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「隠れ教育費」と指定学用品価格の問題


「隠れ教育費」

「隠れ教育費」とは授業料などの目に見える部分以外にかかる学用品などの費用のことです。

これは本来無償である義務教育の小中学校でもかかるため、費用負担を想定していない家庭も多いようで、実際に必要だということが分かった時点でトラブルになるケースもあるようです。

この問題に関して、事前に費用をきちんと明記するなどの対応が遅れているのは学校および行政サイドの手落ちであるのは確かです。

少なくとも学用品を含めた総額は入学前に保護者に告知すべきですし、また給食費や学級費などの回収や取り立てを教員に行わせないなどの改革は早急に取り組む必要があるでしょう。

「無償化」はまず義務教育から

昨今話題になる高等学校や高等教育の無償化ですが、本来は現行の義務教育課程から完全無償化を進めるべきです。

2021年度の公立小学校の給食費の月額平均は4,477円、公立中学校では5,121円となっています。

これに加えて図工や家庭科など実技教科の教材費、卒業アルバムや修学旅行費、制服や体操着代金など想像以上に費用負担は発生します。

これらすべてを月額1万円の児童手当では賄いきれていないのは間違いないでしょう。

そして、こうした無償化に際してよくある不満が、指定学用品が高すぎるというものです。

指定学用品の価格

このことに関しては私自身一度考えをまとめて記事化しています。

指定学用品は決して安くはありません。ディスカウントストアや100均などでは類似のものが半額程度で販売されているのに、という不満は少なくないようです。

制服などもファストファッション店で購入すればかなりの負担軽減になります。

しかし、こうした学用品の多くは談合で値を吊り上げたり、業者から学校関係者が袖の下を受け取っているわけでもなく、それなりの理由が存在します。

同じ仕様で何年も在庫を一定数確保するとなるとそれだけでコストがかかります。

大量購入というキーワードが出てきますが、ロゴや校章などのバリエーションがあるとスケールメリットを生かすことも難しいでしょう。

また、制服などの指定学用品の多くはそれなりに品質や安全性を担保されているものがほとんどです。粗悪品を利用してケガや事故が発生するリスクを回避するためにも、それなりの金額を払う必要があるのです。

もちろん、そうしたものをすべて無くす方向性というのも考えるべきではあります。しかし繊維産業などの雇用確保に繋がっていることも考えるとすべてを無くすことが現実的に可能かどうかは微妙でしょう。

完全無償化より手当

学校に支払うものはすべて税金から直接支払い、個人で支払う部分を無くすべきだという要望もあるようです。

私は個人的には反対です。確かに保護者の児童手当の使い込みなどが問題となるケースもあるようです。

しかし、一方で子供の教育上も無料で支給されたものを大切に扱うだろうか、現代においては保護者側にさえその不安が残ります。

加えて業者側の感覚としても官制一括採用のものの品質をきちんと保つことができるか、ダンピングまがいの入札で粗悪品が混じる可能性まで考えると決して賛成はできないでしょう。

学用品関係に関しては児童手当の拡充による対応を願いたいところです。

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