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サブスクサービスにおける同梱物の価値を考え抜いて、FUMUFUMUリニューアルに込めた物語を書き下ろす

あけましておめでとうございます。FUMUFUMUリニューアルに秘められた想いをnoteに書こうと思ってたのに暴飲暴食を繰り返してたら新年迎えてました。なので今から書きます。

FUMUFUMUはこうして生まれた

そもそもFUMUFUMUって何や!?ってところからシンプルに説明すると、「会報誌です。」Casieのサブスクリプションサービスをご利用いただいているユーザーさんに毎月お届けしている16ページ冊子で、そのコンセプトは「アートがもっと楽しくなるマガジン」

着想のキッカケはとあるユーザーさんからの一言だった。

「せっかく絵画を自宅に飾ってるんだから、知的好奇心が満たされるような体験がもっと欲しい」

これまでにもCasie Studyという美術・芸術に関する学習コンテンツを掲載したペライチ読み物をBOXに同梱してお届けしており、それを楽しみにしてくれたり、収集したりしてくれてるユーザーさんがいた。実際に自分もいちユーザーとしてこの意見に同意だったので冊子という形にして情報量も充実させたものを作ろうと決めた。

しかし・・・・・。これがなかなか実現しなかった。単に冊子を1つ作るだけなんだけど、少数精鋭かつマガジンを作った経験がないCasieにとっては簡単ではなかった。誰がやる?マガジンのコンセプトは?タイトルは?デザインは?印刷ってどうやるの?ってか続けられる?

とりあえず尊敬している他サブスクサービスの冊子を取り寄せたり、憧れのマガジンを本屋で購入しては「うちらに、こんなんできるか!?」
他の仕事に時間が取られるようにもなり、結局担当も決まらず数ヶ月が過ぎていった。

良い企画がこのまま忘れ去られていく。みたいな感じになりそうだったけど、Casieの良いところと言うか、ぽさと言うか「よし、ほなオレやってみるわ」と根拠のない自信に満ち溢れた男が立ち上がる。

社員No.01番のmiwoとデザイナー石川さんの2人を誘いほぼ強引に16ページの冊子を仕上げてしまった。正直完成度は100点満点とは言えなかったけど、まずこの最初の1歩があるのとないのとでは、進み方が違ってくる。

強引な企画と原稿
仕上がった第1弾FUMUFUMU

会社名と同じように、マガジンのタイトルも一瞬で決まった。考えて出したというより、「FUMUFUMUを作る!」って感じだったのでどこで決まったのかは覚えてない。何はともあれこうしてFUMUFUMU第1号が誕生したわけだ。そしてここから快進撃が始まる。

FUMUFUMU読まれてる!!😍

このFUMUFUMUは毎月のペースで作ってる。企画会議から始まり、取材アポ、執筆、撮影、デザイン、印刷など完成まで全ての工程を毎月遅れることなく続ける必要があるため、正直とても大変だった。これを1日の遅れを出すことなく続けてくれているFUMUFUMUチームには本当に感謝してるし、尊敬してる。

継続の力となったのが、FUMUFUMUを読んでくださるユーザーの皆様からのお声や、アーティストからの応援コメントの数々だった。

中には「FUMUFUMUが楽しみだからサービスを続けてる」と言ってくれるユーザーさんもいらっしゃいました。こうした「読んでるよ」というお声は作る我々にとって、とても大きなパワーとなる。

もっと”Casieらしさ”を纏いましょうか

FUMUFUMU Vol.13の制作に入った頃から、「もっとCasieらしさをFUMUFUMUに纏わせたい」と発言する男が現れます。肝心のCasieらしさとは何か!?は一向に言語化されないまま、突如リニューアルプロジェクトへと突入することとなった。

リニューアルプロジェクトのキックオフ当日、その男はこう発言した。

Casieのvision『自分らしく生きる』を一番先頭で纏ってるコンテンツがFUMUFUMUでありたい。情報による知的好奇心の満たされ感だけじゃなくて、アーティストの生き様や彼らのビジョンにスポットライトを当てたものにしたい。俺はそれを読んで心震えたい!

ある男の発言

うん、確かに言いたいことは分かる気がする。ただそれが具体的にどんな形なのかというサンプルはこの男からは出てこない。しかも社内からは当然のように「毎月のお届けにコミットを続けるべきだ!」「何のエビデンスもなくリニューアルを今するのか!?」など反対意見が出るわけで・・・・。

つまりここから先は自分達の腕の見せ所ということである。

サブスクサービスにおけるFUMUFUMU(同梱物)の価値を考える

世の中のサブスクサービスにおいてもはや冊子が同梱物として届くのは当たり前になってる気がする。食品サブスクを注文すれば生産者の顔や生産過程を知ることで食に対する関心が高まる読み物が届く。化粧品サブスクを注文すれば自分に合った使用方法へと見事にエスコートしてくれる読み物が届く。サプリメント系のサブスクを注文すれば効能や使用原料に関する博士のお墨付き文章を読んで服用する前から健康になった気がする読み物が届く。

ただ少しだけ違和感を感じたのが、ほとんどの同梱物が表現しているのは顧客を「説得しよう」と試みていること。(自分の見解です)1つ上のプランにアップデートをするよう勧めたり、継続することのメリットを強烈に表現していたり。同梱物は経営サイドから見れば当然コストがかかる代物であるため、費用対効果を求めるわけだ。だからこそ、こうしたアップセルや継続をプッシュすることでLTV(生涯顧客価値)が高まるようにマーケティングのエッセンスを盛りだくさんにすることは当然だと思う。

しかしぼくたちは逆の道を歩むことに決めた。FUMUFUMUはユーザーさんを「説得する」ものではなく「納得してもらう」ものにしようと。納得してサービスを続けてもらうためには、お支払いいただいている費用以上の価値を提供するように努力すればいいわけだ。どんな商売でも古来からこれは変わらない。ユーザーさんがサブスクサービスを使い続ける価値(意味)をこのFUMUFUMUを通して見出してもらえるものにしよう。FUMUFUMUというマガジン(同梱物)自体をサービスの1つとして喜ばれる価値あるものに仕上げていこうと考えた。

アーティストの視点・視野・視座に着目する

FUMUFUMUより抜粋

普段からアーティストの皆さんと接していると、ものすごいビジョンを持つ人と出会うことがある。そのビジョンを実現するために、作品作りというアプローチを選択している。アーティストと語り合った経験がある方なら何となくイメージがつくと思うのだが、彼らがビジョンや作品コンセプトを語る時の、

  • 視点の新しさ

  • 視野の広さ

  • 視野の高さ

に驚かされることがよくある。これは決してアーティストが特別だということではなく、住んでる世界が自分とは違うからこそ生まれてくる発見と刺激の連続を快感だと感じている。逆にビジネスの世界に住んでいる自分の見解を面白がって聞いてくれるアーティストさんの表情を見てて同じことが起こっているんだなって思う。

この面白さをFUMUFUMUで表現したいと考えた。単純に作品を見たときに感じる「なんだこれ?」「どうしてこれ作ったの?」の疑問にウルトラ気持ち良く回答された時の高揚感。ビジョンやコンセプトの説明を受けながら徐々にその世界を一緒に想像したり、作品を通してその世界がぼんやりと見えてきたりする瞬間。

アーティストは「意味」に満ち溢れた人が多いので、彼らの何気ない作品コンセプトに込めたストーリーを聞かせてもらうだけで、自分の毎日に大切な意味を見出すヒントをもらえたりもする。こうしたアーティストの表現活動を言語化することで新しい世界の扉を一緒に見に行けるようなコンテンツをFUMUFUMUでお届けする。

キュレーションという付加価値

FUMUFUMUより抜粋

美術館で作品鑑賞している人たちを何となく観察していると面白いことに気がつく。それは作品そのものを鑑賞している時間と同じくらいか、それ以上の時間、作品の横に展示されているキャプション(作品説明ボードみたいなもの)を読み込んでいる時間が長いということ。どういう時代背景にこの作品が描かれたのか、この作品を描いたアーティストの壮絶な人生ドラマを知ることで作品鑑賞の幅が広がり、納得感も増す。

まさにこれがキュレーションの価値だ。情報を収集・分類し、取捨選択(要約)することで新しい価値の提示をやってのけるのがキュレーションの本質だ。現在Casieにお預けいただいている約13,000作品の中から特定のテーマやコンセプトに基づき集約された作品たちだからこそ、組み替え可能な新しい情報価値を生み出すことができる。

今まで何度もリストの中で見かけた作品が、まるで全く別の魅力ある作品に見えてしまう。これは作品単体だと魅力がないということではなく、キュレーションされることによって情報が整理され価値や魅力を認識するということだ。この辺りを細かく書くと長くなるのでキュレーションが秘めるインパクトや価値創造に関心がある方は以下の書籍がおすすめ。

紙媒体だからこそ表現できるキュレーション価値をFUMUFUMUでお届けするために、リニューアル初回から選定した作品たちの紹介を細部までこだわった。作品それぞれのコンセプトや特徴をお部屋に飾った状態でイメージを鮮明に持てるようにした。

FUMUFUMUより抜粋

この場を借りて撮影に協力いただいた作品、アーティストの皆様、カメラマン、お部屋を貸していただいた方に感謝申し上げます。

(まとめ)FUMUFUMUがCasieのビジョンを先頭で纏っているコンテンツであり続ける

会社経営をしていると、ビジョンの大いなる重要さに改めて気付かされることがある。「うちの会社はどこを目指してるの?」「うちのサービスの体験価値は?」こうしたふとした疑問は常日頃つきまとう。決して悪いことではなく、こうしたビジョンモニタリングを定期的に行う習慣が組織に定着していると、届けるサービスそのものの価値も高まると感じる。

そんな時、社内で1番ビジョンを体現しているコンテンツが北極星のように輝いて存在していると非常に心強い。FUMUFUMUは常にそんな存在であり続けたいと思っている。

今回はリニューアル第1弾に込めた想いを書いたわけだけど、実際に読んでいただいたユーザーさん、アーティストさんのレビューをもとにどんどん声のする方に進化するつもりだ。今後のFUMUFUMUにも是非期待してて欲しい。

最後に、ここまで読んで頂いた方にFUMUFUMUを無料プレゼントしたいと思う。本来ならサービス利用中のユーザーさん限定の会報誌なので50名様限定とする。Casieのサービスに興味がある方も、同梱物の研究材料としてでも大歓迎!



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