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不思議な「教職課程履修カルテ」について

今回は,「教職課程履修カルテ」について書いていこうと思います.

「教職課程履修カルテ」とは

私が学部で受けた説明会では,「教職課程履修カルテ」について以下のように説明していました.

2008年3月に改正された「教育職員免許法施行規則」に基づき,2010年度入学生より新たに設置された「教育実践演習」の準備事項であり,「教育実践演習」の履修にはこれの作成が必須となる.

【目的】
教職課程を履修している学生ひとりひとりの学習状況をきめ細かく把握する.
計画的な教職履修と,大学教員による系統的な指導につながる.

【作成時期】
教職課程履修1年目から教員免許取得まで,継続して作成.

実際,教職課程履修カルテは大変に細かく,

科目区分(大区分) / 科目区分(小区分) / 科目名 / 単位数 / 単位修得年度 / 教員名 / 成績 / 該当する「教員としての資質能力」の項目 / 科目に関するコメント(身につけたことや今後の課題等について) / 教員確認

を全科目分記入します.

そして,毎年度末には身につけたい「教員としての資質能力」を自己評価し,達成度や課題を省察・記述し,教職や進路についての見方・考え方を記録します.

始めに示した教職課程履修カルテの目的を,とても単純な方法ではありますが,満たしているのではないでしょうか.
大学教員による系統的な指導についてはそれぞれだと思いますが.ちなみに,私の指導教員は年度毎のコメントとして,大きな枠に「よくがんばりました.」と書いてくださいます.本学科では教員免許取得希望者が多いので,内容が無いのも仕方が無い気はしますが,これは指導教員による系統的な指導が出来ているとは言えないでしょう.

「教職課程履修カルテ」の無駄

ここで,少し視点を変えてみます.

私は,以前のnote追記R3.2.25​(学生係の考え)にも書いた通り,教員免許取得までにモチベーションをひどく削られる状況をできるだけ改善すべきだと考えています.

 教職課程履修カルテには,いくつかモチベーションを削られる点があります. 

一つ目は,教職課程履修カルテが紙媒体であり,学生係とのやりとりに手間がかかる点です.
二つ目は,記入はボールペンによる手書きであり,書き損じは二重線に印鑑を押さなければならない点です.

これらは全て,印鑑の廃止とネット上でのやりとりへの移行で解決出来ます.manaba(学習支援サイト)は活用できないのでしょうか.

また,全科目の記入と自己評価の記述に対して,指導教員が一科目ずつ印鑑を押さなければならない状況も問題です.これはそもそも理解しがたく,指導教員に負担を掛けるだけのものではないでしょうか.本当は成績を見てコメントを書きたいのに,作業が多くコメントを書けない等,系統的な指導に悪影響を与えるのではないかと考えます.(無駄な事務作業が大学教員に与える影響については,しばらく問題視されていることですね.)

「教職課程履修カルテ」に対する学生係の考え

学生係に対して,教職課程履修カルテの以下の疑問について伺ってみました.

なぜ教職課程履修カルテは手書きで実物によるやりとりが行われるのでしょうか.

以下が返答です.

 教職課程履修カルテについては、カルテの説明会でも説明があったかと思いますが、教職の最後の必修授業である教職実践演習を受講するために、入学の段階からそれぞれの学生の学修内容、理解度等を教員が把握するために必要がポートフォリオのようなものとなっています。(文部科学省が定めています)
 現在、教職課程履修カルテについてはシステム化しているわけではありませんので、紙媒体でやり取りをするしか、教員が把握する手段がありません
 提出・返却・訂正等かなり負担がかかりますが、こちらについても教員免許取得のために必要なものと思っていただくしかないです。

紙媒体や印鑑については根拠がなく,そうすることになっているとしか言えないのではないしょうか.意外と無くせるのでは?

おまけ

先ほどの質問は,上で示したnote追記R3.2.25(学生係の考え)で記載した質問とともに送ったものです.これら二つの返答の後,以下のようなお言葉をいただきました.一応,氏名は仮名です.

 こちらも作成が負担な方は、進路再考をお勧めします
 以上です。田中さんが納得がいくような説明はできませんが、納得されないようであれば今後免許取得までいくことは難しいかもしれません。
 費用だけではありません。今後免許取得までには、介護等体験、教育実習、教育実践演習等学生さんにとってはかなり時間的にも精神的にも負担がかかります
 十分考えていただければと思います。

全体的に,すごく忠告めいていると言いますか,心配してくださっていると言いますか,教員数が減るのも納得だなと思ってしまいます.

ここまで読んでいただき,ありがとうございました.
また,よろしくお願いします.

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