アイキャッチ

足底腱膜炎に対してストレッチは有効か?

足底腱膜炎は40-60歳代の方に多い足の裏に痛みを訴える疾患です。
体重をかけたときの痛みと朝起きて動き出したときの痛みが特徴的な症状です。
Neufeldらによると保存療法(手術などをしない)で90%近い方の症状が改善すると報告されています。
しかし、症状が改善せず慢性化して痛みが長引く症例もいます。
慢性化してしまうと、体外衝撃波療法や手術といった治療になるため、症状が出たら早めに対処することが重要になります。

足底腱膜炎の病態やリスクファクター、一般的な治療方法については他の著者に譲り、私は足底腱膜炎に対するストレッチにエビデンス(根拠)があるのか文献を中心に紹介していきたいと思います。

足底腱膜炎に対する保存療法ついて

足底腱膜炎に対する保存療法は症状によって様々ですが、基本的には安静・活動制限とストレッチなどのセルフケアが第1選択となります。
まずは安静と活動制限が大切です。
長時間の立位姿勢が発生要因の一つとも言われています。
したがって、仕事・スポーツ活動の活動を制限することは疼痛の軽減や炎症反応の抑制につながるため、患者さん・利用者さんの現在の活動を聞きながら可能な範囲で制限していきましょう。

痛みが強く、早期に受診しているのであれば、ドクターからNSAIDsなどの薬が処方されるとこともあります。

そして、ストレッチや筋力訓練を行っていきます。
アライメント不良が主な原因と評価された場合には足底板などが処方されることもあります。

特にストレッチについてはセルフケアとしてご自宅でも指導する機会が非常に多く、重要な介入となります。
次に足底腱膜炎に対するストレッチについて説明していきたいと思います。

足底腱膜炎に対するストレッチ

論文タイトル

・疼痛の軽減や足部・足関節機能の向上が期待されます。
・痛みの軽減については最初の2週から4ヶ月の間に効果が期待されます。

ところで、足底腱膜炎に対してどこのストレッチを行いますか?

足底腱膜炎に対して足底腱膜に介入しない方はいないと思います。。。
それ以外に腓腹筋・アキレス腱に対するストレッチをする方も多いのではないでしょうか?

足底腱膜とアキレス腱は踵骨に付着します。
この解剖学的理由から、それぞれの牽引ストレスを減らすためにアキレス腱へのストレッチを行うと思います。

アキレス腱・足底筋膜

どちらをストレッチするのがいいか?または両方ストレッチすべきか?

・短期的な結果だけ見ると、アキレス腱のストレッチより足底腱膜へのストレッチがより効果的。
・アキレス腱のストレッチに足底腱膜のストレッチを追加すると効果的。
・アキレス腱単独のストレッチ効果については意見が別れている。

両方やるのがベターですね!
ストレッチ自体もそこまで難しくないため、セルフでも可能です。
ならば、患者さんに説明し、2種類のストレッチを行うことを勧めましょう!

ストレッチ

ただし、ストレッチの詳細についてはまだ一定の見解が得られていないようです。

・アキレス腱ストレッチの肢位(荷重位or非荷重)
・効果的なストレッチ時間、回数や頻度
・セラピストがやる場合とセルフで行う場合

これらの点については対象者に合わせてこちらが選択する必要があるかと思います。

まとめ

・足底腱膜炎の9割は保存療法で治療可能であり、初期の対応が大切になります。
・ストレッチについてはアキレス腱単独で行うより、足底腱膜へのストレッチを合わせて行うといいです。
・ストレッチの肢位・時間・頻度などは対象者に合わせて行うことが好ましいです。

参考文献

1)Neufeld SK et al: Plantar fasciitis: evaluation and treatment. J Am Acad Orthop Surg. 2008 Jun;16(6):338-46.
2)Lindsey L et al:Plantar fasciitis: A review of treatments. JAAPA. 2018 Jan;31(1):20-24
3)David S et. The effectiveness of manual stretching in the treatment of plantar heel pain: a systematic review.J Foot and Ankle Research:2011.4;19.1-13


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?