ポルノグラフィティNEWシングル『テーマソング』とともに、嘘でも前に
令和3年9月8日、ポルノグラフィティの約2年ぶりの新曲『テーマソング』が先行配信リリースされた。本日22時より、YouTubeの超人気コンテンツ『THE FIRST TAKE』でも披露される（まじで全人類見てくれ）。
この楽曲は、作詞をギターの新藤晴一、作曲をボーカルの岡野昭仁が手掛けている。
岡野さんがポルノの充電期間中にソロプロジェクトで習得してきたことを、本体であるポルノで存分に発揮しているかのような、今までのポルノとは一味違う“今っぽい”曲の展開とサウンド。
壮大なストリングスと、一曲を通して鳴り続ける鼓動の音のようなバスドラム、それに乗せて歌われる伸びやかで心震えるようなコーラス。
言葉（歌詞）と音（演奏）、両方が揃うことで、どちらか片方だけでは見えない景色が広がっていくようなアレンジが秀逸な、ポルノグラフィティの新始動に相応しい一曲だ。
この『テーマソング』は、ラジオやテレビ等で本人たちが語った話によると「新藤晴一が苦手としてきた応援歌を書いた」とのことだった。
これまでも新藤さんは「ギフト」「A NEW DAY」「ブレス」など、聴き手にそっと寄り添い、時にはどんと背中を押す、元気を与えてくれるメッセージソングを多数生み出しているので、私は正直、曲を聴く前は「え、苦手だったんですか？？？」なんて思ってしまったが、歌詞で使われているワードを聞くと、その言葉に納得した。
「フレーフレーこの私よ」
「I can do it 言い切ってしまおう」
確かに、いつになくめっちゃわかりやすく応援してくれてる。一見、新藤晴一が歌詞として選んだ言葉とは、にわかに信じがたい。
というのも、新藤さんは、「愛してる」を「愛してる」以外の言葉で表現することに、とことん拘ってきたような作詞家だと思うからだ。彼は、単純な言葉ひとことでは表し切れないような複雑な人間の心情を、絶妙な言葉選びで表現するプロだ。ど真ん中ストレートな言葉を歌詞に使ってくることは少ない。
そんな人が書く「フレー！フレー！」は、ファンとしてはかなりの驚きだった。
また、新藤さんはファンの間では「言葉に潔癖」という定評が付くくらいに、作品内で無責任なメッセージを放つことを嫌うところがあると思う。
「明日に希望はある」とか「努力は必ず報われる」とか、そんな耳障りの良い言葉は、絶対に言ってはくれない（だからポルノグラフィティの歌を私は圧倒的に信頼しているし、そういうところが大好きだ）。
「明日に希望があるかはわからんけど、まあ大丈夫よ」
「努力は報われる時と報われない時があるけど、ま、無駄ってこともないんじゃない？それも君の人生よ」
みたいなスタンス。
基本的に「決して明けない夜も 降り続けて止まない雨も このろくでもない世界にはあるんだよ」てな感じの男なのだ（僕のヒーローアカデミア主題歌、THE DAY 冒頭歌詞より）。
その人が書いた「I can do it！言い切ってしまおう」。この衝撃、おわかりいただけるだろうか。
しかし、全編通して何度か聴いてみると、新曲『テーマソング』は、あくまで新藤晴一は新藤晴一のまま、最大限に人々に届きやすい形でのエールを送ってくれている曲なのだな、ということがわかってきた。
それほどまでに、今の私たちには、応援が必要な時だから。新藤さんは今まであえて避けてきたそれに、真正面から挑戦してきたのだ。そのことを感じながら聴くと、私はこの曲から、とてつもなく大きな愛を感じる。
私が特に新藤さんの色が顕著に出ていると感じたのは、２番冒頭の歌詞だ。
「ただ自分らしくあれば それが何より大切」
などと思えてない私 何より厄介な存在
気が付けば口癖が自分を縛る呪いみたいで
嘘でもいい I can do it I can do it 言い切ってしまおう
2006年に出版された新藤さんの著書『自宅にて』に、『嘘でも前に』というエッセイが載っている。元メンバーのtamaさんの脱退が決まった頃に綴られたものだ。私が人生で出会った中で、最も大切にしている言葉の1つである。一部、引用させていただく。
100％の自信をとり戻すまで「嘘でも前に」だよ。「嘘でも前に」行けるうちは前に行く。「嘘でも前に」行けなくなったそのとき考えよう。
そうしてるうちに「明後日か明々後日か一週間後くらい先は、いい日さ」って思えるかもしれない。
（自宅にて／新藤晴一）
私がテーマソングを聴きながら思い出したのは、まさにこの言葉だった。不安でいっぱいな、自信のない自分でも、嘘でも前に。テーマソングは、どこまでもちゃんと新藤晴一の、ポルノグラフィティの歌で、私の人生の歌だ、と思った。
壮大なテーマソング
流れりゃその気にもなるかな
耳に届く音はいつも
不安な鼓動のドラムだけ
フレーフレー この私よ
そして フレー 私みたいな人
ともに行こう 拳あげて
誰のためでもない This is all my life
明日に希望があるかはわからない。頑張ればその先に、良いことがあるのかどうかもわからない。
でも、私はポルノグラフィティの音楽と一緒なら、嘘でも前に、いけるような気がする。
『テーマソング』は、そんな私の人生の、テーマソングになるに違いない。
▶︎泣きたくなるほどの青さの素敵な空のカバー写真は、こんちゃん（kon）さん（https://note.com/ciliegie）の作品を『みんなのフォトギャラリー』からお借りいたしました！！！
ありがとうございました！
▶︎こちらもぜひ〜！！！
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか？