、一般的に英語でいう「efficiency」に相応する日本語は「効率」だと考えておいてください。ここで「効率」と「能率」の明確な違いについてご説明いたします。

 「効率」というのは、なんらかの仕事に費やした労力に対してどのような成果があったのかという割合だと考えておいてください。一般的に日本でよく言われる「コスパ」といった言葉はまさにこの「効率」という概念に当てはまります。「コスト」というと費用というお金のイメージだけが思い浮かぶかもしれませんが、「機会費用」「人的コスト」のように、最終的にはお金の話だとしてもあくまでも概念としてそこまでに費やす仕事量・労力を指すこともできます。「パフォーマンス」というのはそのコストに対する成果です。ですから、何らかのコストに対してどのようなパフォーマンスが得られるのかというこの概念が「効率」というものだと考えておきましょう。

 それに対して「能率」というのはこの「効率」という言葉の中で、特に「時間」に対して効率が良かったかどうかという割合を考える時に限って「能率」という言葉が使われることがあるということです。つまり、能率というのは「決められた”時間”に対してどのくらい仕事量があったのかという割合」だと考えておいてください。

効 率
= 仕事に費やした労力に対してどのような成果があったのかという割合

能 率
= 決められた ”時間” に対してどのくらい成果があったのかという割合

 時間軸のみで考えるのが「能率」、時間も含め機会費用や労力、努力も含めた総合的なコストに対するパフォーマンスとして良かったか悪かったかを考えるのが「効率」だということですね。ですから、小論文を「書く」という作業において安全な表現としては「効率」の方を好んで使用していくのが良いでしょう。「能率」と書いて時間と関係がない話になってしまうと間違いとして減点されてしまいますから、減点を避けるためにも特にどちらの表現にもこだわりがないのであれば「効率」としておくのも1つの賢明な選択だといえるでしょう。

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