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【題未定】iPhone残価設定販売は情報弱者を食い物にしたビジネスか?【エッセイ】

 先日、スマートフォンを買い替えた。3年ほど使用していたiPhoneSE2の調子が悪くなり、操作途中にカクつくことが増えたためだ。ストレージの容量が64GBということもあり、これが圧迫されたためだろう。今後のOSのアップデートまで考えるとこの機会に買い替えることにしたのだ。

 買い替える先は基本的にiPhoneを前提にして考えた。サブ端末としてGooglePixelを所有しており、Macとの相性を考えるとiPhoneをメイン端末にしておきたかったからだ。そうしてiPhoneを前提にして最新型から中古までネット上を方々探したが、どこを見ても高価の一言に尽きる。円安の影響もあるのだろうが、最新型のiPhone15の素のモデルでも12.5万円、Proモデルになると16万円とおいそれと手が出るレベルではない。

 中古を見ても13でも6万円、14になると9万円を超えてくる価格設定となっている。私のメイン端末の使い道は電話、メール、SNS、あとは自動車に接続して音楽などを聴く程度、どう考えてもその金額を出す価値は無い。

 多くの人はガラケー時代と同じように三大キャリア(ドコモ、AU、ソフトバング)の店頭で機種変更をするという。そこでの購入価格を調べてみたが、当然ながら高い。15の素のモデルで15万円、Proモデルでは19万円となる。ところがこうした店頭で機種変更する人は少なくない。どうしてわざわざ高い金額でiPhoneをキャリアショップで購入するのだろうか。

 その秘密は「残価設定」による販売手法にある。ほとんどのキャリアではスマホの販売に「残価設定」プランを用意しており、4年で48回分割の金額で契約を行う。この付帯条件として2年で23回までの支払いで端末を返却する場合、24回目以降の支払いを免除するような契約内容となっている。この手法の場合、月々の支払は補償金を含めて月々4千円程度で最新型のiPhoneを購入することが可能となる。

 キャリアにとってはこの時に通信契約を結ぶことにメリットがある。ドコモの大容量プランの場合、家族割を入れたとしても月々6000円ほどの負担になる。端末代金と合わせると1万円、2年間で24万円の通信費となる寸法だ。

 今回、私はiPhone12miniをIIJmioで中古で購入した。端末代金は3万5千円、見た目は新品とほとんど変わらず、傷一つない。バッテリーが86%とやや劣化しているが日常利用では問題ないレベルだ。通信契約は楽天モバイルを契約している。これは月々2200円、2年間では9万円になる。キャリアの半額以下、バッテリーの交換費用を含めても半額を切るだろう。

 現在、国内のiPhoneのシェアは半数近くと言われている。そしてその中の一定数がキャリアの言うがままに最新型のiPhoneを「残価設定」で購入しているという。しかし、その大半は最新型のiPhoneを使う必要のない人たちだ。ハイスペックを要求するゲームをするわけでもなく、写真をSNSに上げるだけであれば最新型のiPhoneでなければ困る場面などほぼ存在しない。

 もちろん本人が望んでハイスペックな端末を求めているのであれば止めることはないし、それが楽しみ、喜びである人がいるのも事実だ。しかし企業戦略に騙されて数十万円を浪費しているとしたらどうだろうか。現代におけるiPhoneの残価設定販売戦略は、月々の負担感を減らすことで薄く広い情報弱者を食い物にしたビジネスである。

 もし仮にこれを読んでいる方の中で、残価設定で安くiPhoneを買えると安直に考えている方がいるとしたら、もう一度支払総額や月々の通信プランを再考することをお勧めしたい。決して安くiPhoneを手にしているわけではないと知った上で選択をしてほしいと願う。


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