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「リスキリング(Reskilling)」とは【小論文の用語】  

 小論文の添削指導の際によく間違いとして見受けられるフレーズや、外来語由来の用語があります。その中でも、最近頻繁にメディアで取り上げられている「リスキリング(Reskilling)」の意味や用語に対する考え方について解説していきます。



【1】 リスキリングの意味  

 経済産業省によると、「リスキリング(Reskilling)」とは、下記の通り。

新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必 要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、 必要なスキルを獲得する/させること。

 英語を直訳すると「新しい技能を身に付ける」や「再教育する」との意味になります。近年の意味としては、特にデジタル化にともなって生まれる新しい職業、スキル習得を指しています。個人が行うスキル習得だけでなく、企業側が業務需要の変化に対応すべく、従業員にスキル獲得させる場合も含まれます。大枠で言えば、近年では「デジタル時代の人材戦略」ということになります。


【2】 英語「リスキリング(Reskilling)」の背景  

 その背景には、2020年の「世界経済フォーラム年次大会(ダボス会議)」で「2030年までに全世界で10億人をリスキリングする」と宣言されたことが大きく影響しています。

 IoTやビッグデータの活用、AI(人工知能)による技術革新が、「第4次産業革命」をもたらしています。そのような技術革新により、新たに生まれる職業となくなる職業があると考えられており、新しい技術が発展するにともなって業務の進め方、雇用のあり方も変化するため、デジタル人材の不足に対応する目的でリスキリングへの関心が世界的に高まってきています。

 ダボス会議での宣言を受け、日本でも秋の臨時国会で「リスキリング支援」を開始すると表明。その後、「リスキリング」との用語を頻繁に耳にするようになり、2022年の新語・流行語大賞にもノミネートされるなど、日本政府も支援に注力しています。


【3】 「リカレント」との違い  

 よく「リカレント教育」と誤解されやすいですが、「リカレント」とは「循環・回帰」の意味があり「生涯学習」とも言い換えられます。あくまでも「個人」を主体とし、人生を豊かにする学習行為を指します。

 個人が主体となる「リカレント」に対して、単なる学び直しではなく、企業が主導となってこれからも職業で価値を創造し続けるためのスキルや知識の習得、そのための学び直しが「リスキリング」です。リスキリングは、企業において経営課題を解決するための施策のひとつにもなります。


【4】 政府が実施している「リスキリング」支援  

 経済産業省では、リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業を展開しています。リスキリング講座の受講や専門家へのキャリア相談などを踏まえた転職相談や職業紹介までを一体的に実施する事業者に対して補助を行うもので、事業者が実施するキャリア相談や転職相談・職業紹介を無料で受けることができます。詳細は、 公式サイトリスキリングを通じたキャリアアップ支援事業 から確認できます。その他にも、さまざまな支援が展開しています。


【5】 小論文.comの対策  

 ただカタカナ用語を暗記したり、「なんとなく」みんなが使っているから、ニュースで聞いたからと、言葉の本質を捉えずに使用するのは避けたいところです。その言葉の語源を探り、正確に意味を理解した上で自分自身の「言葉の引き出し」に落とし込みましょう。

 また小論文においては、その用語が使用されている背景や時事問題にも目を通し、その問題に対して「自分はどう考えるのか」を常に頭に入れておくようにすると、自ずと小論文対策にも繋がります。国内外問わずどのように報道されているのかも確認できれば、それぞれの問題を比較することが可能になります。できる限り日本で報道されているニュースだけではなく、海外のニュースにも目を向けて広い視野で物事を捉えるよう意識しましょう。

 小論文.comでは、小論文.comのX(旧twitter)【小論文の時事】において特に最新の海外時事情報(特にイギリス、アメリカ、ドイツ、スウェーデン)を中心に速報でお送りしています。すべて日本語訳でお送りしておりますので、ぜひご利用ください。

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