幼き私へ、感謝を込めて。
2週間ほど前。
年末に向けて部屋の大掃除をしていた際、こんなものを見つけた。
それは私がおそらく中学生の頃に書いた小説だった。
現在の私では思い浮かばないタイトルに心が踊ったので、キリのいいところで手を止めて座り込んだ。
A4ノート16枚、両面に文字がびっしり書かれている。
冒頭が”翌日”だったので、もしかしたらプロローグ部分は破棄してしまったのかもしれない。
どうやらとある作品に登場するキャラクターたちが織りなす物語のようだが、原作の設定とは全く異なっていたため、私にとって都合の良いパラレルワールドが舞台だと思われる。
全7話、登場人物の名前は伏せるが、残りのタイトルを掲載させていただく。
過去の私は何が何でもタイトルに英語を入れたかったらしい。
作中には、
”デス・アドベンチャー”
”デス・スター”
”デス・スパイラル”
”デス・ハンド”
”デス・ソング”
等、物騒な単語が散りばめられていたが、文章の勢いに熱いものが込み上げてきたため、夢中で読み進めた。
読了。
拙い部分はたくさんあったが、当時の自分がものすごく楽しみながら書いていたことが伝わってきた。
「そういえば私にもこんな時期があったな…」と、昔を思い出す。
中学生、まだスマートフォンが普及していなかった時代。
両親の持つガラケー以外、家にインターネット環境がなかったので、アニメやゲームを楽しみ、漫画や小説を読み、スケッチブックに絵を描いたり、ノートに文章を書いたりして過ごしていた。
その後ガラケーを買ってもらい高校へ進学したものの、2年生の冬頃にクラスでスマホが流行り始めた。
私以外全員スマホに切り替えてしまったので、両親を何とか説得し機種変更したのを覚えている。
高校を卒業し就職した私は、職場と家の行ったり来たりを繰り返す。
休日はたまに出かける程度で、それ以外は家でゴロゴロ。
SNS・YouTube・アマプラを見たり、ゲームをしたり、稀にiPadで絵を描いたり本を読んだり。
毎日絵を描き文章を書く。
創作することが楽しくて仕方なかった私はどこへ行ってしまったのか。
……大掃除に戻ろう。
作業を再開したが、今度は小学校の卒業アルバムを発見し、またしても手を止めてしまう。
笑顔でいっぱいの写真。パラパラとめくっていくと、卒業文集に辿り着いた。
何を書いたかなんて全く記憶になかったので、恐る恐る自分のページを開くと、そこにはこう記されていた。
"本屋さんで働きたい"
"お客さんが、本を読んで喜んでくれたら私も嬉しい"
"漫画や小説があると落ち着く"
いつの間にか忘れてしまっていた純粋な気持ちが目に飛び込んできて、ハッとした。
こんなに自分は本が好きだったんだ。
それから、様々なことに思いを巡らせ、自分の将来を想像した。
”表紙絵も挿絵も自分で描ける、小説家になりたい”
私は早速、noteや小説投稿サイトで会員登録をした。
X(旧Twitter)はアカウントを作ったものの、運用方法がピンときていないので保留中。
アイコンをどうしようかと考えiPhoneのカメラロールを遡っていたところ、自身で撮ったフクロウの写真を発見した。
その写真があまりにもモフモフで可愛かったので、自分なりに描いてみることに。
こちらのnoteの見出し画像も、テーマに合わせて描いてみたものだ。
一歩踏み出したばかりの私は現在、小説投稿サイトで開催されているコンテストに応募する作品を執筆している。
心配性でビビりで周りを気にしがちで、現状維持が多かった私にとって、"何かを新しく始める"ということは勇気が必要だった。
しかし、将来なりたい像に近付くためには、やってみるしかないのだ。
創作する楽しさを思い出させてくれた幼き私へ、感謝を込めて。
ありがとう。
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