見出し画像

「東京科学大学」に見る、組織名称命名の難しさ

名前を付けるという行為は非常に重い意味を持ちます。

自分の子供の名前を考えるときは、何個も候補を出し、同じ名前の偉人や字の意味や由来などを調べて考えた記憶があります。

子供の名前は重要なものですが、ある程度は親が自由につけることが可能でありその意味では第三者の意見を気にする必要がないことは気楽でもあります。(祖父母が介入するなど、そうではない人もいるでしょうが)

東京医科歯科大学と東京工業大学の統合

東京医科歯科大学と東京工業大学が統合し、新たな大学として一体化するというニュースが少し前に報道されていました。

今回の統合に合わせて、新大学の名称が発表されました。

その名前が「東京科学大学」です。

賛否分かれる「東京科学大学」

今回の名称変更に対し、ネット上では賛否が分かれています。

こうした新名称を付けるケースでは往々にしていろいろな意見が出ますが、確かにこれまで培ってきた両大学の歴史や重み、社会的存在感を考えるとやや肩透かしの印象を受けるのも事実です。

以前の名称をつなげただけの「東京工業医科歯科大学」や「東京医科歯科工業大学」とすれば、外部的には違和感が少ないのですが、この手の名称の場合、どちらが手前に来るかでもめるという問題もありそうです。

名称が独特で知られる大学

名称だけで大学の人気が下がるというわけではありませんが、かつて不評だった代表格は「首都大学東京」でしょう。

これは都立の大学の4大学、旧東京都立大学、東京都立科学技術大学、東京都立保健科学大学、東京都立短期大学を統合する際に新名称として考えられたもので、当時の都知事である石原慎太郎氏の命名したものとして知られています。

石原氏の政治信条やスタンスに関しての賛否はありますが、彼のネーミングセンスは独特で理解しがたい感覚で、大学以外にも新銀行東京」や「たちあがれ日本」などは有名でしょう。

一昨年度から「東京都立大学」に名称を変更しています。

公立化して人気が出たため、名称変更がうまくいったように見えるのが「山陽小野田市立山口東京理科大学」です。

そもそもが「山陽町」と「小野田市」が合併で名前が合わさった自治体にあった、東京理科大学姉妹校の山口東京理科大学が経営不振で公立移管したためこのような名前になりました。

名称変更ではありませんが、「京都工芸繊維大学」などは国立大学と思われない名称の大学として有名です。

合併と新名称と言えば銀行

合併と新名称で混乱があったと言えば銀行業界です。

三和+東海→UFJ、東京+三菱→東京三菱となり、その後は東京三菱+UFJ→三菱東京UFJ→三菱UFJと名称の変更を行っています。

太陽+神戸→太陽神戸、太陽神戸+三井→太陽神戸三井→さくら、住友+さくら→三井住友というのも大分混乱をする名前でした。

どちらも当初は違和感がありましたが、慣れてしまえば何も考えずに使っている名前になっています。

「慣れ」がすべてを解決する

どんな名称も使っていくうちに、慣れていきそれほど違和感を抱かなくなるようにはなるでしょう。

名前を使うたびにその意味を考えるということはないからかもしれません。

その点で言えば、5年後ぐらいには「東京科学大学」という呼び名も普通に使っているのでしょう。

とはいえ、しばらくの間はすわりの悪さが続きそうです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?