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令和6年度税理士試験 法人税法を終えて

税理士試験にトライ中のアラフォーの”元”銀行員です。R4年11月に転職し、現在は会計事務所で働いています。

8ヶ月ぶりにnoteを書きます。法人税法の勉強中はやっぱりnoteを書いたりする余裕が無かったですね。

今日試験が終わったばかりですが、この1年間法人税を勉強してきた感想を取りとめもなく書いていきたいと思います。


TACの場合、初学一発合格を狙うなら「年内完結+上級コース」

※受かってから書けと言われそうですが・・・

TACの場合、法人税法ですと9月からスタートする「ベーシックコース」と「年内完結+上級コース」の大きく2種類のコースがあります(経験者向けに速習コースというのもあります)。

違いは一通りの範囲の学習を終えるのが
 年内完結は9月~12月
 ベーシックは9月~翌年4月
という点です。

どっちを選ぶべきかということですが、もちろんTACではどちらのコースでも初年度一発合格を謳っていますが、初学一発合格を狙うのは「ベーシックコース」では相当厳しいと思います。もちろん人それぞれですが。

実は自分は当初はベーシックコースを申し込んだんですが、10月中旬あたりで年内完結にコースを変更しました(お金はちょっと損をする程度です)。これまでの消費・相続の受験経験から、ベーシックコースの学習ペースではおそらく落ちるなと感じたのが理由です。

年内完結は週3回講義があり、ついていくのはかなりしんどいです。講義も聞いたうえで復習もしっかりやるというのは子持ちの社会人には無理ですね。
更に年明けの1月から4月は「上級コース」という名前に変わります。再度一通りの範囲をやるとともに15回の答練があり、しっかり追い込んでくれます。

この2つのコースの細かい違いを話すと長くなりそうなので割愛しますが、年内完結を選んで生煮えでも良いのでとにかく学習を進めていくのが重要だと思います。

各論点へのファーストタッチを早くして、2回目、3回目、4回目・・・と復習ができるかが重要です。復習からが勝負です。

マジで復習からが勝負です。

復習するにしてもベーシックコースでは4月にならないと全範囲が終わりませんし、その教材となるトレーニング問題も答練も少ないです(確か8回分です)。難易度もやや平易ですし。そのため「地力」が身に付きづらいかなと思います。

年内完結は講義ペースが速く復習がほとんど追いつかないので私の場合、答練についてはボロボロです。

答練結果はというと、1~4月の8回分の添削答練ではすべて安定して上位80~90%でした。ですが、後述しますが模試の際には一時的に仕上がりました。
※ちなみに相続のときは平均60%くらいでした。

一般的には答練で上位30%に入り続けるのが重要と良く言われますがそんなのは無視して良いと思います。解いたあとにちゃんと復習して理解できれば、その答練については次の日には自分も上位30%の人たちと同じ立場です。

そんなこんなでベーシックコースはよっぽど勉強時間が取れない場合だけ選択するのが良いと思います。背伸びをしてでも年内完結を選ぶべきかと思います。


公開模試の結果

上級答練はボロボロでしたが、6月のTACの公開模試では人生初のS評価でした(理論・計算の両方でS)。
しかしその後7月に受けた大原の模試ではC判定(理論D、計算C)。

ここで言いたいのは、公開模試におけるSとAとかの判定は「計算」はともかく、「理論」においてはほとんどアテにならないということです。

理論は膨大なテーマがあります。自分が書けるテーマが出れば高得点が期待できますが、もしまったく書けない・知らない理論が出たらお手上げです。理論は当たりはずれが非常に大きいんです。

自分の場合、TACで出た理論は実はすべて書けました。前日に見ていた論点が出たりと、ここで運を使い切ったような気がします。
一方、大原は理論の結論は間違うわそもそも書けないわで大惨事でした。計算も時間配分をミスり解ける問題が手付かずになったりと。

また、理論は7月後半に仕上げてくる人も多いと思いますので(少なくとも自分は)、模試での理論結果は正直ほとんどアテにならないと思います。

たまに模試がS評価でも落ちたという話を聞きますが、理論によるところが大きいんじゃないかなと想像します。

実際、令和6年度の理論問題では「特定同族会社の留保金課税」(配点20点)というメジャーな論点が出された一方、「仮装経理に基づく過大申告」(配点15点)という講義でもあまり触れていないマイナーな論点が出されました。Xを見るとこの論点はノータッチだった人も結構いたようです。

一方で、計算についても膨大な論点がありますが、減価償却や配当などは頻出論点ですので、模試でこの辺を解けているかどうかというのは本試験に向けた一定の指標になると思います。

とはいえ、模試で理論Sが取れる人は他の論点もしっかり勉強している人は相対的に多いかもしれません。


組織再編税制がしんどかった

組織再編税制と言うと合併とか分割とかです。法人税法の中での主役級のテーマです。これを学びたいから法人税法を選択するという受験生もいる(とかいないとか)。

令和6年度本試験ではまったく触れられなかった論点で助かりましたが、組織再編成は最後まで自信が持てない論点でした。

とにかく理論が覚えづらい。同じことを言っているのに言い回しが違ったり、理論で表現していることと計算で使う数値が一致していなかったりと(例えば「純資産」の定義とか)。別表の動きもわかりづらい。ほんとにふわふわしたまま進んで行きました。

ほんとに理解できず、同じ講義を4回視聴しました。それでもしばらく経つとすぐに頭から抜け落ちてしまいました。

振り返ってみると、テキストやトレーニング問題の平易な問題では組織再編税制の理解はなかなか進まないと思います。具体的な背景や設定が無いとイメージがしづらいからだと思います。

上級答練で具体的な事例問題が出されるようになってから少しずつ理解が進んでいったという感じでした。

答練などの事例問題に触れたうえで理論も覚えていく、このやり方が組織再編税制を学ぶには効率が良いと思います。そうなると答練の数も重要なのでやはり年内完結+上級コースが有利かなと思います。

しかしWeb通信だと何度でも繰り返し視聴ができるのはほんと強みだと思います。うちは子供が小さいので基本的に夜しか勉強できないという家庭の事情もありますが、時間が取れたとしても私の場合は通学ではなくWeb一択ですね。


法人税法は実務をやっていた方が有利

やってなくても大丈夫という声も聞いたことがありますが、実務をやっていた方が圧倒的に有利だと思います。特に法人税法は。

試験問題でも申告書の別表4や別表5(1)、5(2)に実際に数字を埋めていきますので、本物の申告書に触れているかどうかというのは理解を深めるうえでは重要かなと思います。

受取配当や所得税額控除、賃上げ税制や試験研究費の特別控除などの各種制度についても実務ではよく見る論点ですし、自分の場合、使途秘匿金課税を適用しているお客さんもいます。

実際の申告書は会計ソフトが自動で計算してくれている箇所も多いんですが、その数字がどこにどういう風に反映されているかなど知っていると法人税法の勉強においても有利に働くと思います。

また、実務をやっているとお客さんからの問い合わせに対応するために通達もしょっちゅう見ます。自分の場合、役員関係で聞かれることが多かったので本も何冊か買いましたし、逐条解説も見たりと。

逆に消費税法や相続税法は、試験問題では実際の申告書には触れないで計算を進めていくので、実際の申告書に触れるとチンプンカンプンだったりしましたね、私の場合。

消費税の実際の申告書なんかは試験とは違い過ぎて当初ほんとに仕組みが分からなかったですね。申告書は会計ソフトがほぼ自動で計算してくれていますが、自分で電卓を叩きながら申告書の作りを理解していったりしました。


法人税法やるならやっぱり時間が欲しい

上級コースではトレーニング問題の問題数で比較すると
法人税法 239題
相続税法 113題
と、法人の方が約2倍多いです。
(※令和6年版と令和5年版の比較です)

改めてみてみると法人税法ってやっぱり論点が多いですね。。

直前期である6月にトレーニング問題を再度1周やり直したところ約1ヶ月かかりました。それでも1ヶ月経つと前半の論点をまた忘れたりしてるんですよね。もう1回復習して穴を埋めて、でもその間にまた違う論点を忘れて・・・

穴が空いた船の水をかき出しながら、半分沈みながらもなんとか向こう岸にたどり着く、そんな感じでした。

となるとやはり勉強時間をしっかり確保できるという人が有利で、又は、効率的かつ戦略的に学習を進められる人が有利かと思います。

私はまったく効率的にできる人間ではないので、税理士受験生界隈でレジェンドとされている「ボザイさん」の記事が非常に参考になるかと思いますので参考で貼っておきます。この方は長時間ストイックに勉強できる忍耐力があり、且つ、効率的な勉強法を実践しているすごい人です。


加えて理論の題数も多いです。理論マスターの題数でいうと、
法人117題
相続72題
と、法人の方が45題多いです。
(※令和6年版と令和5年版の比較です)
ただ、ページ数でいうと法人の方が20ページほど多いくらいの量です。相続は1題あたり(特に納税猶予関係)のボリュームが多いんですよね。

とはいえ覚えなければいけない量が多いことは間違いないのでやはりしんどいです。


次は所得税法

TACで年内完結を受講予定です(又は中古DVDを物色)。

会計事務所に転職してから確定申告は2シーズン経験済で、そんなに難しいお客さんはいませんが、大半は会計ソフト任せで、よくわからないままやっているという状況でしたので、所得税法はぜひ勉強したい科目でした。

たださすがに理論暗記はもうやりたくないので、今年の法人税法が不合格だったら来年も法人税法を受験します。

なお自己採点はいつもやらない派で今年もノータッチのつもりです。やると精神的に耐えられないので。。


何かのnoteでも書いたのですが、税理士試験って会計事務所の仕事に直結しているものが多いので、勉強をやっていて楽しいですね。

銀行にいたときも色々な資格を取りましたが、仕事に役立ったと感じたことはほぼゼロでしたし、結局は営業力や要領の良さ、立ち回りの上手さが重要な世界でした。頭の回転が早い人も多かったです。

税理士業界の仕事も最後は営業力がものをいう世界かもしれませんが、そのベースは知識量であり、勉強が実務に直結してくるのでこの業界は非常にやりがいがあります。

今後も勉強頑張ります。


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