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書籍『ニッポンの浮世絵』・・・浮世絵で「日本のイメージ」を読み解いたら、画像が180点を超えました

ポップカルチャーの中心地に建つ浮世絵専門美術館

太田記念

東京・原宿にある美術館、太田記念美術館をご存知ですか? ラフォーレ原宿のすぐ隣、現代のポップカルチャーの中心地で、江戸のポップカルチャー・浮世絵を、趣向を凝らした切り口で展示する浮世絵専門美術館です。

コロナ禍で休館を余儀なくされた3月より、Twitterで所蔵作品を紹介する〈#おうちで浮世絵〉の投稿を開始し話題を集めました。Nintendo Switchの人気ゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」で浮世絵のマイデザインを公開したり、Twitterの作品解説をもっと深く掘り下げたnoteをスタートしたりと、ウェブにおいていま最も存在感を放つ美術館です。

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この度、太田記念美術館の所蔵作品を掲載し、浮世絵に感じる「日本らしさ」について徹底的に解説した書籍『ニッポンの浮世絵 浮世絵に描かれた「日本のイメージ」』が発売になりました。

「日本っぽい」「日本らしさ」「これぞ日本!」・・・ってどういうこと?
原宿という土地柄、外国人観光客も多く訪れる当館。浮世絵の、なにか、どのように、日本らしさを感じさせるのか? 担当学芸員が抱いた疑問から、本企画は始まりました。江戸時代の人々の感性を読み解くことで、現代に通じる日本人の美的センスや感性をひもときます。豊富なビジュアルと優しい語り口で、浮世絵初心者や日本文化に興味がある方への入門書としても役立ちます。

「日本」という大きなテーマを語るために
本書に収録された作品数は、約180点。全128ページですから、1ページにつき1.4点の作品が掲載されていることになります。この計算はあんまり参考になりませんが、みなさまのお手元に美術書がありましたら、ぜひ数えていただきたい。B5サイズ・128ページで、こんなに美術作品が掲載されている書籍はそうそうありません。しかも、1点1点分かりやすく面白い解説つきです!
そもそも本書のテーマは「日本」。浮世絵に描かれた「日本のイメージ」を読み解くためには、多くの作品をもとに具体的に解説しなくては説得力がありません。第一章で取り上げた〈富士山〉のページをチラ見せしながらご紹介しましょう。

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富士山の絵と言えば、これ。葛飾北斎の「冨嶽三十六景」《神奈川沖浪裏》です。おそらく世界で一番有名な日本絵画といえるでしょう。次のページでは、多くの浮世絵を並べています。富士山の視認性の高さ、どこにどのように描かれていても一目で「富士山だ!」と分かる存在感と造形を解説しています。

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そのあとも原則1見開きに1項目ずつ、さまざまな視点から富士山の浮世絵を鑑賞する構成になっています。

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もうチラ見せのレベルではなくなってきてしまいましたので、本日はここまで。「桜」や「グルメ」「入浴」「花火」など、描かれたモティーフごとに作品を鑑賞するのも、じつはこれまでにはあまりない切り口で新鮮です。それゆえに、普段あまり紹介されないような隠れた優品が数多く登場しています。なんといっても掲載図版180点ですから!

同名の展覧会もスタート!
掲載図版の豊富さにばかり言及してしまいましたが、本書の著者は太田記念美術館学芸員の日野原健司先生、渡邉晃先生。浮世絵研究の最前線で活躍する二人による解説は、ひとつひとつの解説はもちろん、通して読むとひとつのストーリーが繋がるような面白さがあります。そして、太田記念美術館では、11月14日から12月13日まで、同名の展覧会もスタートします。そちらも、合わせてご注目ください!

書誌情報
『ニッポンの浮世絵 浮世絵に描かれた「日本のイメージ」』
太田記念美術館/監修
日野原健司・渡邉晃/著
定価:本体2400円+税
B5判・128ページ
小学館公式サイトの書籍情報はこちら


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