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熊本県公立高校の学科再編に関する雑感

熊本県の県立高校で学科再編を行うとのニュースが出ていました。

熊本日日新聞 公式サイトより

さらに、定員割れの続く学校に関しては募集定員を減らすようです。

 県教育委員会は14日の定例会で、2023年度に県立高10校で学科改編すると決めた。このうち北稜、八代農、岱志、松橋の4校は深刻な定員割れの状況を踏まえ、それぞれ募集定員を1学級(40人)減らす。

熊本日日新聞

学科再編校の入学状況の実態

高等学校が学科の再編を行う場合、恒常的に定員割れを起こしている状況のテコ入れでしょう。

今回は気になるポイントで第一候補である「マンが学科」には触れないで話を進めますので気になる方は↓からどうぞ。

定員数を削減するという、北稜、八代農業、岱志、松橋の4つの高校のR4、R3の後期入試の倍率と、前期日程の内定者数を見てみます。

$$
\begin{array}{c:c:c:c:c}
\textbf{高校名} &\textbf{後期募集人数} &\textbf{R4倍率} & \textbf{R3倍率} & \textbf{前期内定者}\\
\hline
北稜& 129 & 0.06 & 0.10 & 71 \\
八代農& 106 & 0.08& 0.04 & 54 \\
岱志& 129 & 0.02 & 0.04 &31 \\
松橋& 152 & 0.07 & 0.24 & 48 \\ 
\end {array}
$$

この人数は全校でのものです。最終入学者は後期募集人数×倍率+前期内定者+二次募集合格者になります。
(二次募集受験者自体がごくわずかです)

人口が減少している地域の学校ですが、入学定員に対してあまりに受験者が少なく、募集人数の設定に無理があるように感じます。

都市部への流出と私学入学者

熊本県の公立高校入試は大学区制を採用しています。大きくは県北、県央、県南の3学区に分類され、自分の住んでいる学区の学校を受験します。

しかし、例外として学区外枠を各学校で設定しているため、学区外からの受験も可能です。

その枠も近年は拡大されているため、比較的自由に県内を受験することができる状況になっています。
(このあたりは隣県の福岡と大きく異なります。福岡は小学区制で学区外は普通科以外の学科のみとなっています)

そのため、比較的交通の便が良い過疎地域の場合は、県庁所在地である熊本市に進学先を決めるケースが多いようです。

また過疎地域の公立進学校の受験を考える場合、近隣私立高校への進学を選ぶケースも少なくないため、地元の公立高校の倍率が軒並み減少している状況のようです。

募集定員や学校再編を考える必要も

正直、上記の4校のような規模の学校を複数クラス、コースを分けて設置する意義に関しては考える必要はありそうです。

もちろん、過疎地域における学校の存在意義というのは大きいでしょう。若者が高校ですべて町から姿を消すというのは、耐えがたいものだと思います。

しかし、一つの高校を動かすための最低人員の確保、その人件費、施設維持費などは多大にかかっているのではないでしょうか。

ポジショントーク

ここからは私学勤めの立場からのポジショントークです。

自治体独自で近隣私学への進学補助金を出すなどの方策がとれれば、無理に公立高校を維持せずとも教育機会の確保とコストカットが実現できるような気もするのですが。

このような事例はおそらく全国の過疎地域において起こっているのでしょう。

こうしたことを解決していくことが、全国レベルでの学力の下支えになるのではないでしょうか。

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