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6月1日、私の日常も始まった【Fリーグ2024-2025 ディビジョン1 第1節】

ああ、あんなこと書くんじゃなかった・・・。

1年前の私に言ってあげたい。
「あなた、毎節観戦記を書くと言って1節で終わってるよ」って。

ですが、懲りずに今シーズンも「毎節書きます」宣言。
今シーズンこそは・・・。がんばりなさいね、私。


バルドラール浦安 vs ヴォスクオーレ仙台
2024/6/1@バルドラール浦安アリーナ

ヴォスクオーレ仙台がディビジョン1に帰ってきました!
5シーズンぶりのF1の舞台は、清水誠監督の古巣である浦安との対戦でした。
仙台で最も警戒すべきは森村孝志選手と丸山将輝選手。その丸山選手が2分に先制ゴールを挙げ、これが今シーズンのゴール第1号となりました。

浦安視点でいうと「あ、またホームでの勝率の悪い浦安・・・?」でしたが、1分足らずで本石猛裕選手が同点弾。16分の柴山圭吾選手の逆転ゴールは、GKピレス イゴール選手のロングフィードを石田健太郎選手が収めたところで勝負あり、といったところでした。お見事。

第2ピリオドは間延びする時間帯もありつつ、長坂拓海選手が体勢を崩しながらも押し込んだゴールで3-1。仙台のパワープレーもしのぎ、浦安が白星スタートを切りました。

長いシーズンを戦うために

5月のFリーグオーシャンカップでは「一発勝負なのである程度固定したセットで戦った」と小宮山監督。リーグ戦は中断期間を挟みながら2月までつづきます。長いシーズンを見越した開幕戦では、ロドリゴ選手とレアンドロ選手のセットを分け、若手を起用し、両セットにピヴォを置くなどバリエーションを増やす采配が見られ「相手コートでプレーをする」という浦安のプレーモデルが随所に現れていました。

FP全員がピッチに立ったこの試合。2種登録でFリーグデビューを果たした16歳の繁田稜平選手に小宮山監督が求めたことは「サイドでの1対1」。「縦への推進力やカットインのキレはFリーグのレベルで通用する」と信頼も厚いようです。仙台のカバーリングによってなかなか縦突破は難しかったものの「そこでボールを失ったとしても相手コートなんだから、どんどんチャレンジしろ。16歳がそこでチャレンジしなければ何の意味もない」と送り出したそうで「よくやってくれた」と高評価。

「柴山が16歳のときよりもやれている」と、柴山圭吾選手のことをまたイジっていました。

”清水誠イズム”が伝わってくる仙台

2019-2020シーズンの途中に就任した清水誠監督。折に触れ話は聞いていたのだけど、またF1の舞台で取材ができるなんて!
2023-2024シーズンのF1・F2入替戦前インタビューを読み返すと、ぐっとくるものがあります。

念願のF1での試合。清水監督ことマコさんも熱量の高い監督ですが「自分がF1に連れていく」という思いが「みんなでF1にいこう」に変化してF2優勝やF1昇格を成し遂げた経験や、オーシャンカップ1回戦のフウガドールすみだ戦で最終盤に気持ちが入りすぎて前へ前へと守備にいかせてしまい、残り3秒で失点してPK戦にもつれ込んだ経験が糧になっているのか、F1の強度で長いシーズンを戦うチームに進化していると感じました。特に守備面の徹底ぶりは、現役時代にフィクソだったマコさんらしさ満載。さらなる進化に期待です。

フットサル界の発展のひとつの形

今回対戦した小宮山監督と清水監督は、バルドラール浦安の元チームメート。試合後にも声をかけ合っていたので、何を話していたのか聞いてみました。

小宮山監督から見た仙台の印象は「清水誠イズムが出ていた」。
そうそう、それ! 私も感じたよ。

「マコさんは『強度が違う』と言ってくれたが、こちらからしても仙台の気持ちの入ったプレーはやりづらかったし、ひとつでも気を抜くとカウンターで持っていかれるのは脅威だった。自分たちのチームを客観視することは難しいので、対戦相手の監督がどう感じたかを知ることができ財産になったし、逆に私も仙台の印象を伝えた。チームメートだった関係性からこういったディスカッションができることで、リーグのレベルの向上やフットサルの発展にもつながると思う。お互い切磋琢磨しながらやっていきたい」と小宮山監督。

一方で清水監督は「通いなれた場所で試合ができることは個人的にはうれしかった。相手は元チームメートでポジションも一緒だった小宮山監督。同じ時代をがんばった選手たちが監督になり、うれしい気持ちがあった。もちろん勝たなくてはならないリーグなので結果は求めるが、自分たちが一生懸命フットサルに向き合って発展させながら続けてきたことでこういうことも起こるんだな、という思いを味わっていた」。

こういう背景や思いが聞けると、より一層ひとつひとつの試合が特別なものに感じられるんですよね。引退してもフットサル界にいてくれてありがとう。これからも発展を見守っていきたいです。

ペスカドーラ町田 vs シュライカー大阪
2024/6/2@町田市立総合体育館

昨シーズン、初優勝に王手をかけながらもリーグ準優勝。オーシャンカップ決勝では残り2.6秒で失点し準優勝。悔しい思いのつづく町田が、大阪をホームに迎えました。序盤からファウルがかさみ「らしくない」プレーがつづいた大阪に対し、コンスタントに得点を重ねた町田が7-1で快勝。幸先のよいスタートを切りました。

勝敗を分けた2.6秒がチームを強くする

残り2.6秒で優勝の可能性がこぼれ落ちていく経験って、チームを強くするんですね。その一言に尽きる試合でした。

森岡薫選手や毛利元亮選手の復帰も大きな要素ではあるものの、昨シーズンからの積み上げが素晴らしい。昨シーズン、甲斐修侍監督に「いわゆるスター選手がいるようなチームではない町田がなぜここまで躍進できるのか。甲斐監督がそれぞれの個性を少しずつ引き上げているのでは?」と聞いたとき「”スター選手”が何を指すかですよね。毎試合点を取るような目立つ活躍をすることもそうだけど、うちの選手たちは最後までハードワークができる。それって立派なスターの要素じゃないですか?」と返ってきました。なるほど。
その「最後までハードワークができる町田」が残り2.6秒で失点した要因を、伊藤圭汰主将は「自分たちは(同点のまま)PKかな、と思っていたが、名古屋は勝ちにきた。そういったところの甘さが勝負を分けた」と話していたので、その経験を経た今シーズンの町田は強いぞ、と。

オーシャンカップで退席処分となった甲斐修侍監督に代わり、小川亮コーチが監督代行として指揮を執った町田でしたが、チームの完成度が高いのでその影響も感じられず。よしくん(前田喜史アドバイザー)や治くん(難波田治コーチ)含め、ベンチが濃いのよ。

長い時間パワープレーを受けたため、守備側の選手も入れ替わりましたが、三宅悠斗選手の起用はとても分かりやすいメッセージで、積極的にボールを奪おうとする姿が印象的でした。さすが、特別指定の19歳でそうそうたるメンバーと肩を並べてオーシャンカップの得点王になっただけありますね。

森岡薫の効率の良さ

ところで森岡薫。1979年生まれ、数少なくなった同い年の選手です。
リガーレヴィア葛飾在籍中、底辺から試合をコントロールする姿を見て「もっと前でプレーしたいんじゃないですか?」と聞いたことがあったのですが。

今回も限られた出場時間の中で先制点は森岡選手のFKから。毛利選手のゴールをアシストして、第2PKも決めて、ゴリゴリのピヴォではなくても結果を出す。毛利選手へのアシストなんて、右サイドの伊藤選手にちょいちょいって指示しながら縦に出してますからね。その前の左サイドでの毛利選手とのパス交換も含めて、やはり自信と存在感が伝わってきます。

ベテラン選手の働きがチームを支える

大阪視点でいうと「こういう日もあるよね」といった試合でした。
それが開幕戦だったのが苦い経験ではありますが・・・

第2ピリオドはスタートからパワープレーを仕掛け、長い時間ボールを持ちながらも1得点にとどまった大阪。ただ、その1点を取るまでの流れは興味深いものがありました。

パワープレーは加藤(未)、磯村(GK)、加藤(翼)、清水、中井の5人。町田ボールになったときにはセットが入れ替わるのですが、得点前はボールを失ってからも裏のセットを使わず、磯村選手とGK関口優志選手が変わっただけで試合を進めたんですよね。マイボールにするまでパワープレーには入れないのでスタミナを考えるとリスクのある選択ではあるものの、この判断が奏功しての加藤翼選手のゴール。ゲンさんこと高橋優介監督も「1点、2点ではなく5点を追うということを考えたときに、出場時間の不均衡や終盤でプレッシングにいけなくなることのリスクは承知の上での選択だった」とのこと。どの5人がピッチに立ち、そのときベンチでは何が行われているか、そういった全体感や対戦相手との駆け引きもフットサルの楽しさですね。

開幕戦は大敗となった大阪ですが、新加入のGK関口選手がラインを割りそうなボールを追ってギリギリのところでパワープレーにつなげたり、パワープレー返しのボールを必死で追ったものの間に合わなかった磯村選手にすかさず田村研人選手が声をかけに行ったりとベテランの働きは頼もしく、ああいった選手たちがいれば切り替えて次戦に臨んでくれるだろう、と思います。うん、大阪は大丈夫。

Fリーグ選抜で2年間一緒に仕事をしていた仲間であり、同学年でもあるTHE・フットサルオタクのゲンさんが、今後どういったチームを作っていくのか期待です。

名古屋オーシャンズ vs しながわシティ
2024/6/2@FリーグTV

「観戦記」なので、会場に足を運んでいない試合については書かないつもりですが、この試合にだけはどうしても触れたい!!!

比嘉さんすごいな、比嘉さんらしいな、といった試合でした。
5月6日にメディアス体育館知多で行われた名古屋とのトレーニングマッチでは、しながわはGW最終日に当日移動というなかなか渋い状況だったこともあり、特に第1ピリオドでは動きが重く・・・。名古屋のスタイルが運動量多く流動的に入れ替わるスタイルに変わったこともあり、名古屋の選手を捕まえるの大変だな、という印象だったのですが。

比嘉リカルド監督が目指す「守備が土台のチーム」を体現

ディフェンスすご!!!!
こんなに見ごたえのある試合を見せてくれて心からお礼を言いたい。

オーシャンカップで比嘉リカルド監督が「戦術やシステムも作ってはいるけど、チームの土台はディフェンス。攻撃力のある選手はたくさんいるので、守備を上げていけば自然と攻撃もよくなる」と話していたのですが、まさにそんな試合でした。

名古屋は常に追われるチームであり、名古屋戦に全力で臨んだ結果、次の試合でこけてしまうということは往々にしてありますが、しながわからはそうはならないであろう雰囲気をひしひしと感じています。

もうひとつ特筆すべきは2点目をマークした田村龍太郎選手の存在。
2010-2011シーズンにデウソン神戸の特別指定だった田村選手。当時、神戸の指揮を執っていたのが比嘉リカルド監督でした。

比嘉さんはしながわに就任することが決まって、田村選手にオファーを出したそう。14年ぶりにともに戦うふたりですが、トレーニングマッチでもオーシャンカップでも田村選手はファーストセットで起用されていて、監督の信頼を感じました。

「花巻、大分、北九州に行って、すごく成長した。彼は止めなければ練習が止まらないくらい。ピッチ外での意識も高い。若いころから知っている選手とまた一緒に仕事ができてうれしい。左利きで、アグレッシブな守備ができて、シュート力もあり、試合を作れる。カイオと(瀧澤)太将ともうまく合わせることができる」と比嘉監督。

ご本人は「つっつー(堤選手)の影武者」なんて笑って謙遜していたけれど、そんなことないよ龍太郎くん!!今後の田村選手にも注目です。

名古屋だからこその「波乱の幕開け」

名古屋としては、18シーズン目で初めて開幕戦を落とすという波乱の幕開けとなりましたが、名古屋だから「波乱」と言われるのであってこれまでの17シーズン、第1節、第2節で敗戦したことがなかったことのほうがおそろしい。(2014-2015シーズンにペスカドーラ町田が、2019-2020シーズンにバサジィ大分が第3節で名古屋に勝利)

今回は1点ビハインドの名古屋が終盤でパワープレーを仕掛けているときに、アンドレシート選手が決定機阻止の判定を受けて退場になったという厳しい状況ではありました。が、それより前に白方秀和選手のボレーは確実に警戒していたはずなので、そこで決められてしまった4失点目がポイントかな、と。

ああいった試合が毎節繰り広げられることはFリーグにとって喜ばしいことでもあるし、とはいえ名古屋はやっぱり名古屋だと思うので、次節でどんな試合を見せてくれるのか楽しみです。

▼第1節レビュー

それではみなさま、今シーズンもよろしくお願いします!!!

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