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「副校長・教頭に「補佐役」」をつけるという文科省の新たな「やった感」改革案

教員の長時間労働が問題となる中で、学校管理職もまた長時間労働を強いられている状況にあります。

そんな状況を改善するための「画期的」な案を文科省がまた思いついたようです。


制度の概要

この「補佐役」は「マネジメント支援員」と呼ばれるそうです。

JIJI.com 副校長・教頭に「補佐役」 長時間勤務対策で新制度―文科省

主な業務は出勤管理、外部との渉外、国や自治体のアンケートの処理などということです。

支援員の人件費の1/3は国が補助を出すことで、教頭や副校長の負担を減らす試みということです。

支援員制度から考えられる問題

そもそもこの制度で支援員にどれほどの給与を与える予定なのでしょうか。

高額な場合は予算不足の自治体が雇用できない可能性が高くなります。

現時点でも教員の給与の1/3が国庫負担であるにも関わらず、予算的に教員採用数を絞らざるを得ないのにです。

また管理職の退職者を雇用する場合、教員文化における長幼の序の原則を考えると仕事がやりにくくなるだけになる可能性は十分にあります。

そもそも一人でやっていた仕事を二人で回す場合、その割り振りやマネジメントが増えるために、単純に半分にならず非効率になるでしょう。

仕事が多いのならば減らせばよい

どうして教頭や副校長の仕事が多いために勤務時間が長い、という問題に対して仕事を増やす方向で考えるのでしょうか。

PTA制度の廃止や学校向けアンケートをの原則禁止など、文科省が工夫をすれば十分に業務の削減は可能です。

結局のところ、自分たちの権限や既存の制度をいかに触らずに現場に業務改善の責任を丸投げしたようにしか見えないのです。

教頭・副校長は勤怠管理を担う「管理職」

そもそも教頭や副校長は勤怠管理を行うなど、労務管理を行うマネージャーーであり、勤務時間という概念がその業務とマッチしていません。

業務が大変というのならば、報酬を高額な年俸制にするなど高度な管理力のある人材を採用すればよいのです。

また、学校の教員は専門職であり、マネージャーとしての訓練を受けていません。

そのため、現場での教員としての仕事と管理職の業務でミスマッチを起こす可能性が低くないのです。

民間で言えば校長がCEOならば、教頭や副校長はCOOであり、近年こうした企業の経営者は専門経営者が就くことが多いようです。

学校の現場でもそうした学校専門経営者、管理者を養成、活用する段階にきているのかもしれません。

文科省の新たな「やった感」改革案

文科省が打ち出す改革の多くは「やった感」を出し、あとは地方に丸投げ、予算不足で実行できないのは教育委員会の責任にする、というフォーマットが定番化しています。

そして今回もその例に漏れないように見えます。

果たして、きちんと「支援員」が機能するのか、見ものではあります。


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